サリーちゃんは謎女子をストーキングしたい
先日、私の許可なく新田成幸に接触した雌生徒は、狭間ミカエ。
顔面偏差値は及第点、クラスで2番目にモテそうな感じだな。
成績は不明、最近まで自宅療養で登校出来ずにいたそうな。
ぽっと出のきな臭い雌豚情報は、大体こんなもんしか分からんかった。
悪魔パワーを使えば、詳細情報を容易にゲロゲロ吐かせられるが、女として負ける気がして使えん。
ので、頭脳明晰な私は良案を思い付いた。
題して、隠密ストーキング24時!
実体のある尊い姿の私には普段通り過ごさせ、人間には絶対見えないドッペルゲンガー姿になった私は、雌豚を24時間ストーキングする、悪魔にしか出来ない芸当だ!
早速休み時間に案を実行だ。
さてさて、雌豚の教室での様子はどうだ?
生徒達と適度にコミュニケーションを取る、至って普通な姿か。
どうせ上っ面だけで、ダチはいないんだろうな!なぁ!
昼休み、教室で昼食は取らず、学食で日替わり定食を、女子生徒達と食べてる。
ぼっち飯したくないが為に、寄せ集めただけだろうな!なぁ!
放課後、友人達と気さくに別れを告げ、ちょくちょく歩きスマホしながら下校。
所詮、孤独を埋め合わせするだけに見繕った連中だった訳か。
下校する相手がいないなんて可哀想に……ププ。
おっとっと、ほくそ笑むなんて尊い私らしくないな。
とりあえずこのまま下校ストーキングすれば、雌豚の根城を把握出来る。
弱みを一つ握ってみれば、不思議と相手が小さく見えるもんだ。
もし仮に新田成幸と進展があろうものなら、逃げ場のない制裁を下すまで!はっはっは!
にしても、下校ルートが私と一緒とは、どういう了見だ?喧嘩売ってんのか?おぉん?
♢♢♢♢
数分後、雌豚の帰宅した建物に、私は足が震えた。
「あ、新田成幸の下の階ぃいいいいい!?」
いやいやいや!あり得んあり得んあり得ん!
私が引っ越し挨拶した時は、ミリオタ肥満野郎が住み着いてたぞ!
鼻下伸ばしながらチラホラ胸を見まくられたから、記憶違いではない!
ならば、一体どんな卑劣な手を使い、あの場所を手に入れたんだ!
しかも何故だか、視線が突き刺さっ……。
「……」
「あ、ありゃたくぅん……」
ヤベェええええ!?
声出ちまってドッペルゲンガー姿が解けちまってた!
電柱に隠れてる姿を、よりにもよってコイツに見られちまうなんて……は、恥ずかしいいいいいいいいい!
それから先の記憶は断片的だが、速攻で逃げ帰り、布団を被り恥ずかしさに悶えて寝落ち。
結果、生まれて初めて寝坊した。




