第一話 邂逅
テノールボイスで問い掛けてきたのは筋骨隆々で背の高いおじさまでした。
・・・うん、なんて??
脳内でセルフ突っ込みをしているともう一度声を掛けられる。
「ここで、何をしている?」
改めて考えてみるとログハウスの謎文字を食い入るように見ている眼鏡の女。
しかも服装もおじさまと比べたら軽装であからさまに浮いてる。
服のテイストも全く違うし缶バッジ付けたショルダーバッグをおじさまは胡乱げに見つめてると来たもんだ。
うん!どう見ても不審者ですねありがとうございました!!!
脳内でオワタ\(^o^)/とかふざけたワードが出てきたけど何とか落ち着いて事の経緯を話すことにした。
お風呂、お風呂に入りたい。切実に。
血と死体の臭いが染み付いてる気がするよ!!!!
「・・・そうだったのか」
頭痛が痛い、そんな顔でこめかみを揉みつつお話を聞いてくれたおじさまはきっといい人。
うん分かる、いくら追い詰められてたとは言え死体の山に隠れるバカなかなか居ないもんね!
そりゃあ頭も痛くならぁね!!
「いやあの、私も好き好んで死体の山に隠れたわけではなくてですね?」
何の弁解してるんだろう、全く分からないよ。
「いや、すまない。俺が言いたいのはそこではなくてだな・・・」
おじさまは何に引っかかったんだろう?
やっぱり臭いのかな、結構歩いたから汗もかいてるしな。
「その、物取りかと思ってしまった。
大変な思いをしていたのにすまない」
まさかの発言に私フリーズ。
泥棒だと、思われてた、だと・・・?!
「いやその我ながら冷静に考えると不審者極まりない状態だったので大丈夫ですはい」
テンパってノンブレスで答えちまったい。
おじさまお目目まんまるくしておる。
明らか日本じゃない場所に居るっぽいけどここってオタクとかそう言う人種の方いらっしゃるのかしら?
もしかしなくてもそういった趣味の持ち主とあまり接点が無かった系???
私がテンパってノンブレスで答えてから数秒無言で見つめ合う時間が続いた。
何これお見合いかなんか?????