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ダンジョンが湧いたようです。

短編を前に書いたことがありますが、ほとんど処女作です。

2~3日間隔で投稿できればいいな。最低でも1週間に1話はあげたいと思ってます。

文章をあまり書かない仕事なので駄文にはなりますが、楽しんでもらえれば。

感想も頂ければ嬉しいです。

 東京に出て6年。社会人二年目の僕は、実家からの電話に歓喜していた。

農業を営んでいる実家の、使用していない畑。その中の一つから、ダンジョンが湧いたというのだ。

そこで、実家に戻ってきてダンジョンの経営をやらないかということだった。


ダンジョン、それは20世紀初頭に世界中に現れた存在だ。

中は洞窟であったり、石畳に大理石の壁に覆われた建物だったり、はたまた草原なんてこともあるらしい。


そして、その中には物語の世界から現れた怪物たちが住んでいる。

最初のうちは死傷者が相次ぐ騒ぎとなっていたが、時代とともに制圧されていった。

というのも、ダンジョンで怪物を倒した人間に、超能力……としか言い表せない力が発現したからだ。


炎を手から出したり、薬に頼らなくても傷や病気を癒したり……。

そして、その能力は怪物を倒すごとに力を増していくのだ。


理性ある超能力集団は、ダンジョンを制圧するとともに、その奥で現代のタブレットに似た端末を発見した。

その端末は、ダンジョンをコントロールすることができる機能を持っていた。


ダンジョンを破壊することも可能だったが、当時の人たちはそれをしなかった。

なぜなら、怪物を倒した後に残る物品が、あまりにも魅力的だったからだ。

飲むだけで傷をいやす薬、地球に存在しない未知の金属など、人類にとって有益なものが多く発見された。



それから数十年、ダンジョンを管理する者「ダンジョンマスター」という職業が生まれた。


ダンジョンマスターは端末を使用して、効率よく怪物を配置する。

そして、怪物を狩る者「探索者」に怪物を狩ってもらい、物品の一部を手数料として受け取る。

その過程で生まれるエネルギー体「魔素」を端末に吸わせて、新しい怪物や「探索者」に訴求する「宝箱」を設置するのだ。



前置きが長くなったが、ダンジョンマスターは好きでなれるものではない。

それは、ダンジョンの絶対数が少ないことが主な原因だ。

日本では現在100に満たなかったはずだ。

基本的にダンジョンマスターは1ダンジョンに1人なので、競争倍率は跳ね上がる。


そして極めつけは、その多くが私有地に存在するということだ。

私有地に存在するダンジョンは、その所有者やその家族がダンジョンマスターになることが多い。

まれに生活に困っている人の場合は、他人にダンジョンの土地を売り払うらしいが、

長い目で見れば、ダンジョンを経営していったほうが儲かる。


ダンジョンマスター……。


そのチャンスが、僕に来たのだ。


早速仕事を辞めて実家に帰りたいところだが、前準備が必要となる。

それは、国に申請をしてダンジョンの登録と、ダンジョン管理端末の取得依頼だ。


発見されたばかりのダンジョンは人の手で管理されていないため、怪物が狂暴化しており、熟練の探索者でないと危険だ。

そのため、一度制圧してもらい、ダンジョン管理端末を持ってきてもらうのだ。

管理端末は生体認証となっているらしく、最初のうちは野良の冒険者に頼んだら管理者登録されてしまい、裁判沙汰になったらしいので、基本国から探索者を派遣してもらうことになっている。


それを親に言付けると、早速退職届を書いた。

先ほど書いた通り、直ちに辞めるわけではない。

ダンジョンが使用可能になるまで2ヵ月はかかるので、そのあたりをめどに辞めるつもりだ。



翌日、会社。


昼休みに、同じ部署の後輩「高梨」を昼に誘う。

もともとこいつの教育担当をしていたため、信頼は厚いはずだ。

それに、口も堅い。

こいつにだけは、退職することとダンジョンのことを伝えておきたかった。


少々高いイタリア料理レストランに入り、個室に入ると早速話を切り出した。


「高梨、近々会社辞めることにしたから。」


「えっ……。転職ですか!?」


「こら、声がでかい。」


個室にして正解だった。


「あ……すいません。で、なんで辞めちゃうんですか?」


「実はな、私の実家にダンジョンが湧いたので、そこのマスターになろうと思うんだ。」


高梨はそれを聞き、ぽかんとした表情を浮かべている。

それもそうだろう、ダンジョンマスターは今や芸能人よりも珍しい職業なんだ。

なんせ、日本に100人もいない。


「だから、かわいい後輩であるお前には、一応伝えておきたくてな。」


「…………しい……です。」


「ん?」


「う・ら・や・ま・しいです!」


そうか、こいつの机にダンジョンの雑誌が置かれていたのは、そういうことか。


「まあ、なんだ。ダンジョンが軌道に乗ったら、遊びに来てもいいぞ。」


「はい。是非行きますよ! そのころには、探索者にもなってやるんだから!」


こいつは、ダンジョンオタクだったのか。

それにしても、女性でダンジョン好きは少し珍しいな。

血にまみれることもあるから、あまり好きな女性は少ないと聞いている。


「ま、そんなわけで俺の実家の住所な。」


そういって、住所を紙に書いて渡す。

かわいい後輩が、仕事のストレスを発散するために使ってもらえたら、まあ本望だな。


その後料理を平らげると、会社に戻った。



終業間際に上司を呼び出すと、退職届を提出すした。

驚かれて、少し引き留めもあったが、ちゃんと引継ぎをする旨と実家に帰らないといけない旨を伝えると、

察したように受理してくれた。


それから、退職までの間ダンジョンについて勉強したり、なぜか後輩からダンジョン指南を受けたりしながら、2ヵ月が過ぎた。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 二十世紀初頭とは1900年ぐらいのことだと思うのですが言いたいのは二十一世紀初頭ではないですか?戦前にダンジョンができたということなのか勘違いなのか教えてほしいです。
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