表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/36

サリーちゃんとの隣席を手放したくない新田成幸

 今日の俺は、とても憂鬱だ。

 憂鬱過ぎて、8時間睡眠しか出来なくて、朝食もパンしか食べられなかったんだ!

 え?肝心な理由?そりゃ、これしかないでしょ。


「えぇー予定通り、席替えをやりまーす」


 絵里ちゃん先生のゆるーい宣言通り、席替えなんだ!

 サリーさんの隣が、どれだけ尊いか!どれだけありがたいか!

 そんな日も今日でお別れ……もう、席替えしたくないよぉ……およよ……。


「くじ引きを用意するんで、誰か数人手伝って下さーい」


 しかも運任せなくじ引きと来たもんだ。いくら天使の俺でも、くじ運までは思い通りになりませんからね?

 もはや俺に残されたのは、ふて寝でサリーさんの隣席を噛み締める、なんとも虚しい陰キャムーブのみ。

 はぁ……さっさと席替えしてくんな


「先生、私手伝います」

「ととと尊木しゃん! はわわ~先生嬉しいですぅ~あ、ついでに隣の新田君も一緒に手伝って下さいね」


 え?絵里ちゃん先生?マジと書いて本気でおっしゃってます?

 サリーちゃんとの初めての共同作業を、クラスメイト前でお披露目ですか?

 いやいや!そんなことになれば、流石に殺意の眼差しが止みませんから!


「あ。昨日の夜に先生、くじ引きを作ってたんでした~尊木しゃん、新田君、ごめんなさいね~?」


 はい、分かってました。期待するだけ無駄なんですよ、所詮。

 はぁ……憂鬱はしばらく続きそうだな。


 ♢♢♢♢


 くじ引き一番手の俺は、安心安全保証の窓際に決まった。

 いつになく孤独を感じさせてくれるな、慣れてるからいいんだけどさ?


 俺の周りは勿論、一度たりとも話したことない生徒だらけ。

 無言圧力リンチはこうして生まれるのか、怖い怖い。


 隣は女生徒だけど、どんな感じなんだろう?

 チラッと……ほわわ……隣の俺を無だと思ってらっしゃるぅ!


 対するサリーさんは、ほぼ真反対。終わったわ。ゲームセット。クソげーくそげー。


 もう、今から俺は風景と化して、残りのハイスクールライフを無意味に過ごしてやる!

 ぐすん!


「先生! サリー様に欲情する不届き者を見過ごせません!」


 モブ女子さん。

 貴方も人のことを言える立場じゃない気もするけど、俺は絶対口にはしませんから。


「き、気持ちは分かるけど……あ、そうだ! 先生が今から、尊木しゃんの再くじ引きをすればいいんじゃない? これなら公平でしょ?」

「「「「おぉおお!」」」」


 絵里ちゃん先生の逆転チャンス!

 お願いします!どうかもう一度だけサリーさんと隣席にさせて下さい!


 ♢♢♢♢


「また隣になれましたね♪」

「……」


 ヤバい。小細工無しの運任せで、こんな奇跡的なポジションになりますか?

 えぇ!なるんですとも!


 しかも、せっかく改めましての挨拶をしてくれたのよ?

 ふて寝キャラを貫かないとならんのが、マジで苦痛過ぎるわ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ