No.1:部員達
県内屈指の進学校。
公立推薦入試でも入ることは相当困難であり、当然野球の上手いヤツなどそうそう入ってこない。
エースで1番を任している2年生左腕の大場 翔真は中学3年生のとき硬式野球U-15日本代表に選ばれるほどの実力者で、県外の高校から何十校も誘いが来るほどの実力者だったが、非常に賢く、親の指導方針のお陰で野球より勉強をとった結果、一般入試で狭き門をくぐってきた。
が、このチームは当分の間勝っていない。
なぜか。そう。
他の部員のレベルが低すぎるからだ。
大場を含めても部員はたったの10人。
新1年生がいなければ部員は7人でもはや試合どころではない。
一応、背番号順に軽く選手の説明をしておこう。
背番号1:大場 翔真
投打にわたってチームの要。2年生で、3番エース。左投げ左打ち。ストレートは最速146km/h。ウイニングショットはフォーク。他の球種はカーブ。オードソックスな本格派サウスポー。
背番号2:副島 充
キャプテン。1番バッター。右投げ左打ち。ミート力にはある程度定評がある。
本職はキャッチャーだが2年生のころはセカンドを守るなど内野も守れる。
背番号3:藤武 将希
1年生。右投げ右打ち。9番バッター。中学校
ではバスケ部。50メートル5.9の俊足が武器。
守備は普通。打撃力が課題。
背番号4:島谷 涼太
1年生。右投げ右打ち。8番バッター。すべての能力において低レベル。
背番号5:松坂 健祐
3年生。右投げ右打ち。4番バッター。チームの元気印。長打力はチーム屈指だがそれ以外はそこまでのレベルではない。
背番号6:島谷 倫暁
3年生。右投げ右打ち。6番バッター。
島谷涼太は弟。守備はわりとできるが打力がイマイチ。
背番号7:木村 太郎
3年生。右投げ右打ち。7番バッター。
チーム内でのあだ名は『キムタロ』
こちらも能力は低い。特に打力はかなり低い。
背番号8:慶野 文哉
2年生。右投げ左打ち。2番バッター。
バンド等の小技がうまく、俊足で、ある程度頼りになる。守備範囲が広い。
背番号9:氷室 佑介
1年生。右投げ右打ち。5番バッター。
スイングスピードはピカイチ。中学までは陸上部に所属していてスポーツのセンスは悪くない。しかし守備はものすごく下手。
背番号10:鬼頭 博行
3年生。右投げ左打ち…らしい。1年の頃入部してから一度も野球部の練習に来たことがない。俗に言う幽霊部員だ。噂によると中3のとき肘を故障して野球ができなくなったらしい。なぜか大場と仲が良い。
ちなみに私、監督の名前は片野。
そして時は過ぎ、遂に7月になろうとしている。抽選会の日。
私はキャプテンの副島と抽選会会場に行った。
副島『愛知県立邦南高校、34番です!』
その瞬間私は表情を変えた。