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ボク、女の子になりました

『時間です。起きましょう。時間です、起きま―』



パンッと目覚まし時計を叩いて無機質な声を止める。



「ふぁ〜〜…もう7時なの?」



寝た感じがあまりしないから、今が7時じゃないことを祈ったんだけど決まった時間に鳴る目覚まし時計が時間を間違えるはずもなくて、やっぱり時間は7時だった。



「うぅ〜なんだか妙に気だるいんだよね…」



うーうー唸りながらもボクは布団を捲って上半身を起こした。

違和感を感じたのはその時だった。



「え?髪の毛?」



思わず呟いてしまっていた。



だって、肩くらいまでしかないボクの髪の毛が腕にかかるほど長いはずがない。



どうせ姉さんが寝てる間にウィッグでもつけたんでしょ、と思いながらウィッグを外そうとした。




「…って、え!?ウソ!?とれない!!」



あわててボクはベッドから立ち上がり洗面所に姿を確認しようと一歩踏み出した瞬間―



「いだっ!?」




パジャマの裾を踏んでしまい、額を床に打ち付けてしまった。



「って、ちょっと待ってよ。パジャマの裾はピッタリだったはず…」



同時に、血の気がさっとひいた。



一刻も早く姿を確認しないと―



そんな思いに駆られながら、二階の自室から一階の洗面所へと転がるようにして進んでいく。そして、ボクは現実を知った。



「嘘…でしょ?」



髪の毛が長くなっていたのも、パジャマの裾を踏んでしまったのも、なぜか声がいつもより高いのかも、目の前の現実が正しければ説明がつく。



つまりボクは、



「女の子になっちゃったの!?」



鏡に映ってるのは小学校高学年くらいの女の子だった。



金髪のストレートで長さは腰辺りまであって、肌は白く、一目見て美少女と分かるくらい整っている。


ついでに言うなら、女の子の顔は驚きに染まっていた。



「どうしたのよ…って、あなた誰!?」



「あ、ゆき姉!!」



戸惑うボクのところに救世主が登場。



茶髪の長い髪をおろしたまま、ゆき姉はこっちによってきた。


「あのね、ゆきね…」



「かっわいいー!!」



「ふにゃあ!?」



事情を話そうとしたボクに飛び付いた姉はそのままボクを抱きしめてきた。


ちなみに、ゆき姉は長身なので今のボクの体格じゃ抗うこともできず大きな胸に顔を埋めることしかできない。



「んー!!んー!!」



必死に叫ぼうとするが、胸に顔を埋めているため声が出ない。


ボクはゆき姉の胸で窒息死するのか…、なんて思いながら徐々に意識が遠退くのを感じた。







「で、鏡をみたら女の子になっていたと」



意識が戻ったボクは椅子に座ってゆき姉に大まかな出来事を話している。

けれど、どんどんゆき姉の目が疑わしそうになっていくのはなぜだろう。



「君ねえ…つくならもうちょっとましな嘘をつきなさいよ」



「うぅ…」



「ちょ、ちょっと泣かないでよ…」



立ち上がり、ボクを後ろから抱きしめてくれるゆき姉。



後頭部にあたる感触が気持ちいい。



「信じてくれる?」



「うっ…わ、私が出す質問に答えてくれれば信じるわ」



見上げながら訊ねると、ゆき姉はなぜかそっぽを向いた。



「わ、私たちは昔ある大切な約束をしました。その約束とは?」



大切な約束。



多分それはあの日交わした約束のことを言っているんだと思う。



両親を失ったボクらが、絶対に一緒だよって誓いあった約束。


「…わからない?」



「分かるよ。あの日、ボクらが両親を失ったとき。ずっと一緒だよって約束したこと」



「……!?」



言った瞬間、ボクはきつく抱きしめられた。



「ゆき姉…」



「グス……ごめんなさい…」



「……」



無言でゆき姉の背中を撫でてあげる。



しゃくりあげていたゆき姉がだんだん落ち着いてくるのがわかった。



「もう大丈夫。ごめんなさい…」



「それより、信じてくれる?」


「ええ、君は正真正銘私の弟よ、ユウ」



「……!!ゆき姉!!」



「よしよし…」



思わず抱きついてしまったボクの頭をゆき姉は優しく撫でてくれる。



「それにしても、問題が山積みね…」



「あ、そうだね…。学校とか」


「学校は運よく4月だから新入生として入ればいいわけだし……まあ学校は私がなんとかするわ。それより服よ、服」



「あ…」



そういえば、ボクは男物の服しか持ってないんだ…



「ゆき姉のじゃダメ?」



「ユウに私の服が合うと思う?中学生のころのやつでもユウじゃ大きすぎるわよ」



「うっ…ゆき姉、背高いもんね…」



「私が高いのもあるけど、ユウがちっさすぎ。男の子のときでも確か150センチくらいしかなかったじゃない。今なんか、140センチくらいしかないんじゃない?」



ゆき姉は身長170センチで中学生の頃から今の(男のときの)ボクより大分背が高かった。



「…って、そういえば私の小学生の頃の服があったはずだわ。それをきて今から服を買いに行きましょう」



「え…うん」



「じゃ、ほら早く着替えて」



追いたてられるようにしてゆき姉の部屋に案内される。



その時のゆき姉の顔はなんだかすごく楽しそうで、ボクは少し不安になってしまった。



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