表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/36

サリーちゃんは新田成幸を意識してると認めたくない

 ここ最近、ろくな睡眠が出来ないのは何故だ。

 安眠と言えば私、私と言えば安眠だと、産まれた時から言われてるこの私がだぞ?

 表層上じゃ何も変化は無いが、内面はずーっとモヤモヤし続けて、意味が分からない!


 モヤモヤの正体を相談しようにも、完璧故に誰にも打ち明けられないのが、尊過ぎる私の数少ない弱点だ。

 くそ……尊さが仇になるなんて思わないだろう!


 いつも机に群がるモブ女子共の声は、今じゃただの雑音。

 新田成幸の息遣いをどうにかして耳に入れたいのに、マジクソで邪魔過ぎる。


「新田君」


 あ?

 聞き覚えのないメスの声が、新田成幸を呼んだよな?


 なんでモブ如きの女が、気安く新田成幸に近付いてんだ?

 まずは隣席である私に揉み手をしながら、ヘコヘコと一声かけて、一切合切邪魔にならない事を宣言してからだろう。


「これ、この間片付け手伝ってくれたお礼」


 この間?片付け手伝ってくれた?お礼?

 何言ってんだメスガキ風情が。

 新田成幸がそんな(やさ)イケ行動する人間じゃねぇだろ。

 妄想が行き過ぎて、現実と区別できなくなったんだな。

 この哀れなメス豚め!


「……ん」

「じゃ、また」


 は?はぁ!?はぁあああ!?


 そもそも貴様の怠慢な要求で、新田成幸の時間を浪費させる愚行自体、イカレた話だと思えよ。

 アイツはな、放課後になってすぐ直帰して、自室に籠る事をこよなく愛する、陰キャの鏡なんだ。

 陰キャは陰キャらしく生きてんだ。


 それに適当な既製品菓子をお礼に渡すなんぞ、マジ舐め腐り過ぎてるわ。

 常識的に考えて、愛情を込めたハートのチョコクッキーを可愛いラッピング包装してから、手紙と一緒に手渡すだろうが!

 そもそも大の甘味好きな新田成幸を、何も把握してない時点でテロ行為だ!


 そんだけじゃない!

 無愛想な一文字返事もしっかり覚えて、大事な日記に書き残して、夜な夜な眺めながら幸せに眠らないとだろうが!


「さ、サリー様? も、もしや私達がお気に障る事でもしましたでしょうか……」

「ふぇ?」


 いかんいかんいかん……殺気染みた空気が、いつの間にか表に出やがってた。


 尊い私らしくないな、まったく……。

 しかし何故、メスが新田成幸に接近しただけでこうも取り乱したんだ?

 ま、まるで私が新田成幸を意識してる……みたいじゃないか!?


 それは断じてない!

 どこからどう見ても、誰がどう考えても、絶対に釣り合わないから!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ