ルシルからの贈り物
「ごちそうさま」 夕食を食べ終わると僕はレギンと一緒話しながら部屋に戻った。
「それにしても、今日の夕食のときよっぽどお前に気づいてもらえたのが嬉しかったんだな、
でもその後ずっとお前の後ろでニコニコしていた時とか気味が悪かったがな」
と僕が思っていた事と同じことをレギンも考えていたらしい。
「あははは、僕も少し怖かったかな」と言うと、レギンは笑っている。
とそうこうしている間に部屋に着いた。部屋に着いた瞬間レギンはゴロンと寝転がりゆっくりしている。
「僕も久しぶりにゴロゴロしようかな」と呟くと、「そうしろ、私が抱き枕になってやるから」
『何言ってんだこの剣は、馬鹿じゃないの』僕は内心そう思っていた。
「そんなのできる分けないだろ、それにレギンを抱き枕にするとみんなに殺されると思うからパスします」
と言ったら「それもそうだな、すまん変な事言って」と妙に素直に謝ってきた。
レギンはその後ゴロゴロとしていた。どうやらレギンは僕の身を案じてくれたようだ。
僕もゴロゴロと久々に味わうのんびりとした時間を過ごした。
ゴロゴロすること二時間弱、レギンは眠ったらしい。
僕は、ちょっと外に出て散歩でもしようと思い城の外に出た。
そのまま僕が向かったのは野原だ、程よい月明かりがきれいでとても神秘的な光景を生み出している。
僕はその景色を見ながら無くなった右目にそっと触れた。
「はぁ~、やっぱり今まであった物がなくなるのは、少し切ないな」と呟いていると・・・
「何してるんですか、ソラタさん」と僕の背後で声がした。
僕はビックリして振り返るとゴチンとでこをぶつけた「「痛っ」」と声が重なった。
前を見るとでこをさすっているルシルが居た。
「ルシル、びっくりするから、やめてよ」と言うと「ソラタさんが居たのでつい」
「それより、ソラタさんはここで何していたんですか」と言われた。
「何って、ただ景色を眺めていただけだよ」と言った。「それとルシルも僕に敬語を使わなくてもいいよ
僕もルシルに溜口で話しているんだから、ルシルも溜口で話してよ」と言うと
「それは、無理です。私は今までずっと敬語で話していたので癖みたいなものなんです」
「分かった、じゃあルシルの好きな喋り方でいいよ」と言ったら、ルシルの表情が明るくなった。
[ところで、さっき右目を触っていましたけど、どうかしましたか?」心配そうな表情でこっちを見てくる。「う~ん、ちょっとね前まであった物がなくなって少し寂しいなと思っていただけだよ」
ルシルはそのまま僕の方へ近ずいてきた。すると僕の少し前まで来るとルシルはポケットから
何か黒い物と丸い球体を出した。「ソラタさん、これを使ってください」と言われ僕の掌に載せた。
「これは何」と聞くと「これは、魔力を注ぎ込むと相手の弱点が見える義眼です。それでこっちは
右目を隠す眼帯です」と説明をしてくれた。
「あ、ありがとう」「これは役にたつか分かりませんけど、私の父の形見なので使ってください」
ルシルは今まで見たことがないくらい悲しい顔をしていた。
「そ、そんな大切な物僕に渡して良いの」と聞くと「はい、ソラタさんだったらきっと、父の願いを
叶えてくれると思ったので」ルシルはニコッと笑った。
「ルシルの両親の事聞いても良い、いやだったらいいんだ」するとルシルは深呼吸をして話してくれた。
「私の両親は、人間に殺されました」ルシルの口から飛び出したのは予想外の言葉だった。
「そ、そんなじゃあ僕も人間なんだけどルシルは大丈夫なの」と恐る恐る聞いてみる。
「確かに、最初は少し嫌でした。でも日が過ぎるに連れてソラタさんの素敵な所が私の人間に抱いていた
いやな所を消してくれました。だから大丈夫です」と言われた。
ルシルの言葉が胸に次々に突き刺さる。
「ごめん、ルシル変な事聞いちゃって」「大丈夫です」僕は罪悪感でいっぱいだった。
「じゃあ、僕がこれからルシルの怖い物を全てぶっ飛ばすから、だからルシルにはいつも見たいに笑っていてほしい」僕がそう言い終わるとルシルは顔を真っ赤にしながら素敵な笑顔を見せてくれた。
「それより、早く付けてみてください」と言われたから僕は最初に義眼をつけようと思い
右の瞼を大きく開いた。それから、コンタクトを付けるようにして、埋め込む
グチャと音を立ててピッタリ入った。『滅茶苦茶痛い(泣きそう)』
「ど、どうかな」僕は少し心配で聞いてみた。
「はい、とても似合っています。少しレインさんみたいです」と言われた。
「そ、そうなら良いんだけど」僕はそう返事をすると次は眼帯を付けた。
眼帯の色はベースカラーが黒と言うより漆黒に近いそれと紅色のラインが周りに入っている。
付け終わるとルシルの顔がニコニコしていた。
「ソラタさん、とてもお似合いです」ルシルが笑顔になって良かった。
「ありがとう、なんか右目があると安心するというか、なんか落ち着くよ」
「では、もう遅いので私はもう戻ります」と言うと、城に戻った。
僕はもう少し景色を見てから戻ろう、僕はその後少しして城に戻った。
城に戻ると僕はすぐに部屋に戻り就寝した。
翌朝僕は珍しく早く起きたので、外に出て特訓をしていた。
『みんなは必殺技や魔法が使えるけど僕は何にも出来ないからな』色々頭に浮かべながら剣を振り下ろす事
三十分後僕は自分の影が揺らめいているのに気が付いた。
影は確かに自分の物だが少しおかしい、何にも動いていないのに揺ら揺らとうごめいている。
「気味が悪いな、もしかして」と、僕はこれは、自分の魔法や、技なのかもしれないと思い少し魔力を
流し込んでみた。 案の定に影が動き出した。『やっぱり』僕は更に魔力を流し込んでみた。
するといきなり、影が飛び出し僕のそっくりさんになった。
『まさか、これは伝説の影分身の術だってばよなのか、そうなのか」と思いながら様子を見てみる。
何も起きない、僕は右腕を上げてみる。すると影も同じ動きをした。
「やった、僕にも技が使えるようになった」僕は魔力を注ぎ込むのをやめると影ももとに戻った。
「お~い、ソラタ~どこに行ったんだ、朝食だぞ」と遠くでセルカさんが僕を呼んでいる。
「今、行きまーす」と返事をして僕は食堂に行く前に手を洗いに行った。
手を洗っているときに、自分の姿を見てみた。僕は日本人らしい姿だ。髪は黒で目の色はダークブラウン
だが今は、左の眼はダークブラウン右目はライトブルーのような鮮やかな青をしていた。
僕は今の自分の姿を確認すると、眼帯を付けて、食堂に行った。
食堂に行くといつも通りに席に着くとみんなはもうそろっていた。
「ソラタ君、どうしたの~その眼帯」と一番にレインさんに聞かれた。
「これは、ルシルからもらった物です。それとこれも貰いました」と言いながら僕は眼帯を取り始めた。
「「「「「「「お~」」」」」」」とみんな同じ反応をした。
「ソラタ君も、私と同じだね」と言われた。
[ところで、ルシルお前私の許可無しに何ソラタにプレゼントをあげて好感度を上げているのだ」とアイラさんがものすごく怖い顔をしている。
「ソラタさんにプレゼントをあげるのになぜ魔王様の許可が必要なのですか」
「それは、ソラタは私の騎士だからな」と胸を張って主張している。
「ソラタ、早く食べて特訓をするぞ」とセルカさんに言われ「それもそうですね」と言い返した。
僕達が朝食を食べ終わってもまだ喧嘩をしていた。
城の外に出ていつもの場所に行った。
「じゃあ、今日はソラタに全員一時間ごとに交代で色々教えよう」とセルカさんが今日することを言うと
みんながとても楽しそうになった。『大丈夫かな』僕はまず最初にそう思った。
「じゃあ、まず私からソラタ君のコーチになるね」と言ってユニさんが近ずいてきた。
「お、お願いします」僕はそう答えた。
「じゃあ、ユニソラタを頼むぞ~」と言ってみんな村の方に行った。
「では、まずソラタ君には魔力の操作の練習をしようか」
「そうですね。じゃあどうすれば良いですか」と聞くと
「じゃあ、まずはこれをしてみようか」と言いながらユニさんが掌に野球ボールぐらいの魔力の塊を作った
ユニさんはその魔力の塊をピッチャーのフォームで遠くに投げた。
「3・2・1」とユニさんが何かのカウントをしている。
ドッカーンと魔力の塊が破裂した。
「これが魔力を放出した時の力だよ」とキラキラした表情でこっちを見てくる。
「は、はぁ」と少しうなずくと「じゃあ、やってみようか」と言いながら僕の後ろに回って僕の腕を持って
魔量の塊を作る方法を教えてくれた。
「ガラスの玉の中に魔力を溜めるイメージで作ってください」と言われた。耳元で声がするのでものすごく
かゆい。しかもなんか甘い匂いがする。そのせいでなかなか集中出来ない。
「ちゃんと集中してください」と怒られた。
「すみません」『集中しろって言われてもできる分けないじゃないですか』と心の中で叫んでいると
少しずつ球体に魔力が集まってきた。次第にその塊が大きくなってきた。
「で、出来た」と呟くと「じゃあ、それを今度は投げてみてください」と言われ遠くに投げてみる。
ドッカーンとものすごい爆発が起きた。
「パチパチよく出来ました」と言いながら僕を後ろから抱きしめてきた。
「な、何してるんですか」ドキドキしながら聞くと「頑張ったご褒美です・・・私の」と言った。
僕は慌ててユニさんを振り払おうとした。
「そんなに暴れない、少しおとなしくしていてもらいますよ」と言いながらさらに強く僕を抱きしめた。
「く、苦しいです。離してください」少しずつ意識が薄れていく。
「あれ、ソ、ソラタ君おーいちょっとねえってば」遠慮、容赦なく気絶した僕を揺さぶる。
数十分後、僕は目が覚めた。「あっ、やっと目が覚めましたか」と僕の目の前にユニさんの顔があった。
「うわっ」僕はビックリして起き上がるとゴチンとユニさんとでこをぶつけた。
「「イタタター」」とでこをさすっている。
「す、すみません」僕は謝っていた。「こっちこそ、さっきはすみませんでした」
『さっきは、さっきって何のことだ』と考えると思い出した。その瞬間顔が赤くなった。
「それよりもう少しで交代ですね」とユニさんが呟いた。
「ご指導ありがとうございます」ときちんと礼をして次の特訓に備えた。
五分後 「お~いソラタ君次のコーチは私だよ」と手を振りながら僕の方へ近ずいてくるのは
レインさんだった。
「じゃあ、私が教えるのは剣の神の力を引き出す方法を教えるよ」
「お願いします」と挨拶をして特訓が始まった。
「じゃあ、まず私がするのは剣の力を100%引き出す方法だよ」と言いながら自分の剣
クレールに触れて、鞘から引き抜くと何か唱え始めた。
「我、怒りに身を任せし者なり、我、剣の力を引き出す者なり、我、怒りを爆発させる者なり
今、我に怒りの塊の鎧を纏わせたまえ」と言うとレインさんが光に包まれていく。
光がなくなるとそこにはものすごくツンツンした鎧を纏ったレインさんがいた。
「どう、かっこいいでしょう」と鎧を見せびらかしてくる。
「とても、よく似あっていて、かっこいいです」と言った。
鎧はレインさんみたいに小柄でもすごく似合っていた。その姿はまさに激しい雨を連想させる。
「ありがとう。じゃあ次やってみよーう」と言いながら鎧を解除するとキラキラした目つきで僕の方を
見てくる。「じゃあ、僕もやりますか」僕は前にレギンに教えてもらった呪文を唱えた。
「我、魔王を守りし、騎士なり 我、剣の力を引き出す者なり 我、自らの欲を叶えし者なり
今、我に漆黒の鎧を纏わせたまえ」と呪文を唱え終わると僕は漆黒の鎧を纏っていた。
「おお、ソラタ君滅茶苦茶似合っているよ」と僕を見ながら興奮している。
まるで、ロボット好きの男の子がロボットのプラモデルを貰った時のような表情だ。
「さらに、これもやりましょうか」と言いながら僕は今朝初めて出来た技を披露する。
「影の人形」と技名を叫びながら影に魔力を注いだ。
するとたちまち影が飛び出し僕が二人になった。
「ソ、ソラタ君が、ふ、二人もいる」と驚いている。
「これが僕の技です」と言うと「ソラタ君かっこいいね、でも二人だけじゃあ敵には勝てないよ」と言われた。「誰が、その中に僕がいると言いましたか」「えっ、それどういう事」と頭に?を浮かべている。
「こういう事ですよ」と言いながら僕はレインさんの後ろから顔を出す。
「うわっ、ビ、ビックリした今どうやったの」「内緒です。ついでにこの技はみんなに言わないでくれると
嬉しいんですが」「別に良いけど、何で」と聞かれた。
「そりゃあ、まだ完成ではないからですよ」と言ったら「分かったよ、みんなには言わないね」
「とても助かります」僕はペコリと頭を下げた。