サリーちゃん以外の女子に初めて話し掛けられる新田成幸
今日もサリーさんASMRを不貞寝で盗み聞きする、変わらぬハイスクールライフ。
昨日まで傘渡しの件を引き摺ってた訳で、マイルームで猛省してましたよ。
でもさ、サリーさんから何も言われないから、セーフだって判断に行きつきまして、今日を持ちましてセルフ猛省終了させて頂きました。
「新田君」
え、誰か俺の名前を呼んだ?唯一孤独と友達の俺に?
しかも女子だ……えっと……だ、誰だっけ……マジで……。
同じクラスの子じゃないし、名前すら分からん!
「これ、この間片付け手伝ってくれたお礼」
片付けを手伝ったお礼……どうしよう、一切覚えがないのだが?!
え?え?え?
これは陰キャ生徒をターゲットにした、陽キャの思わせぶりな態度をとられ、気があるんじゃないかと勘違いさせられ、行く行くは告白させて盛大に振られ、全て陽キャのお遊びだったとバラされ、隠キャを笑い者にするアレでは!
いくら馬鹿な俺でも、流石に察しが付きますっての!
そもそもアンタの背後から、殺意の波動が隠し切れてねぇからな!
いいか名も知らず女子よ!
コミュ障があんなら、コミュニケーション中毒だってあんだろうがって話だ!
このパーソナルスペースにズカズカ土足で入り込む、パリピ陽キャめ!
でも、有り難く頂けるもんは頂きますけどね!
「……ん」
「じゃ、また」
出来る事なら金輪際、関わらないで頂けたら嬉しゅうございますが、廊下ですれ違ったら挨拶されそうで怖いわ。
てか、殺意の波動の忘れ物に気付いてるのかね?
今からでも間に合うから、早く拾いに戻って来なさい!
♢♢♢♢
昼休み、いそいそぼっち飯スポットの中庭の物陰で、コンビニ惣菜パンを美味しく頂くのが、俺のルーティンだ。
皆で食べた方が美味しい、なーんて説を唱えた奴は、それだけしか知らないから、そうしか言えないんだと俺は思ってる。
普通に1人で好きな事しながら食うのって、美味いんだからな!
誰にも届かない心の声も、もう慣れちまったな、ふっ……。
さて、メインディッシュも3分で食っちまったし、肝心の貰ったもんを確認してみるか。
モソゴソ……これは……激辛酸っぱ渋苦ポリッツ……。
や、やっぱり俺、あの女子に目付けられたんだぁぁああああ!
お前みたいな陰キャぼっちは、これでも食って体調壊して、そのまま不登校になれって言ってるんだぁああ!
勿論ポリッツ本体は開封することも無く、マイルームの封印ボックスに封じ込めたとさ。




