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宗教と絶対

2018年6月九日

空気が湿ってきて雨の日が多くなり始めたころ

それは唐突にはじまった_____


「第24回議題に沿って話し合いまSHOW!イェ―――」


「どうした御先。頭打ったか?」


「つか24回もしてねェよ」


御先がいきなり言い出した議題

焔には心配され闇愁には冷めた目で見られる

それでも気づいているのか否か御先は何事も無かったかのように進める


「えー、今回の議題は宗教についてゲス」


「スルーした上にゲスってなんだよ」


「でもいきなりどうしたの?御先ちゃん」


妖枉が何故?といった顔で見つめる


「何となくですよ、部長」


「ん~、宗教かぁ~。あんまり考えたことないなぁ」


理光がその議題に乗るかのように呟く


「うちはよくありますけどね、(前世)中学の時なんて

『何で同じキリストなのにカトリックかプロテスタントで戦争なんの?』

ッて思いましたし」


「確かにな・・・」


「中学生でそんなこと考えてたの・・・?」


「え、普通でしょ?」

「当たり前だろ?」


2人そろって『え、違うの?』という顔を理光に向けた


「お姉ちゃんも同類だった・・・」


「んな悲観することでもねえだろ

にしても宗教か・・・妖枉は確か神道だっけか」


焔が呆れた目を両手で顔を覆う理光に向け妖枉に振る


「うん、うちは神社を経営してるからね」


「へー、今度部長ん家あげてくださいよ」


興味津々といった感じで身を乗り出す御先


「いいよ。でも、神道と言ってもクリスマスとか普通にあるからね」


「キリストと神道のコラボか・・・」


「でもさぁ、今の日本そんなに宗教重視してないよね」


「混ざってるしなぁ」


理光の台詞に焔が同意する


「確か焔の家は仏教だったよね」


その言葉を聞いて焔の眉間に皺が寄る


「ああ、まあな。つっても俺は次男だからそんなにあれこれ言われなかったけど」


「そういや結構多いっすよね。神道とか仏教の出の人」


御先が疑問をぶつける


「ま、因縁みたいなもんなんだろ」


「因縁ねぇ・・・」


御先はそうつぶやく


「闇愁先輩達は何かあります?」


「俺たちは特に・・・なぁ?」


「そうだねぇ・・・ない、かな

そういう御先ちゃんはどうなの?」


「うちすかぁ?うちは、んーそうだなぁ

何でもございませ教?」


「何それ」


変なの、と理光が笑う


「だってそういうしかなくないですか?

一月に正月でお初参り行って

二月に節分とバレンタイン、三月はひな祭りとホワイトデーで

四月は花見。五月にゃ端午の節句で

六月・・・はねえか。七月も無いや

八月はお盆で九月は月見

十月はハロウィーンで十一月は七五三

十二月はクリスマスに紅白と来た」


「確かに何でもございませ教だね」


「日本じゃなきゃありない宗教だねぇ」


「大半は神道と仏教、ちらほらと異文化か」


ふむ、と闇愁がと考え込む


「確かクリスマスってイエスの誕生日なんだっけぇ?」


「で、西暦が生まれてから何ねんってやつだな」


「キリストが生まれてからもう二千年以上か。時がたつのは早いね」


「爺くせぇぞ、妖枉」


妖枉にヘッドロック掛けられてる焔はさておき


「そういえば何でキリストっていろんな種類あるんだろぅ」


「有名なのはさっき御先も出したカトリックとプロテスタントだな

双方ともフランスだったかイタリアだったかイギリスだったか忘れたが

宗教革命を行った人からとられてる」


「ふ~ん、そうなんだぁ。じゃあ何で同じキリストなのに戦争が起こるの

教えて!お姉ちゃん」


「それは譲れない信念って奴だろう

戦争の発端は喧嘩とおんなじだ」


「まあ、うちに言わせれば同じキリストなんだから仲よくなさいよって話なんですけど」


「それも一理ある」


突然口を挟む御先と焔


「大体兄弟みたいなもんでしょ

カトリックもプロテスタントもイスラムも」


「イスラム関係なくねぇか」


「いや、キリストの発端はイスラムの旧約聖書だ

兄弟というより親かな」


妖枉が付け足す


「譲れない信念はそのままに、自分の芯として置いといて

相手のいいとこも見なきゃ要らん犠牲を呼ぶだけですって」


「確かに悪いところばかり見ても意味ないよね

両方まとめて受け入れなきゃ

いいところしかないものなんてこの世にはないんだから」


「ですよねー」


「でもやっぱり相手の悪いところは目につくもんだぜ、結構

いいところはあるってわかってても一番に来るのは悪いトコだしな」


「『○○だから絶対悪!』ていうのないもんねぇ」


「逆もまた然りってな」


「この世での絶対は三つありますよ」


何を思ったか御先は突然言葉を溢した


「どんな?」


御先は右手を三本あげた後、内二本を下げた


「一つ目

時の流れ

どんなものでも時の流れは見えないし逆らうこともできない

モノの時間はある程度で止まるけど、この世界、この宇宙の時間は止まらない」


「モノっていうのは?」


妖枉の質問に御先は


「人間、動物、魚、植物、家、繊維、鉱物etc.」


「二つ目は?」


理光の目は早く早くと言っている

御先は中指をあげた


「二つ目は

空間

何処に行っても必ずあるもの

宇宙という空間、家の中という空間、地球という空間」


御先が薬指をあげる


「最後

生きとし生けるものには免れることのできないもの」


「・・・・・・ねぇ、御先ちゃんって本当にこの中で最年少?」


理光の疑念に対して闇愁はこう言う


「ま、御先は読書家だからな」


「そっか・・・」


理光は腑に落ちない顔をしているが納得したらしい


「つーかよぉ、いつまで此処にいんだぁ

もう六時だぞ」


焔が時計指さしながら言う


「え!うそ、やばっ。お姉ちゃん早く帰らなきゃ」


「ああ、じゃあなお前等また明日」


「また明日ー」


理光と闇愁が部屋から出ていく


「じゃあ僕たちもそろそろ行こっか」


「おお。じゃあな御先」


「へぇ、さらばです」


バタン


御先一人になった部屋に虚しく響く


「・・・」


御先の瞳はいつもは眼鏡をかけているせいで分かりにくいが

虚ろだ

何を映しているのかまるで分らない

だからと言って顔筋が死んでいるわけでもない


皆が帰って十分ほどだろうか

御先が椅子から立ち上がり


「そろそろ戻っか・・・」


そう言って部屋を出ていく

鍵をガチャリと閉めて




_______________________


「只今」



「母さん今日の授業とっても楽しかった」



「父さん今日のお昼美味しかったって言っても弁当自作なんだけど、フフ」



「・・・あ、日記書かなきゃ」



「じゃあね、父さん、母さん」



____________


6月九日(火)


今日は宗教の話から始まってなぜか絶対はないみたいな話になった


何でだろう


まあいいや


今日の時間割は


一h 国語

二h 数学

三h 音楽

四h 体育

五h 理科(実験)

六h 英語



あ、やばい

最近またモノ忘れが多くなってきてる


まいいや


今日はこれでおしまい

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