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僅かな光明

目の前に二本の木が不吉に立っていた。

俺達は、戦闘態勢を取った。

どうやらこいつは、俺達を逃がす気は無いらしい。


「どうやら、逃がす気は無いらしいな」

俺は言った。

「今から俺達は来るかもわからない救助が来るまで、無敵の魔物と戦うことになりそうだが……」

俺は後ろを振り向いた。

「戦える奴は?」

俺の質問に、全員が頷いた。

「今までは不甲斐ない姿を見せましたが……もういけます」

ホークは懐から折り畳み式の弓を取り出した。

「それ、やれるのか?」

俺はその弓を見て尋ねた。

その弓は頼りないおもちゃのように見えたからだ。

「正式な装備は……ありませんでした。恐らく奴に捨てさせ“られた”んでしょう。しかし、撃てさえすれば当てれます」

ホークは自信があるようだった。

「私も……」

モフルさんは上着の内側にあるポケットから瓶を取り出した。

「あの甘いような匂いなら……これである程度は中和できるはず……」

「虫よけの匂いは効きそうか?」

「うーん、どうだろう?嗅覚があるか分からないから、刺激臭で目とかを攻撃する方がいいかも」

「よし、準備はしといてくれ」

ホークたちは着々と戦闘準備を進めた。

二人は覚悟を決めた表情をしていた。

「レイシーは?」

俺はレイシーを見た。

「もちろん!いけ……」

レイシーは胸を張って見せた。

が、その時レイシーの腹が大きく鳴った。

「……なさそうです。すみません、力が出んくて……」

レイシーは苦笑いしていた。

俺は腹を抑えるレイシーの手を見た。

真っ赤になって腫れてきていた。

やはり……指の2、3本は折れているかもしれない。

「もう少し待ってください!干し肉はまだありますんで!これを食べたらいけます!」

「レイシー無茶はするな。お前はドクダミちゃんとクリス君を守ってくれ」

「え?でも!?」

「これ以上は無茶しないでくれ」

俺がそう言うとレイシーは寂しそうに笑った。

「ははは、お見通しですか……」

「お前のおかげでここまで来れた。あとは俺達がやる」

俺はそう言うと、イヅナを見た。

「もちろん!私は行けます!」

イヅナは元気に手を上げた。

「奴には借りがあります。返させてください」

「ああ、頼りにしてる。ただし無茶はするなよ」

「はい!」

そう言うとイヅナは目を閉じ、呼吸を整え始めた。

集中しているようだ。

本当に頼りにしてるぞ……。

レイシーにかっこいいこと言ったはいいが……実際俺はもう……戦えそうにはない。

俺も覚悟を決め、深呼吸した。

どうしようもないことをどうにかする。

手段は選ばない。



目の前の木が動き始めた。

あっと思った時にはすでに、俺達は木々に囲まれていた。

驚異的な速度で、俺達に残されたスペースは、半径3mほどとなっていた。

木々は空まで大きく伸び、俺達の頭上を閉じた。

陽の光が遮られ、朝とは思えないくらい薄暗い空間が……あっという間にできていた。

周囲は静かだった。

まるで音までも遮られたようだった。

「しゅるぅあああ」

静寂に包まれた空間から吐息のような声が聞こえた。

「来るぞ!」

俺が叫ぶと、頭上にやつが姿を現した。



「きゅああああ……」

鳴き声につられて俺達は上を見る。

そこには木々で閉じられた頭上いっぱいに、大きく輝く目があった。

「おい?!なんか、でかくなってないか?!」

俺は思わず叫んだ。

「そのようですね!」

「こ、これは……危ないよぉ!」

俺達が突然現れた目にたじろんでいると、背後から閃光が走った。

「モリー様!行けます……」

イヅナはそう言うと、閃光を自らの体に纏った。

「イヅ……」

俺がその姿を確認しようとした瞬間、目の前にあった奇妙な形の木が動き始めた。

まるで帯電したイヅナに反応するかのように……。

木はあっという間に形を変化させ、蜘蛛の足のような形になっていた。

先端を鋭く尖らせて、狙いを定めるかのように揺らめいていた。

「やる気かぁ?!」

イヅナが叫ぶ。

それと同時に、前方の木がまるで槍のように伸びてきた。

それに反応して、イヅナは刀に手をかけた。

「イヅナ?!待て!」

俺が静止するより早く、イヅナは飛び出していた。


「遅い!」

青白い閃光が尾を引いて暗闇の中を伸びて行った。

は?と思った時にはすでに……目の前の木は一瞬にして輪切りになっていた。

「え……?」

思わず、声が出た。

「きゅああああ!」

同時に頭上から、叫び声が上がった。

すぐに奴は反撃の構えを取った。

俺達を囲んでいた、左右の大きな木が突然大きくしなり、ハンマーのように振りかぶった。

「隙!だ・ら・け!」

イヅナの声が聞こえたかと思うと、俺の脇を光速の何かが通り抜けた。

「うお?!」

俺はその風圧で思わず後ずさった。

驚いて振り向いた時、すでに左右の木は根元から真っ二つになっていた。

そのまま木はバランスを崩し、地面に倒れた。

砂埃が立つ、視界が曇る。

だが、そんな中にあっても俺達の目には見えるものがあった。

青白く光る人影と……真っ白な光が二筋……。

俺は言葉を失っていた。

「イヅナ……?」

「は~ん?こんなもん?」

イヅナが頭上の魔物を挑発した。

すると頭上の奴はそれに乗るかのように、大きく空気を吸い込んだ。

「来る……!モフル!」

ホークが叫ぶ。

「はい!屈んでみんな!」

モフルさんはそう言うと準備していた魔術を封じ込めた瓶を宙に放り投げた。

「ごああああ!」

同時に頭上から、空気を吐く声が聞こえた。

その声に呼応して、モフルさんの瓶が割れた。


甘い匂いの風が吹いた。

そして、ピンク色の霧がドーム状になり俺達を包んだ。

同時に頭上から真っ黒な不吉なガスが放たれた。

しかしそれは俺達に届くことはなく、薄いピンク色の霧が黒いガスを防いでいた。

「あれを吸ったらアウトか?!」

「おそらくそうですね……!さっき私が喰らったのと同じです!」

「モフル!この魔術はどれくらいもつ?」

「そんなにもたない!」

モフルさんが叫んだ。

「どうにか上の奴を止めないと、やばいかも!」

どうやら、それは頭上の奴も勘づいたようだった。

ジュリエッタは、一度ガスを吐き切ると、間髪入れずに再び空気を吸いこんだ。

「クリス!行けるか?!」

ホークが叫んだ。

「え?!準備はできますが……何するんですか?!」

「モフル!刺激臭を準備できるか?!うんと強い奴だ!」

「な、なるほど!う……うん。できるよ!」

「奴にカウンターを入れる。一泡吹かせてやろう」

ホークがそう言うと、モフルさんは瓶を二つ用意し、調合を始めた。

クリス君は腰につけていたポーチから小さな杖のような形の金属を二つ取り出した。

クリス君は一方を強く地面に突き刺すと、もう一方をホークに渡した。

ホークはそれを受け取ると、背中の矢筒から矢を取り出し、先端に金属をくくり付け始めた。

「いくぞ!」

ホークはそれを矢じりに巻き付け終わると弓を引いた。

「それ……どうにかなるのか?!」

俺は思わず叫んだ。

何か策があるようだが、何をしようとしているのか皆目分からない。

「信じてください!」

ホークがそう言うと頭上に狙いを定めるた。

クリス君がそれを見て、矢じりにくっついている金属に電気を通した。

俺はホークの言葉を信じた。

「どうせもう必要ない」

俺はそう言うと、俺の体についている火をホークの弓に移した。

「お前に賭ける!」

ホークは俺を見てにこりと笑うと、呼吸を整え……それを真っ暗な闇の中に放った。



空気を割くような音がした。

ホークが放ったそれは、黒い霧を切り裂いて、遥か頭上高くまでまっすぐ飛んでいった。

「ぐああああ」

驚いたような声と共に、木に何かが突き刺さった音がした。

どうやら、奴はうまくかわしたようだった。

わずかにできた霧の切れ間から、青白く光る物が天井に刺さっているのが一瞬だけ見えた。

だが、すぐに黒い霧が周囲を取り巻いき、それは姿を消した。

黒い霧が周囲を再び包み込むと、空気が吸い終わる音がした。

「うっ……!追加が来るぞ!」

俺が叫ぶと同時に、大きく息を吐く声がした。

「モフル!」

黒い霧が、ピンク色の空気を浸食して、俺達のところまで到達しようとしていた。

「はい!」

モフルさんはそんな中で、調合した瓶をクリス君に渡した。

クリス君はそれを突き刺した金属と共に握ると手に電気を集めた。

「合図したら、飛ばします。皆さん伏せてください!」

クリス君が叫んだ。

「目と鼻をふさいでね!刺激がすごいから!」

モフルさんはそう言うと、ホークは素早く地面に丸まった。

俺達もそれに倣い、目と鼻をふさいで地面に丸まった。

レイシーはドクダミちゃんに覆いかぶさって守る姿勢に入った。

「3、2、1……行きます!」

クリス君がそう言うと、彼の手から閃光が頭上に向かって飛んだ。

それは先ほどホークは放った金属に向かってまっすぐに飛んでいった。

クリス君の手にあった瓶は閃光と共に発射され、光の中を通って……頭上に瞬間移動していた。

一筋の細い糸のような切れ目の先で、瓶が光っていた。

瓶の中には緑色に光る空気と赤い液体が入っていた。

「せ~い!」

モフルさんが掛け声とともに手を叩いた。

すると、瓶が破裂し、その中身が大気に放たれた。



「ぐぎゃあああああ」

肌に刺さるような刺激と共に頭上から悲鳴が聞こえた。

同時に周囲の木々ががさがさと音を立てた。

音はだんだん遠ざかっているように聞こえた。

そしてすぐに伏せていても分かるくらい周囲が明るくなったのを感じた。

「いよい、しょお!」

モフルさんはそう言うと、両手に風を集め……爆風を放った。

その風は、俺達を包んでいたピンクや黒や赤色の霧、その全部をひっくるめて、遥か彼方に霧散させた。

「た……助かったのか?!」

俺は顔を上げる。

そこにはさっきまで俺達を囲んでいた木々はなくなっていた。

いや、正確には完全になくなったわけではなく、かなり遠巻きな位置に移動していた。

「とり合えず……危機は一旦どうにかなったみたいですね!」

イヅナがそう言った。

「油断するな。遠巻きとはいえ……まだ俺達は囲まれているんだ」

俺は注意を促した。

「奴は?!」

ホークは慢心することなく、すぐに周囲を確認した。

さっきまで俺達を囲んでいた木々は、半径50mほどに広がっていた。

しかし、依然囲まれているのは変わりなかった。

「いる!」

ホークはそう言うと一本の木を指さした。

その木は、確かに一本だけ不自然に揺れていた。

その揺れがだんだん収まると……隣の木に移動した。

「うごいたぞ!」

俺が言うと、木の揺れがその隣に、また隣に、そうして次々に移っていった。



がさがさがさがさと木の葉の揺れる音が不吉に響く。

奴は俺達を取り囲む木の中をぐるぐる周回し始めた。

「ぐるぐる回り始めましたよ!モリー様!」

「ああ、そうだな」

奴はだんだんと周回速度を上げながら、少しづつ円を狭めてきた。

「また取り囲む気のようですね」

「へ!何度来ても同じことよ!」

「いやそうでもない」

俺は言った。

「モフルさん、さっきの後何発やれる?」

「できても、あと一回くらい。魔力ももうないし、材料もないの」

「イヅナは?あとどのくらいその状態続くんだ?」

俺は青白く輝くイヅナに言った。

「へへへ、いくらでも行けますよ!」

イヅナはそう言ったが強がりなのは明らかだった。

「本当の事言え」

「すみません。あと5分くらいです」

「つまりは……だ。チャンスはあってもあと一回しかないってことだな」

俺がそう言うと嫌な空気が流れた。

「つまり……それってぇ……」

「まぁ、かなりピンチってことだ」



「打開策はあるか?」

俺は尋ねた。

「ぶった切る!」

「いい案だ。だが、ぶった切ってもあいつはダメージを木に押し付けるだけだ」

「回復できないくらいまでぶった切る!」

「なるほど、一理はあるがそんな体力はもうないな」

「じゃ、どうしろってんですか?!」

「それを考えるんだよ!」


「分からないことがあります」

クリス君が言った。

「奴の目的は何でしょう?なんで僕達を狙っているのか」

「なんでって魔物だからじゃない?!」

「魔物と言ってもいたずらに人間を襲いません。何か理由があるはずです」

「単純におなかすいてるんじゃないかな?!」

「確かにそれもありそうだ。しかし、あのレベルの魔物は人間に敵意を向ける傾向にある。その為じゃないのか?」

「可能性はありますが……執拗すぎる気がします。それに何か違和感があります」

「違和感?」

「ええ、ドクダミさんです」

クリス君がそう言うと、俺達は慌ててドクダミちゃんを見た。

ドクダミちゃんは気を失っている。

目覚める気配は今のところない。

だが、おかしなところは見当たらなかった。

「おい、脅かすなよ。いつの間にか死んじまったのかと思ったじゃないか!」

「で、でも、目覚めません!モフルさんの疲労も異常です」

クリス君がそう言うと、ホークがモフルさんを見た。

「た、確かに……モフルが魔力切れするなんてことは今まで一度も……」

「そ、そう言えばそうだね……なんだか今日はすごく疲れてるかも……」

「つまり?」

「奴は魔力を吸っているのかもしれません」

「魔力を?」

「ドクダミさんを始めに狙ったのは魔力が一番高かったからかもしれません。モフルさんとホークさんも魔力量で言ったら高い方です」

「そうなのか?」

俺はホークに尋ねた。

「え、ええ。無駄に結構魔力はあるほうですね」

「そしてその二人は明らかに軽傷です……。あんなことになった割には……」

「つ、つまり?」

「装備の重量や体のつくりもありますが、単純に魔力を吸うために生かされていた……。とも考えられます」

「モルドは……確かに魔力量で言えば少なかった」

「僕も、まだ魔力は成長しきっていません。お二人に比べたら……まだまだです」

「と、言うことは?!」

「奴は餌を求めている可能性があります」

「やっぱり腹ペコなんだね?!」

「そうです!つまり、もしかしたら、奴も体力の限界が近い可能性があります」

「なるほど……?」

俺は再び奴を見た。

俺達を取り囲む木々はいつの間にか半径10mほどまで狭まって来ていた。

そして、そこから少しだけ動くと……木々は静止した。



「止まった?」

周囲は嘘のように静寂に包まれていた。

「ですね……」

ホークはそう言うと息をのんだ。

周囲は確かに静かだ……。

しかし、それが逆に不気味だった。

木々の間の闇の奥から、まるで無数の目で観察されているかのような不快感があった。

「何を考えてる……?」

「わかりません」

「で、どうする?このまま何もしなければ助けがきてすべて解決とはならないだろう?」

「ですね。逆に奴はそうして餌が来るのを待っているのかもしれません」

「私達が呼んだ救助隊を襲う気ですか?!」

「可能性はあるな。救助隊は俺達がどういう状況か分かってないだろうからな……」

その時、タイミングが良くホイッスルの音が聞こえてきた。

まだ遠かったが、しかし、確実にこちらに近づいてきていた。

「タイミング最高だな」

俺が言うと同時に、その音に反応して木が揺れた。

「奴も餌の匂いに気が付いたみたいだ」

「大変だ!知らせないと!」

イヅナはそう言うと、ホイッスルを咥えた。

「待て!それを吹いたら救助隊がさらに歩みを早めるかもしれない」

俺は慌ててホイッスルを吹こうとするイヅナを止めた。

「ふ、ふあい!」

イヅナはそう言うと咥えたホイッスルを慌てて吐き出した。

「どうする?手はあるか?」

俺は言った。

「進むも地獄、待つも地獄だ」

「やるしかありません」

ホークは構えた。

「救助隊に奇襲をかけられたらどっちにしろ私達は終わりです。その前にやるしかない」

「で、でもぉ!どうやって倒すんですか?!」

「今までの戦闘で分かったことがいくつかあります」

クリス君が言った。

「まず、奴は一本の木に潜んでいます。移動はするけど基本は一本」

「ああ」

「その木の周囲の木だけを操れるようです。正確にはかなり広範囲操れますが攻撃のような精密操作は周囲の木々しにしかできないと思われます」

「つまり、奴は攻撃してくれる木の近くにいる?」

「そうです。そして、毒ガスを放つときには木は操れません。攻撃はどちらか一種類しか来ないと考えていいと思います」

「なるほど!」

「だが、不用心に近づくと毒ガス喰らうから。木を操っているからって安心して、突っ込みすぎるなよ」

「うぐっ!は、はい!」

イヅナはびくっとした。

どうやら突っ込む気満々のようだった。

くぎを刺しといてよかった……。


「あと分かることは……ダメージは受け流せますが、喰らわないわけではないということです」

「ダメージは喰らうけど喰らわないって事?!」

「怪我とかしないけど痛いのは痛いって感じか」

「そうですね。そう考えると分かりやすいかもしれません」

「なるほど!」

「モフルさんの攻撃にも強い反応をしました。つまりここから考えられる奴の打倒策は……二つ!」

「それは?!」

「爆裂な攻撃で一撃でぶっ飛ばす。それか毒殺です」

「爆裂な一撃……」

俺はドクダミちゃんを見た。

「毒殺……」

イヅナもドクダミちゃんを見た。

ドクダミちゃんは安らかな顔で眠っていた。

「肝心な時に何寝てんのさ!起きてーーー!ドクダミちゃん!」

イヅナはドクダミちゃんをゆすった。

「気持ちは分かるけど!今は休ませたってぇ~!」

レイシーが泣きながらイヅナを止めた。

「十分休んだでしょ?!救助隊がピンチなんだよぉ!」

「ま、まぁ落ち着け」

俺は暴走する、イヅナを羽交い絞めにした。



「ちなみにモフルさんは劇薬とか持っているんですか?」

俺は尋ねた。

「そう言うものは……ないかなぁ……」

「そうですか……」

「クリス……ほかの方法は何かないか?」

ホークが言った。

「その方法は今の我々では難しい内容だ。他に何か気が付いたことは?」

「そうですね……」

クリス君は思案した。

そして、何かを思い出したようだった。

「潜んでいる木に強い打撃を与えると、奴は飛び出してきました」

「ああ……確かに……」

レイシーのタックルを喰らって奴は確かにたまらず飛び出して来ていた。

「そこがねらい目ってこと?!」

「かもしれません」

「そう言えば……」

俺は奴の事を思い出していた。

奴……、地面と同化して戦う、地上最強の男。

「そういえば昔ウーティが言ってたな。空中と水中以外なら俺は地上最強とかなんとか……」

思えば最後に北部魔界へ冒険に行った時、奴はソリに乗ることを異常に恐れていた。

それに空中にいる間はやけに弱気だったような気がする。

「ウーティ様にも弱点が?!」

「ウーティ・ハート……。地面の魔術師ですね?」

「同化魔術の弱点ですね。同化対象がいないと効果は発動できない」

「それじゃ……」

「ええ、奴を引きずり出す事さえできれば……」

「倒せる可能性はある?!」


暗中だった俺達にわずかな光明が見えた。

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