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詩❲情景❳

春雷慈雨

作者: 日浦海里

湿原の水辺に咲く真白い花が風に揺れる

抜けるような青空は、

すり鉢状に湿原を囲む頂の向こうまで続き

その向こうには鉾持つ白色の王がそびえ立っている


それは恵みの先触れだ


水面に浮かぶ精霊達は

白いミズバショウに包み隠れ

畏れと期待に空を見上げる


頂を越えて轟きが響く

それは彼の者の時の声


輝く水辺は瞬く間もなく陰に覆われ

それを待っていたかのように

闇を光が切り裂いた


降り立つ光はその手の槍を地に突き立てて

世界が震えるほどに吼える


精霊達はその御姿を一目見ようと目を凝らすが

咆哮が失せて響きが残るその時には

彼の者は既に地を離れ

次の地に向け天駆ける


代わりに舞うは風の精

花に住まう精霊たちに

同胞(はらから)の訪れを告げて舞う


未だ残響消えぬ大地に

しゃん、と透き通る鈴の音響けば

それが恵みの時の始まり


錫杖を以て命を遣わす

天女の時の訪れの始まり

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