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走れ、ドクダミ

「おっおわあああああ」

私は自分でも良く分からない咆哮を上げて、無我夢中で帰路を急いだ。



本校舎に行く通りに差し掛かったところで、私は違和感に気が付いた。

あれ?人がいる?

本校舎に向かう道には、制服を着たシャリオン校の生徒が往来していた。

私は足が完全に止まってしまった。

目の前の人の波に……完全に気おされてしまった。

そのうち、通りを歩く生徒の一人がこちらに気が付いて顔を向けた。

私はあわてて、近くの木の陰に身を隠した。

な……なんで?今は夏休みのはずじゃ?

私は混乱する頭で考えた。

そして気が付いた。

今日は8月1日、自由登校日だ。


シャリオン校は夏休みの途中でその課題の相談や進捗の発表会や交流を目的とした登校日がある。

それが今日だ。

登校は自由というていだが、実際は自由とは名ばかりで強制登校日となっている。

登校自体はお昼からで、そこから生徒集会が行われ、各教室で発表会が行われる流れだ。

そのためちょうど今は……その登校時間だ。



「う、うううう」

冷汗が出てきた。

嫌な記憶がフラッシュバックする。

みんな、若干日に焼けた肌で、談笑しながら校舎に向かって歩いている。

明るい陽の中で目を輝かせて……。


こんな木の陰で独り汗をかいてる私とは……正反対だ。

同じ学校の生徒なのに……あそこと私がいるところでは世界が違う……。

私は足が震えた。

そして神様に祈った。

「お願いします。お願いします。早くみんなをどこかにやってください」

私は祈ったが……祈りは空しく、人は増える一方だった。

なんでこんなに……私は運がないんだ。

私はこの身の不運を恨んだ。



どうにか、どうにか誰にも見つからずに帰れないか、私は必死に考えた。

でも、今はランチタイム……そこかしこに生徒がいることは予想ができた。

だめだ手がない……思い切って、正面突破するしかない。


そうだ、やるしかない。

だめだ、逃げちゃだめだ。

登校している生徒がいるということは……正面玄関が解放されているはずだ。

不幸中の幸いだ。

それなら、裏口に回るよりも……断然早い。

私は意を決して飛び出そうと機会をうかがっていた。


勇気を振り絞って、行こう!そう思った瞬間、決定的なそれが聞こえた。


「ナオ、おはよ~」

「ナオ、久しぶりどうしてたー?」

「ナオ!今日もかわいいね」

「ナオ~課題教えて~」


その名前を聞いて、私は目の前が真っ暗になった。

あの子がいる。

すぐそこに。

そう思うと……体が硬直した。



「ポートマルリンカーさーーん!どこぉ~!」

木の陰で震えていると、遠くの方から校長先生の声がした。

私を探しているんだ!

その声に何人かの生徒が反応した。


「あっ校長先生!」

「え~?どこぉ?!会いた~い」

黄色い声援が生徒たちからわいた。

相変わらずの大人気だ。

校長先生は私のことを探している。

その声はだんだん近くなってきていた。

まずい!このまま捕まるわけにはいかない。

どうしよう……しかも私にはもう、時間がない。

心臓が爆発しそうなくらい大きく動き始めた。

飛び出す?あの人の流れの中に?



「ねぇ、今、ポートマルリンカーって言った?」

校長先生への歓声の中で、誰かがそう言った。

歓声の大きさからすれば、普通は誰の耳にも届かないくらいの声量だった。

だけど、まるで耳元でささやかれたかのように、私の耳にははっきりと聞こえた。

その瞬間に、私の頭は完全に真っ白になった。

生徒たちがざわめいている。

何の話題かは分からないけど、きっと私のことなんて話してる子なんていないはずなんだけど。

でも、私にはみんなが私のことを話しているように聞こえた。

呼吸をするのも忘れるほど、私はその場から動けなくなっていた。


木々の隙間から、こっちに向かってくる校長先生の姿が見えた。

通りの生徒たちもそれを見つけたみたいだった。

校長先生は私に気が付いてこっちに向かって来た。

生徒たちも私の背後から……近づいてきていた。

みんなには校長先生しか見えていない……わかってるけど、でも!

絶体絶命だ……そう思った、その時だった。

チャイムが鳴った。

大きな鐘の音だ。

シャリオン魔法学校には、その象徴として巨大な蛍灯の鈴が中央塔に備え付けられていた。

月灯の鐘と呼ばれているそれは、イベントがあるたびにそれを知らせる役目をしている。

今回はお昼の集会開始の10分前の予鈴だった。


美しい鐘の音と共に優しい魔力が周囲を包んだ。

私はその魔力の広がりを感じた時、ゴーレムの姿が頭に浮かんだ。

私は鐘楼塔を見上げた。


そうだよな……あいつに比べたら、この子達なんか!

私は両頬をぱちんと叩いた。

臆するなドクダミ。

お前はあいつに勝ったんだ。

あの世でゴーレムがこんなやつなんかに……なんて思わせちゃいけないんだぞ。

私は自分に喝を入れ、大きく息を吸い、走り出した。



正面口に向かって全力で走る。

出来るだけ耳はふさいだ。

だけど、どうしても生徒たちの好機の目と、声は聞こえてきた。


「うわ、なに?」

「汚い!」

「え?あれ、ポートマルリンカーさん?なんでいるの?」

「今まで来てなかったのに、急に何?いまさら、まじめにきたの?笑うんだけど」

「あの子ほんとにいたんだ」

「なんで校長先生はあんな子を?」

「あの子、なんであんなに汚い格好してるの?」

「へぇ、あの子……まだ生きてたんだ」


「うううううううう、心に、心に火を灯せー」

私は走る。

つらいけど、でも、顔は伏せずにまっすぐに前を向いて。

誰にもぶつからないように気を付けながら走った。


「なんだったのあの子」

「さぁ?ま、どうでもいいじゃん?」

「あっ校長先生!転びそう!」

予想通り、みんな、すぐに私なんかへの興味を失った。

みんなの興味はもう、後ろから私を追いかけてくる校長先生に完全に移っていた。

そういうもんだ。気にせず進め!

私はそう言い聞かせて、走った。


でも、たった一人、あの子だけは私を見ていた……そんな気がした。



校門を抜けて魔術通りをまっすぐ進む。

体力はもう限界だ。

今にも口から火が出そうだ。


通りは何やら騒がしかった。

まるで何かのお祭りの準備でもしているかのように見えた。

私はその通りの華やかさに、一瞬目を奪われてしまった。

酸欠によって脳が回っていなかったのも理由だと思う。

その一瞬の油断で私は通りにいる誰かにぶつかり、しりもちをついた。


「す、すいません!」

私は素早く立ち上がり謝った。

「い、いえ、私こそ……。ってあら?あなたドクダミちゃん!?」

私にそう声をかけてきたのは、いつぞや寄った、たばこ屋さんのお姉さんだった。

「今日もかわいいわね!ってあなたボロボロじゃない!大丈夫?」

「す、すいません。だ、だ、だ、大丈夫です」

私は荒い息でなんとか答えた。

「どう見ても、大丈夫じゃないよ!服もボロボロだし!汗もすごいじゃない!」

「ら、らいりょうぶですからぁ……」

「また、そんなこと言って!ほらこっち!私の家に来て!一緒に冷たいレモネードでも飲もう?」

お姉さんはそう言うと私の腕を引っ張った。

私は咄嗟にお姉さんの顔を見た。

お姉さんは目を充血させて、頬を赤らめて、肩でハァハァ息をしていた。

え?

私はその顔を見て若干引いてしまった。

「ら、らいりょうぶですからぁぁぁ!」

私は強引に家に引っ張り込もうとするお姉さんを振り切り、再び走り出した。



「ほぇぇ……なにこれぇ……」

私は通りをふさぐ巨大な荷物と牛車を見た。

「お嬢ちゃん、もしかしてここ通りたいのか?」

大きな牛を世話していたおじさんが途方に暮れる私に声をかけてきた。

「は、はいぃぃ、この先のお家に帰りたいんですけどぉ……」

「そうか、そりゃお気の毒だな。少しの間ここは通行止めだ」

「うえええええ?ど、どのくらいですかぁ?」

「そうさなぁ……荷物全部下ろすから……まぁあと二時間くらいかな」

「に……にじかん……」

私は絶望した。

ここから迂回路を行くとすると、まずは来た道を引き返して一回中央まで降りて登って……。

だめだ!どうしても間に合わない!しかも、道のりは何倍にもなる……絶対体力がもたない!

ここをどうにか切り抜けるしかない!

「まぁ、あれだな。そこの酒屋、日陰になってるからよ。あそこでレモネードでも飲みながら待ってな」

おじさんは私にそう言った。

だけど、休んでる時間はない!

「ちょっちょっと、そこの隙間、通らせてください!」

私は牛車と荷物の間にできていたわずかな隙間に身をねじ込もうとした。

「やめな!お嬢ちゃん死ぬぞ!」

「と、と、止めないでくりゃさいいいい!」


「おう、どうした?マイルズ」

私とおじさんが取っ組み合いしていると、店の奥からもう一人、おじさんが出てきた。

「うん?お前さん、ポートマルリンカーのご令嬢じゃないか」

「ふぁ?」

私は奥から出てきたおじさんを見た。

「あっ!文房具屋さん!」

「おう!ロックス。お前このお嬢さんと知り合いかぁ?」

「ああ、うちのお得意さんだ」

奥から出てきたおじさんはビーガー通りにある、あの文房具屋のおじさんだった。

「よぉ、お得意さん。どうした?そんなに急いでどこへ行く?」

「お、お家に帰りたいの。今すぐにでも!」

「そうかい。わかった。おい、マイルズ通してやれ」

「おいおいおいおい、どういう風の吹き回しだよ、ロックス。お前が、人助けなんてよ!」

「言ったろ。お得意さんだ。それくらいサービスするさ」

「おーそうかい、じゃ好きにしろ。俺は関係ねーかんな」

「おう、そうか。俺の記憶違いじゃなけりゃ、確かお前さん、先週酒場で俺と賭けしたよな?あれどうなったっけな?」

「おいおい、もう時効だろうよ」

「ほう?そうかい。じゃ先月のあれも時効かな?確かお前カンザスの野郎のとこで……」

「この野郎!こんな時に余計なことばっかり思い出しやがって!」

「ああ、なんだか今日は頭が冴えててな。今なら、なんかもっといろいろ思い出せそうだな」

「ええい!わかったよ!……ああ、おいお嬢さん。そこ動くなよ」

おじさんはそう言うと私を抱え上げた。

「風よ集まれ、この子を運べ」

おじさんはそう言うと私をゆるく放り投げた。

「おわ、わぁ!」

私の体は重力なんてなかったかのように、ふわりと浮いて飛んでった。

「あばれるなよーお嬢ちゃん!そのまま上まで行け」

「あ、あ、あ、ありがとうございますー!」

私はふわふわしながら、おじさんたちにお礼を言った。

マイルズと呼ばれてた、おじさんは、ぶっきらぼうに手を振った。

「お嬢さん。気に入ってくれたんなら、贔屓にしてくれ」

ロックスのおじさんがそう言った。

「俺んとこもな!ビーガーで荷物運んでんだ!何か入用になったら声かけてくれー!負けとくからよぉ!」

マイルズのおじさんは半分ヤケって感じで叫んでいた。

「は、はぁ~い!ありがとうございますぅ~」

私はそう言うと荷物の上に着地した。



「お~いお嬢ちゃんそっち側になら梯子あるだろ。それ使ってゆっくり降りろ!」

マイルズのおじさんの声がした。

私は荷物の上から周囲を見ると、確かに反対側に梯子がかかっていた。

「はい!わかりましたぁ~」

私はそういうと慎重にその梯子を使って反対側に降りた。

「渡れましたぁ~!ありがとうございますー!」

私は反対側に聞こえるように思いっきり叫んだ。

「おう!気をつけてなー!」


おじさんからの返事を聞くや否や私は再び走り出した。



十字路が見えた。

あそこが魔術通りの終端だ。

あそこを過ぎれば……お家はすぐそこだ!

でも、私はなれない筋肉を使ったからなのか、もう全身がバキバキだった。

腕が上がらない、息を吸うたびにおなかが痛い、そして今にも足がつりそうだった。

呼吸も、こひゅーこひゅーという音が口から出始めた。

もう完全に虫の息だ。

真夏の太陽も私を容赦なく照り付けてきた。

「ううううううう、水……」

口が気が付いたらずっと半開きだったので、すごく喉が渇いていた。

それを認識したら、急に視界がぼやけてきた。

「あるぅえ~、み、みひがひゃんぼんに、みえりゅう~」

私はそう言うと、その場に倒れた。

あっやばい。

そう思った。

全身から力が抜けていくのを感じた。

それにあらがおうと私は必死に、もがいた。

だけども、健闘空しく私はついに動けなくなってしまった。

地べたに五体を放りだして、うつろな瞳で、ただ、流れゆく雲を見つめる事しかできなくなった。


ごめん。イヅナちゃん私もう限界だ。

ごめんなさい。シルアさん。用意してくれてた料理……もう、食べれないや。

ごめん。レイシーちゃん……心配ばかりかけちゃった。

ごめんなさい、モリー様。私がふがいないばかりに、せっかくのチャンスが。


「ごめん……お父さん。私、さきにお母さんのところに……」

完全にあきらめかけたその時だった。

「ドクダミちゃん?!大丈夫?」

誰かが私のそばに、駆け寄ってきた。

太陽の逆光でよく見えない。

だけど、この匂い、この……やさしいシルエットは……。

「お、おかあさん?」

「残念、私はお母さんじゃないわ。私よ覚えてる?」

そう言って顔をのぞかせてきたのは、魔術洋服店のおばあさんだった。

「あっ、洋服店の……おばあさん」

「覚えててくれたのね。ありがとう」

「ううう、うううう、すいません……、な、なにか、飲むものありませんかぁ?のどがカラカラで」

「え?ええ、そうねあるわ。でもちょっと待って。あなたすごい熱だから、まずは日陰に行きましょう」

おばあさんはそう言うと、私を抱えてくれた。

お年なのに……無茶させちゃって、ものすごく申し訳なかった。


「ほら、飲んで」

通りの端の何かのお店の軒先で、おばあさんは私に冷たい飲み物を渡してくれた。

私はそれを無我夢中で飲み込んだ。

まるで砂漠に水滴を落としたかのように、私の体はそれを吸収した。

水分を取ると、体から汗が出てきた。

気が付かなかったけど、私は汗が出ないくらい脱水していた。

発汗してるということは……体の機能が戻ってきたということだ!

「もういっぱいください!」

私はおばあさんにそう言った。

「ええ、もちろんよ、どうぞ。たくさん飲んで」

そう言うとおばあさんは……冷たいレモネードの入った瓶を渡してくれた。

私はそれを一心不乱に飲み干した。

「うぼぉうあーー!!」

水分を補給した私は、まるで水を得た魚のように元気になった。

活力が体にみなぎってきた!


「ありがとう!おばあさん。また、いつか、必ずお礼しに行きます!」

私は立ち上がり、おばあさんに頭を下げた。

「今日はすいません!私行かなきゃなのでこれで!」

「え?え?だめよ!だって、あなたまだ熱が……」

「ほんとにありがとうございましたーーー!」

私は制止するおばあさんの声を背に再び走り出した。



息も絶え絶えだった。

地面を蹴る足に力が入らず、ふわふわしていた。

息を吸うたびに肺が傷んだ。

汗がまた、乾き始めていた。


それでも、それでも、私は……帰ってきた。

遠くから、鐘の音がした。

13時を知らせる鐘の音だ。

「ま、間に合ったぁ?」

私は最後の力を振り絞り、お家の門に手をかけた。

そしてそのまま……ゆっくり前のめりに倒れた。


からんからんと門に着いたベルが音をたてた。

その音を聞いて家の中から誰かが外に飛び出してくる音が聞こえた。

すぐに、玄関が開いた音が聞こえてきた。


「ドクダミちゃん!」

「帰って来たん?!」

イヅナちゃんと、レイシーちゃんの声だった。

「あっ!た、倒れてるよ!レイシーちゃん!」

「おうよ!イヅナちゃん!」

二人は私の姿を見つけると、急いで駆け寄って来てくれた。

「家の中に運ぶで!」

「おうよ!」

二人は私を抱えると、ものすごいスピードでお家の中に運び入れた。



「大丈夫?!ドクダミちゃん!」

イヅナちゃんは心配そうに顔をのぞかせてきた。

二人はすごいスピードで、私を玄関に引き入れてくれた。

私は玄関に大の字になって天場を見上げていた。

「う、うん。大丈夫だよ……ごめんね。遅くなっちゃった」

「ううん!いいの。ドクダミちゃんが無事で……それだけで……」

そう言うとイヅナちゃんは涙ぐんだ。

「ドクダミちゃん。こんなボロボロなって……私許されへん!あの学校!あんな手紙一つよこすだけで!ドクダミちゃんをこんなにして帰すなんて!」

「ち、違うよ。先生たちはよくしてくれたよ。全部私のためだったんだよ、レイシーちゃん。恨むなら、弱い私を恨んで」

「そんな!」

私は弱弱しく右手を上げた。

「こ、これ……見て」

私はそう言うと、死力を絞って手に入れた許可証を二人に見せた。

「これって?!」

二人が声を重ねた。

「うん。私……合格したよ!」

「ドクダミちゃん!」

二人はそう言うと私に抱き着いてきた。

「信じてたよー!」

イヅナちゃんが腕に力を入れた。

「ぐぅううう、う、うん」

私は少し締め付けられていた。

「ドクダミちゃんやったら、やれる思ったわー!」

レイシーちゃんが、腕に力を入れた。

「うぐ!ぐぅ……」

私は呼吸ができなくなった。

すごい苦しい!


でも!すごくうれしかった。


「あんたら!」

限界が近づいてきたころ、キッチンの奥から、シルアさんがやってきた。

「お嬢さん絞め殺す気?!」

シルアさんがそう言うと、二人は、はっとして私から離れた。

「ごめん!ドクダミちゃん!」

「私らまったやってもうたわ!」

「うん。らいりょうぶ……」


そのやり取りをして私は初めて心底、安心した。

苦しかったけど、でも、帰ってきたことを……実感した。


「お嬢さん!とりあえずこれ飲んで、お風呂入ってください!」

シルアさんはそう言うと、透明な冷えたボトルを渡してきた。

「あ、ありがとうございますぅ……これ、なんですか?」

私はそれを受け取り、意味はないけどなんとなくそう尋ねた。

「冷えたレモネードです」

「れもねーど……」

「夏といえば!これだよね!」

「せやね!夏といえばこれやね!」


そう言って豪快に笑う二人を見て……私も可笑しくなって大笑いした。

そしてなんでか、涙がぽろぽろこぼれた。


「笑ってる暇ないよ!」

シルアさんが叫んだ。

「お嬢さん!それ飲んだら、お風呂入って、着替えて……ごはん!すぐ食べれるように、準備しときますんで、食べれるだけ、食べてくださいね!」

シルアさんがそう言った。

「ほら!レイシーさっさと動け!」

「ほい!いくで!ドクダミちゃん!」

レイシーちゃんはそう言うと私の服を強引に引っぺがした。

「うぎゃー!」

私は叫び声をあげた。

「あんた!ここで脱がしてどうすんの!」

「え?あ?そやった!ごめんドクダミちゃん!急いでお風呂まで運ぶわ!」

レイシーちゃんはそう言うと私を持ち上げた。

目の前には……イヅナちゃんがいた。

「う……うわぁ……ドクダミちゃん、すごぉ……」

「うげぇー!み、見ないでぇーー!!」


私はひどく赤面した。

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