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ダンジョン改善点

昨日、全国各地で花火が打ち上げられたようですね。

私はネットで見ましたが、花火はいいものです。


早く外にでて、みんなで花火を見ながら酒を飲めるようになりたい。。

畑に置いていたカマで草を刈っていると、ダンジョンの入り口から声が聞こえてきた。

どうやら帰ってきたらしい。


カマを土にさして、袖で汗をふく。

後藤さんは……両手に剣などを抱えているようだ。

あの兄弟の荷物を持ってあげているのか。


肝心の兄弟は、服がところどころ塗れている。ウォーターサラマンダーとでも戦ったのだろうか。


「どうでしたか?」


早速3人に声をかける。


「ああ、中野様。難易度はやはりいい具合ですね。Dランクでは、ひどいことになっていましたよ。」


そういって笑う。


「戦利品は、低級な魔石が10個くらいと、カニの爪ですかね。この二人も、初めてにしては上出来だと思いますよ。」


まあトントンといったところか。

カニ……バルーンクラブの爪も手に入れたようなので、戦果としては上々だろう。


バルーンクラブの爪……。淡水系のカニだが、身は刺身でも食べられるそうだ。

都内の和食屋さんで時々見てはいたが、1個2000円もしたため、食べたことはないな。


「それで、何か改善点とかありました?」


「ええとですね――」


そういって、後藤さんは、ダンジョンの改善点について話しはじめた。

まとめると次の3点だ。


・足場が悪いので、1階層には板や柵を置いてほしい。2階層からは難易度を挙げる意味で、そういう補助は不要。

・Eランクダンジョンはドロップ品が低価格なものばかりなので、探索者のやりがいを高めるために、宝箱を置いてほしい。

 もしくは、高価なドロップ品を落とす怪物を時々出現させるか。

・ダンジョンが商業施設から離れているため、ちょっとした休憩所が急務(特にシャワーを浴びられるところ)


「足場などは、ホームセンターで買えばいいのですぐに出来ると思います。」


「ん……あ、中野様。ダンジョンにこの世界のものを設置してもすぐに消失しますよ?」


あれ、そうだっけ?

3階層は家が建っていたが、あれはダンジョンの中の木を切ったのか?


「ええと……まずですね、ダンジョンは魔素を吸収して怪物などを生み出しています。つまり、ダンジョンは生物のような存在なんですね。つまり、すべてがダンジョンという生物の胃の中だと思ってください。」


そうなのか。


「ですので、外から来た……我々人間もそうですが、消化されて消えてしまいます。あ、もちろん人間は生きている限り消化されませんよ。」


こう聞くと、ダンジョンという存在が怖いものに思えてくる。

歴史を見ると、人類にとって恐怖の対象であった時代が、確かに存在していた。


「ただし、3階層……ダンジョンの管理区域だけはその制約から外れているのです。理由はまだわかっていませんが。」


ダンジョンの歴史は浅く、最初の出現からは100年ほどしかたっていない。

未知の事象も多いということか。

ん、そういえば外のものがダンジョンに消化されると、魔素を得ることが出来るのか?


「研究の結果では、人間が消化された場合にのみ魔素が発生するそうです。それ以外は生き物は消えて、そのままダンジョン内の土地の養分となります。ダンジョン内のドロップ品を人間が加工したものは、消化されないでダンジョンの管理区域に排出されるらしいですが。」


知りたくない研究結果だ。


「あれ、もしかして探索者の使っている武器は、ドロップ品を加工したもの?」


「ええ、そうですよ。外の世界のものでは、怪物の攻撃を防ぐことが出来ても、攻撃を与えることは出来ませんから。」


これは勉強不足だった。

探索者の武器は、こん棒のようなものでも1万はするらしいが、高いのはドロップ品だからか。

ちなみに、手や足といった体を使った攻撃は通用するという。


「宝箱や休憩所は、何とかしておきますよ。」


宝箱はいいとして、水は井戸を掘るか、タンクで運ぶか……。


「休憩所ですが、管理課が設置する講習所を借りられませんか?」


「そうですね……。この広さも十分あることですし、講習所として追加で1軒設置するので、休憩所として使って頂く……ということにしましょうか。」


予算は沢山あるんですよ、と笑いながらいう。




打ち合わせをした結果、プレハブを無償で一つ借りることが出来た。

ただ、講習所用のプレハブを含めて設置作業を行えるのが、3週間後だという。

それまでは、管理課の行為でテントに机・椅子、仮設のシャワーを設置してくれることとなった。


「中野様には、探索者の未来がかかっていますから!」と満面の笑みでいわれたのには、ぞっとしたが。

タダより高いものはない。今回のことは貸しにしておくぞといわれているようだった。


それはさておき、地面くらいは自分で歩きやすくしておくか。

もともと畑だった関係で、雨が降ると靴が地面にめり込んでしまう。

地面を固めてアスファルトかコンクリートで舗装したい。


この広い畑を舗装するのは 2000万はかかるため、とてもじゃないが出来ない。

しかし、畑の入り口からダンジョン付近まで――約1/4の広さに砂利でもまいて固めれば、低価格で手ごろな地面を作れるだろう。

家の納屋に行けば、鎮圧ローラー ――重さで土を押し固めるもの―― があるはずだ。

こういう時は、農家に生まれてよかった。


「中野様のダンジョンの設備が整うまでは、基本的に1日に1~3組の探索者をお連れします。明日からは立ち合い不要ですので、よろしくお願いします。」


そういって後藤さんたちと別れる。


ダンジョンを開放したものの、お客さんは後藤さんに連れられた探索者のみ。

見切り発車ではあるが、どんどん探索者が来てもらえるように頑張っていこう。

タスクを終えたら、また次のタスクですね。

ダンジョンマスターという職業も、いろいろやることがあって大変そうです。

砂利を敷き詰めた駐車場は、田舎にはよくあります。


この物語は主人公の日常を描いた物語です。

派手な場面や主人公がすごい場面はあまりないですが、楽しんでもらえると嬉しいです。

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