第一話
初めての投稿です。誤字脱字、その他もろもろあると思いますが優しい暖かい目で見てください。
親友を亡くしたあの日から早くも三年が経過しようとしていた。建物の劣化で、瓦礫が崩れ落ちた。その真下に幼い子が気が付かずに歩いていた。その小さな命を守って、その生涯に幕を下ろした。
今日はそんな親友の命日。親友の墓の前にたたずむ一人の少年──十六夜 暁斗が親友の墓参りへとやってきていた。
「尊、おまえがいなくなってからそろそろ三年が経つ。時間の流れってホントはえーよな」
墓とその周りを綺麗に掃除したあと、手を合わせ拝む。
「それじゃあ、オレは行くよ」
別れを告げた直後だった──
自分の足元が崩れ出す。ガラスに亀裂が入り、砕け散るように。亀裂はどんどん広がっていく中、この現象に何をしていいのか分からない。
「と、とりあえず逃げな──なんだこれッ!?」
追い打ちをかけるように、次は、足元が光出したかと思ったら、自分を囲むように、文字なのかも分からない文字が魔法陣のように円を描く。
「くそ、とにかく離れなきゃな……ッ!」
魔法陣は暁斗を取り囲んでいる。直ぐに、その場から離れたが、自分が動くと魔法陣も一緒に動き、逃げることが出来ない。
「なっ、くそっ! どうすんだよっ!」
次第が光が強さを増す──
「くっ……! おわっ!?」
あまりの光の強さについに、目を開けていられなくなった──
──目を開けたその先には、先程までいた墓石だらけの光景ではなく、どこまでも続く草原のそれだった。
「ど、どういうことだよ……ッ!? さっきまで尊の墓にいたはずだぞ……ッ!?」
「は……? 暁斗……暁斗なのか……!?」
あまりの出来事に、近くにいた人の存在に気がつけなかった。
それだけではない。今、自分の名前を呼ばれた気がした。
「俺だよ俺! 尊だ!」
今は亡き、友の名を口にする謎の男は、腰に剣を備えている。口の利き方には用心しておいたほうが身のためだろう。
「なぜオレの名と友人の名を知っているかは分からないが、オレをそんなくだらない嘘で騙せると──」
「違ぇよ!? ホントに尊なんだよって……この姿が無理があるか……おし! 分かった! だったら、おまえとの思い出を語ろうじゃねぇか!」
そう言うと、腕を組み、片手を顎に当てて何かを思い出そうとしている。
少し考え込んだあと、「これなら!」と何かを思い出した。
「小学生ん時、おまえが女子からラブレター貰って体育館の裏に行った時によ」
待て、それは自分の中でもなかったことにしたい話ではないか!?
「相手の女子がラブレター渡す相手を間違えて、おまえがフラれたみたいになったはな──」
「だぁああああ──待てぇえええっ!? なぜその話を知っている!? あれは尊に泣け無しの小遣いをはたいてジュースで口封じしたはず……!?」
「だから、そのジュースで口封じされた尊が俺なんだよ……」
あ、ありえない……!? 死んだ尊がまさか生まれ変わったとでも言うのか!? そんな作り話みたいなことありえるのか!? 断じてない! はずだ……。
「あとは雪玉の中に氷入れて投げて、そこから犯人探しをし──」
「それはおまえだろが!? って……マジに尊、なのか……?」
「だから、そう言ってんだろ? 久しぶりだな親友」
このやり取りに、懐かしい雰囲気──どうやら彼が亡き尊なのは間違いないようだ。
「でも、なんだってそんな姿に……?」
「まさか俺がまだ尊じゃないとでも? それなら、おまえの初恋相手だって言ったっていいんだぞ?」
「もういいわ! にわかには信じがたい話をだがおまえが尊なのは理解した。けど、おまえのその他人に等しい姿とこのオレの状況……もう何が何だかわからねぇんだよ……お腹いっぱいだよ……」
急にわけの分からない場所に飛ばされ、目の前には姿が変わった亡くなったはずの尊がいる。この状況をどう処理、整理しろうというのだろうか。
常人にはまず無理だと断言できる。
「んー、どっから説明していいのやら……」
どうやら話すことを整理しているみたいだが、整理したいのはこっちだ。頭から湯気が出てきそうだ。
「えっと、まずは俺のことから話すか。えーっと、俺はあのときの事故で死んだよな?」
「ああ、オレもこの目で見てるからな」
「んで、そのあと俺の取った行動が神に認められたらしく、神の間とやらに呼ばれたわけだ。そこで女神を名乗る人から記憶を持ったまま第二の人生、つまり今の俺として生きる権利を貰ってここにいる」
「ほう」
生まれ変わりとは少し違うようだ。よく漫画やアニメで聞く異世界転生のようか類いか。
「んでもって、俺が生まれたこの世界は魔法とかがある世界──俗に言う異世界だ。そこで異世界ライフを送ってる」
記憶を持って生まれ変わるのも大変そうだ。ピュアな心など存在せず、社会の闇を疑っていきそうだ。
「そんで、おまえがここにいるわけだがな」
「おう」
「分からん」
拳を握りしめて、さぁ、元気よく──
「ふっざけんなぁあああああ──ッ!?」
「お!? あぶね」
勢いよく殴りかかるが、軽々とあしらわれてしまい地面に転がる。
「怒んなよ。マジで原因が分かんねぇ。だいたいどっから来たと思ってる」
「日本」
「懐かしい響きだな……って、じゃなくて。どこから現れたってことだ」
「知るかんなもん」
「そこだそこ」
クイッと指差す方に、顔を向けてみれば、”何か”をした後が残っている。
「これは?」
「召喚の義つって、別空間の魔物を呼び出し契約するための魔法陣なんだが……なんでそこから人が、ましてや暁斗が出てきたのかさっぱり分からん」
もしかしてオレ、人判定されていない? 生まれてこの方、地球人として過ごしてきたけど違った? そんなことある?
「まぁ、おまえともう一度会えて嬉しいよ親友」
「オレも会えて嬉しいよ親友」
「とりあえず、俺の住んでる街に戻ろう。詳しい話はそこからだ」
「あぁ頼むよ。もう疲れた。特に頭が」
並んで歩き、草原を後にするのであった──
ここまでありがとうございました。のんびり投稿でやって行こうと思いますが、暇な時に見ていただけたらと思います。