2 復讐への誓イ
朝霧が村跡を覆い、焼け焦げた家々からまだ煙が立ち上る。森の奥から聞こえるのは、鳥のさえずりではなく、焦げた木の匂いと乾いた瓦礫の音だけだった。
白い鎧の騎士団が駆けつけたのは、襲撃から半日ほど経った頃。重い鎧に身を包んだ兵士たちは、村の惨状に言葉を失った。焦げた家屋の間に、黒く煙をあげる瓦礫の山。命の温もりがあった場所は、今やただの灰と悲鳴の記憶になっていた。
「…………なんと」
騎士団の中で頬に裂傷のある一際大柄な男は冷静に俯きながらも、胸の奥に深い痛みを覚えていた。戦の現場には慣れている彼でも、こうして無力な村人たちの惨状を目の当たりにすると、剣を持つ手が震えそうになる。
瓦礫の山を慎重に踏み越えながら、兵士の一人が叫ぶ。
「こっちだ! 子どもがいる!」
泣きじゃくり、泥と灰にまみれた少年二人――アルトとリオン――が瓦礫の近くで倒れていた。
「もう大丈夫だ、しっかり掴まれ」
大柄な男は自らの腕で二人を抱き上げる。アルトは恐怖と悲しみで顔を上げられず、リオンは握りしめた拳を震わせていた。
「助かったんだ……本当に……」
アルトの声はかすれ、涙で濡れていた。
「泣いていい。生きていて良かった。」
大柄の男の声は穏やかで、しかし揺るぎない力を帯びていた。
⸻
搜索を終えた騎士団一行は王国へと戻った。
その日の夕方、王国に戻り、治療を受けた2人は大柄男の家に来ていた。
二人は温かい食事を与えられ、膝を揃えて座った。
「オレの名はカイロス。このルミリア王国、王国騎士の団長をしている。君たちは、これからどうする?」
カイロスは静かに問いかける。
「……僕は……強くなりたい」
アルトの声は震え、目には怒りと悲しみが混ざっていた。
「俺もだ……! ミリアを……!」
リオンは拳を強く握りしめ、目の奥に燃える決意を宿した。
「復讐をしたいのか?」
静かに頷く2人
その後リオンが続ける
「大事な幼馴染を連れていかれた……!」
アルトが悔しさで苦い顔をして俯いた。
カイロスは二人を見つめ、深く頷いた。
「その気持ちは理解できる。しかし、復讐だけに囚われていては道を間違えてしまう。その復讐はただの怒りと殺意の怨嗟で終わる。君たちが強くなるのは、誰かを守る為のチカラをつけることだ。」
彼は立ち上がり、背筋を伸ばした。
「ルミリア王国の騎士団に入れ!剣を学び、魔法を学び、共鳴の力を磨け。君たちが人を守れる力を持てば必ずそこには未来が訪れる。」
アルトは目を輝かせ、胸の中で小さく誓った。
「僕は……ミリアを!みんなを守れる人になる!不幸になる人がいない世界に!」
リオンも歯を食いしばる。
「俺も……絶対に、取り戻す……!」
⸻
翌日、二人は正式に騎士団に加わった。
訓練場には鋼の匂いと汗の香り、鍛えられる剣の音が満ちていた。
「訓練止めっ!」
「カイロス団長よりお伝えがある!」
1人の兵士が呼びかけ、訓練中の兵士たちを集めた。
「訓練中にすまない。今日よりこのルミリア王国の騎兵団に入団する事になったアルトとリオンだ。」
「この2人は先日の隣国オルザニア帝国によって村を襲撃された生き残りだ。」
「ぜひこれから剣の技術だけじゃなく心も鍛え上げてほしい。よろしく頼む。」
「「「はい!!」」」
武具を手にし、共に立つアルトとリオンの背中には、かつての村での想い出と共に悲しみと悔しさ、そして溢れる強き意志が刻まれていた。
カイロスは静かに二人を見守る。
「まずは己を鍛えることだ……道のりはまだ長いぞ」
風が訓練場を吹き抜ける。その中に、どこか柔らかく光るような感覚がアルトの胸をくすぐった。まるで、遠い昔の本で聞いた精霊の囁きのように――。
こうして二人の復讐が、静かに、始まった。
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ルミリア王国
王のもとに仕える剣と魔法の国家
一部の人間は精霊も使役している。
主人公の村はここの国家の領域内。
ルミリア王国を支える騎兵団の団長カイロス・エルデン
同じく魔法も団があり、それを育てる学校もある。
オルザニア帝国
ルミリア王国と森を挟んで隣にある軍事国家
元々貧困の土地の関係で侵略を繰り返している。