サリーちゃんとの隣席を手放したくない新田成幸
今日の俺は、とても憂鬱だ。
憂鬱過ぎて、8時間睡眠しか出来なくて、朝食もパンしか食べられなかったんだ!
え?肝心な理由?そりゃ、これしかないでしょ。
「えぇー予定通り、席替えをやりまーす」
絵里ちゃん先生のゆるーい宣言通り、席替えなんだ!
サリーさんの隣が、どれだけ尊いか!どれだけありがたいか!
そんな日も今日でお別れ……もう、席替えしたくないよぉ……およよ……。
「くじ引きを用意するんで、誰か数人手伝って下さーい」
しかも運任せなくじ引きと来たもんだ。いくら天使の俺でも、くじ運までは思い通りになりませんからね?
もはや俺に残されたのは、ふて寝でサリーさんの隣席を噛み締める、なんとも虚しい陰キャムーブのみ。
はぁ……さっさと席替えしてくんな
「先生、私手伝います」
「ととと尊木しゃん! はわわ~先生嬉しいですぅ~あ、ついでに隣の新田君も一緒に手伝って下さいね」
え?絵里ちゃん先生?マジと書いて本気でおっしゃってます?
サリーちゃんとの初めての共同作業を、クラスメイト前でお披露目ですか?
いやいや!そんなことになれば、流石に殺意の眼差しが止みませんから!
「あ。昨日の夜に先生、くじ引きを作ってたんでした~尊木しゃん、新田君、ごめんなさいね~?」
はい、分かってました。期待するだけ無駄なんですよ、所詮。
はぁ……憂鬱はしばらく続きそうだな。
♢♢♢♢
くじ引き一番手の俺は、安心安全保証の窓際に決まった。
いつになく孤独を感じさせてくれるな、慣れてるからいいんだけどさ?
俺の周りは勿論、一度たりとも話したことない生徒だらけ。
無言圧力リンチはこうして生まれるのか、怖い怖い。
隣は女生徒だけど、どんな感じなんだろう?
チラッと……ほわわ……隣の俺を無だと思ってらっしゃるぅ!
対するサリーさんは、ほぼ真反対。終わったわ。ゲームセット。クソげーくそげー。
もう、今から俺は風景と化して、残りのハイスクールライフを無意味に過ごしてやる!
ぐすん!
「先生! サリー様に欲情する不届き者を見過ごせません!」
モブ女子さん。
貴方も人のことを言える立場じゃない気もするけど、俺は絶対口にはしませんから。
「き、気持ちは分かるけど……あ、そうだ! 先生が今から、尊木しゃんの再くじ引きをすればいいんじゃない? これなら公平でしょ?」
「「「「おぉおお!」」」」
絵里ちゃん先生の逆転チャンス!
お願いします!どうかもう一度だけサリーさんと隣席にさせて下さい!
♢♢♢♢
「また隣になれましたね♪」
「……」
ヤバい。小細工無しの運任せで、こんな奇跡的なポジションになりますか?
えぇ!なるんですとも!
しかも、せっかく改めましての挨拶をしてくれたのよ?
ふて寝キャラを貫かないとならんのが、マジで苦痛過ぎるわ!




