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サリーちゃんのストーカー作戦の気付いてるミカエ

 監視生活から早1週間強、記憶改竄済みのハイスクールライフは順風満帆そのものだ。

 控えめの右も左も分からない風を装えば、クラスメイトが自然に救いの手を差し伸べてくる、まさにイージーモード。

 無駄に人間が好みそうなハイランク容姿のお陰だろう。

 今なら尊木の気持ちも分からなくもない。


 そんな監視対象である尊木だが、ドッペルゲンガー状態で私の教室の出入り口から、睨み節を絶えず送ってくる。

 いくら人間に姿が見えずとも、不必要な場面での悪魔パワー使用なんて、ご法度中のご法度。

 非常に面倒臭いが帰宅次第、報告書に書き留めねば。


「今度ミカエちゃんの家遊びに行きたいなー♪」

「うぅー!ごめん!まだ荷解きとか終わってないから、大丈夫になったら私の方から誘うね!」

「了解ミカっち!その時まで楽しみにしてる!」


 やはり人間とは呑気で平和ボケした、群れたがる生き物だな。

 そもそも人間と高校以外で馴れ合う気は毛頭ないし、仮に遊びに来たとしても、ミリオタ肥満男の元住処だった場所だ。

 もっとマシな生活環境を要求したいが、上から指定された場所だから、私の一存ではどうにもならないし、仕方がなく微々たる天使パワーの浄化パワーで、二郎系に似たスメルが染み付いた住処を解消中だ。


 最低でも数週間は要するだろうから、そう易々と人間を招けない環境ではある。

 ただ、夏休みに入る頃合いには浄化も完了する筈だ。

 そうなれば約束通り人間達を招いて、戯れてもいいのかもしれ……はっ。

 ついつい居心地のいい空間過ぎて、人間達と同じ時間を共有したいと思いそうになった。


 あくまで尊木と新田成幸の監視者として、人間界に溶け込んでいるのに過ぎないんだ。

 肝に銘じておくんだ、私。


 ♢♢♢♢


 放課後、教室でクラスメイトと別れ、生徒に混じり下校してるのだが……未だに尊木のドッペルゲンガーストーカーが続いてる。


 何か物言いあれば直接堂々と聞けばいいものの、現状維持ときたもんだ。

 本当に何を考えてるか分からないが、私がアパートに戻れば、流石に諦めざるを得ないだろう。


 ストーカーされてる事を、微塵も勘付いてない風を装い下校した甲斐あり、予想通り尊木は引き下がったみたいだ。


 ただ私がアパートに入るや否や、大声を発してた様だったが、大した問題ではないだろう。


 さて、最近始めた流行りの人間界娯楽であるVtuberの収録でもして、寝る前に報告書を纏め……。

 あ、そういえば、新田成幸の報告書も纏めないとだが……新田成幸は変わらず四六時中ボッチ……で構わないな。

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