-07 監獄をぶっ壊せ
アーサーは走っていた。
理由は単純。自分達の脱獄のせいでアラームが鳴り止まないからだ。
可能な限りの全速力で懲罰房から監獄棟に戻って来たアーサーだが、そこにはすでにヴァンクロフトが待ち構えていた。一振りの剣の切っ先を杖のように床に着けながら、彼は目を閉じて一人で中央に立っていたのだ。
他の囚われている者達が注目しているが、意にも介していないようだった。しかし幾度となく戦場を駆け抜けて来たアーサーには分かる。今の彼には一分の隙も無い。監獄棟に一歩踏み込んだ瞬間にヴァンクロフトは目を開き、その隻眼からは一瞬でも気を抜けば命を獲られると容易に想像できるプレッシャーが放たれる。
浅い呼吸を一つ挟み、アーサーは周囲の様子を軽く確認して乾いた口を動かす。
「……他の看守はいないのか?」
「必要ない。私がいる、それがこの『ブラッドプリズン』最大の防衛線だ」
その言葉に誇張は無いのだろう。
ごく当たり前の事実。それを述べているに過ぎない。
「一度だけ忠告するぞ、2649番。大人しく牢に戻れ」
「断る。それに俺は2649番じゃない。アーサー・S・レンフィールド。『ディッパーズ』のリーダーだ!!」
宣言と同時に『炎龍王の赫鎧』を発動させて身に纏う。完全な臨戦態勢にヴァンクロフトは剣を払うように切っ先を床から離した。すると払った剣の軌跡から斬撃が飛んで壁に傷を刻む。軽く払っただけであの威力。飛んだ斬撃は勿論、それを生み出した剣に直接斬られるのは避けた方が良いだろう。
「では仕方ない。素手の人間に剣を向けるのはフェアじゃないが問題はないな。お前は貴重な検体だ。殺しはしないが手足のニ、三本は覚悟して貰うぞ」
「心配ならいらない。剣ならここに来る前に呼んでおいた」
その言葉の直後、頭上の遥か高くにある天井を突き破って一本の刀がアーサーの目の前に落ちて来た。
(力を貸してくれ―――ソラ!!)
駆け出すと同時に飛んで来た刀型の『エクシード』を手に取り、両手で握ってヴァンクロフトに斬りかかる。
『焔桜流』捌ノ型『龍星瀑布』。全体重を乗せた上段からの斬り落としだ。『焔桜流』の中では速度は劣るが一撃の威力は頭一つ飛び抜けている。
その一撃をヴァンクロフトは二本目の剣を引き抜いて交差させると簡単に受け止めた。さらにそれだけでなく軽く弾いてみせた。
剣技はヴァンクロフト自身のもの。そして彼自身の氣力は全て身体能力の強化に回しているのだろう。アーサーも身体能力の強化をメインに使っているが、それ以外にも回している。純粋な力比べでは敵わない。
すぐさま反撃に転じたヴァンクロフトは左の剣を横薙ぎに振るってアーサーを斬る―――が、その瞬間アーサーの姿は正面から消えていた。
高威力のため型の前後に隙の多い『龍星瀑布』だが、唯一繋げても隙ができない型がある。それはどんな体勢からでも発動できる陸ノ型『陽炎』。さらに相手の背後から追撃する『円舞』だ。しかし寸前で察知したのか、ヴァンクロフトは右の剣を背負うように構えていて防がれた。力比べだけでなく、剣術でも敵わない。
剣で弾き合って距離が生まれると、アーサーは荒い息を整えるように力強く呼吸する。
(『LESSON2』を思い出せ!! カケルさんの剣技はもっと早かった、鋭かった、力強かった! イメージと体の動きを同調させろ! カケルさんの動きを模倣するんだ!!)
深く息を吸い込んだアーサーはもう一度ヴァンクロフトに向かって駆けた。敵に肉薄して剣を振り抜く瞬間に刀を振るうのと同じ方向の足を踏み込む事で速度と重さを上げる、斬撃と突進の二つを合わせた伍ノ型『修羅咲刄』。高威力だが隙がほとんどないバランスが最も良い型だ。
しかし直線的な攻撃がヴァンクロフトに通用する訳がなく、剣一本に防がれてしまう。しかしアーサーもそれは分かっていたので、間髪入れずに次の型へ繋げる。
「閃ノ型―――三連、『焔桜烈華』!!」
剣を弾き合った直後に再び剣を振るうと、刀身が三つに分かれたような錯覚すら覚える高速の連撃を放っ―――
「遅い」
―――たはずが、高速の連撃が届くよりもさらに早く振るわれたヴァンクロフトの剣がアーサーの右肩を深く切り裂いた。その斬撃で勢いを失った剣はヴァンクロフトの二撃目によって弾かれ『エクシード』はアーサーの手を離れて飛ばされてしまう。
アーサーはカケルの記憶によって『焔桜流』の型を覚えた。それは本来体得まで必要な時間を大幅に減らし、言ってしまえば努力の上澄みを掬って自分のものにしたようなものだ。意図的にやった事では無いが、本来なら踏むべき手順も昨日から始めたばかり。使い手である本人から直接指南された事で一昨日までよりは確実に腕は上がっているが、この状況下では付け焼き刃でしかない。
たとえ記憶を辿りショートカットしたとしても、幾星霜の積み重ねた研鑽に届くほど甘くはない。
「その腕ではもう剣は握れまい。終わりだ。こちらとしても貴重な検体を傷つけたくはない」
「……お前、らは……」
とめどなく流血する肩の傷口を抑えながら、アーサーは呻くように呟く。
「アリスに何をした……?」
肩を大きく斬られて大量に出血し、今まさに自分の命が危ない状況で、しかしアーサーの脳裏に過ったのはそれだった。
ヴァンクロフトは一瞬だけ驚きの表情を浮かべたが、すぐに厳格な表情も戻して答える。
「さあな。体をバラバラに切り刻むこと以外はやったと思うが。貴重な検体に死んでもらっては困るからな」
「……ッッッ!!!!!!」
その答えはアーサーがキレるには十分過ぎるものだった。
全身から『黒い炎のような何か』が噴き出した。突然の事にヴァンクロフトは反射的に剣を振るったが、振り抜いた剣の刀身は半分無くなっていた。無くなったはずの刀身もどこにも見当たらず、あまりの異常事態にヴァンクロフトは大きく後ろに飛び退いた。
その視線の先、黒いオーラを身に纏ったアーサーはゆっくりと立ち上がる。
「……『LESSON3』だ」
◇◇◇◇◇◇◇
「一分って所だな。それが通常の発動時間だ」
二日前。
『廻天』を形にして『焔桜流』の型を直に見せて貰って指導された後、取り組んだのは今まで何度か頼ってきた『黒い炎のような何か』の制御だった。
「これは何もしないでの時間だから、動いたり技を使えば当然発動時間は減る。まあ戦闘時はアドレナリンも出てるし興奮状態だから多少は伸びるだろうがな」
ただその場に立って発動していただけだが、四つん這いで息を荒くしているアーサーは白くなった髪と赤くなった瞳が元に戻ってからゆっくりと顔を上げた。
「……これ、強力だけど反動が強いんだ。制御なんて出来るのか……?」
「出来る。俺もそうだった。勿論すぐにって訳にはいかないが、簡易的にならすぐにでも出来る」
そう言うとカケルは全身に凄まじいオーラを纏った。……いや、正確には纏ったという表現は正しくない。しかしそれは『炎龍王の赫鎧』を発動している時とは違い、まるでカケルの体そのものが炎になったような見た目だ。
「俺の力は『概念の滅却』だ。この炎で燃やせないものはない。たとえ『この世のモノではない力』でも灼く事ができる」
「……どうやってその力を制御したんだ?」
「切っ掛けがあったんだ。でも最初は『炎龍王の赫鎧』の龍の力で呪いの力を抑えて使ってた。お前もまずはそうやって使ってみろ」
「なるほど……」
顎に手を当ててアドバイスを咀嚼するアーサーに、カケルは呪いの力を引っ込めて普通の容姿に戻るとさらに続ける。
「あと地味に有効なのが名前だな。付けるのと付けないのとじゃ掴める輪郭が変わる」
「名前か……ちなみにどんなのが良いっていうアドバイスは?」
「そうだな。例えば―――」
◇◇◇◇◇◇◇
「―――『纏玄羅刹』」
『黒い炎のような何か』を身に纏ったアーサーだが、名前を付けただけでいきなり発動時間が伸びたりしない。
だから今こそカケルのアドバイスを実戦する時だ。
『纏玄羅刹』を発動したまま『炎龍王の赫鎧』を発動する。炎の力で呪いを抑え、アーサーは朱と黒の二つのオーラを身に纏った。
その名を―――『滅炎龍王の漆黒赫鎧』。
「来い、ソラ!!」
呼びかけに応じるように、吹っ飛ばされた『エクシード』がアーサーの右手に飛んで来た。それを掴むと地面を蹴って弧を描くような軌道でヴァンクロフトに飛んで行き、同時に前に回転して上段から刀を振り下ろした。
「くっ……!?」
その一撃を半分になった剣で受け止めたヴァンクロフトの口から初めて焦りの声が漏れた。しかし流石に押し切るまではいかず、お互いに弾き合うようにして再度距離が開く。そしてヴァンクロフトは刀を受けた剣を見て眉をひそめた。
「……金属が燃える、か……」
そう呟くと燃えた剣を捨てて腰から次の剣を抜いた。
朱と黒の炎。それが燃料もなく剣を燃やしていたのだ。
それは消える事の無い『万物を灼く滅焔』。『消滅』や『万物滅却』よりは弱いが、それでも破格の力だ。それにこの状態の『焔桜流』の力も強い。ヴァンクロフトの力の優位は無くなっているようなものだ。
しかしアーサーに余裕は無い。
(『漆黒赫鎧』でも呪いを完全に抑え込めてる訳じゃないし、発動時間だって劇的に伸びてる訳じゃない! だから強引でもこのまま一気に決着をつける!!)
この拮抗は制限時間付きの僅かなものだ。今度は『エクシード』を指輪に戻して拳を握り締めると、炎を集めて突き出した。
『LESSON1』は『廻天』。『LESSON2』は『焔桜流』。『LESSON3』は『呪いの制御』。そしてこれは『LESSON4』の『太極法』。
とはいえほとんど足し算だ。一晩魔力と呪力で合成間際まで融合する手順を繰り返して鍛錬したが、一夜漬けで体得できるほど甘くない。けれど『焔桜流』も『呪いの制御』も『太極法』も、今できる最大限のパフォーマンスだ。不格好でも今はこれで突き進むしかない。
「―――『滅焔咆哮拳』ッッッ!!!!!!」
朱と黒の炎の砲撃。それが一直線にヴァンクロフトに向かって行く。
しかしその砲撃に何者かが横合いから突っ込んで来た。その誰かは『万物を灼く炎』をその身に受けて全身が灼けていたが、まるで鎧を脱ぐかのように全身の皮膚を脱ぐと炎による影響から逃れていた。
人間……というにはその姿は異形だった。全身の毛は無く肌は青白い。人の形こそ保っているが明らかに化物じみている。
「ヒルコ。お前には小娘の捕獲を命じたはずだが?」
「……見失った。……こっちが面白い」
「……まあ良い。来たからには役立って貰うぞ」
奇妙な会話の仕方をした後、二人の敵意が自分に向くのを感じたアーサーは炎を両手に集めて腰を屈めた。
「『双撃・滅焔追尾投擲槍』!!」
両手を振り抜いて魔力と合わせた二つの赤黒い『投擲槍』を飛ばし、それぞれヴァンクロフトとヒルコに向かって行く。
ヒルコはそれを手で受け止めて燃えた腕を自切して燃焼を逃れ、ヴァンクロフトは素早く動いて躱した。しかしこの『投擲槍』には魔力を合わせているので、アーサーは右手の力で操ってヴァンクロフトを追う。
アーサーは油断していなかった。しかし慢心はあったのかもしれない。どんな攻撃も『万物を灼く滅焔』があれば防げるという思い込みが。
だからヒルコが失った腕を再生する速度がどれくらいなのか頭から抜けていた。断面をアーサーに向けると信じられない速度で再生するだけでなく一瞬で伸びてアーサーの喉を掴んで奥の壁に叩きつけられた。肺の空気が全て吐き出されて藻掻きながら、アーサーはすかさずヒルコの腕を掴んで逃れようとする。しかしいくら『滅焔』を当てても燃え尽きない。こちらの『滅焔』が広がる以上の速度で再生しているのだ。
(くそっ……ヨグ=ソトースと同じタイプか!? 再生速度が早すぎる!!)
しかもマズいのはこの間にもヴァンクロフトがこちらに向かって来ているという事だ。片方が動きを止め、もう一人がトドメを刺す。二対一なら当然にして効果的な戦法に追い詰められている。
アーサーは咄嗟に『炎龍王の赫鎧』を解いて『漆黒赫鎧』から『纏玄羅刹』の状態に戻すと瞬く間に喉を掴む腕を『消滅』させて逃れ、ヴァンクロフトの方に向き直る。しかしすでに発動限界が来ており『纏玄羅刹』を解かざるを得なかった。
代わりに四肢に魔力を纏って構えるが、二人が接触する前に黄色い閃光がヴァンクロフトの体を横から思いっきり吹っ飛ばした。
「随分とボロボロだね。担当逆の方が良かった?」
「アリス!? ナイスタイミング!!」
思わぬ援軍により窮地を脱したアーサーは四肢に集めた魔力を右手だけに集めるとヒルコに向かって解き放つ。
「―――『ただその祈りを届けるために』!!」
おそらくこの『ユニバース』には概念そのものが存在しないであろう集束魔力砲。大気すら灼くような一撃がヒルコを飲み込んで確実なダメージを与えていく。しかしそれでも壁が壊れない辺り、やはり監獄としての堅牢さは持ち合わせているようだ。
「あれだけじゃヒルコは死なない!! 今の内にヴァンクロフトを倒すよ!!」
「っ……ああ!!」
再度『炎龍王の赫鎧』を纏ったアーサーは『エクシード』を刀の形に変えて、前を走るアリスに遅れる形でヴァンクロフトに向かって駆け出そうとした。
しかしそれよりも前に集束魔力砲をモロに食らったはずのヒルコが空中に飛び上がり、ヴァンクロフトを含めた三人の意識が彼に向く。
何をするのか嫌な予感しかしなかったが、その想像通りの事が頭上で起きた。ヒルコはボロボロの体から無数の血管のようなものを四方八方に飛ばし、周囲をぐるりと囲っている牢屋にいる逃げられない者達に突き刺したのだ。何をしているのか最初は分からなかったが、すぐに血管を使ってみんなから血を奪って回復しているとすぐに分かった。
それが終わるまでかかった時間は数秒程度。アーサーが止めに入る間もなく回復を済ませ、筋骨隆々な巨体に変化したヒルコが落ちて来る。三日月のように歪曲し、頬の方まで肥大化した獣のような口を開き下卑た笑みを浮かべていた。
「……お前らは」
迫り来る血管に対して彼らには抗う術も逃げ道も無かった。一瞬の内に全身の血を奪われて死に絶えた事を、嘆く時間も与えられなかっただろう。
アーサーはここの実体の片鱗すら掴めていない。罪を犯した者も、無実の者も、体を好きなように弄られて、道具のように扱われて、必要とあらば命すらゴミのように使い捨てられる。そんな風にイメージする事しかできていない。
「お前らは人の命を何だと思ってるんだッッッ!!!!!!」
でも、アーサーはこれを知っている。
成す術もなく享受せざるを得ない暴力。一方的に与えられ続ける理不尽。世界中のどこかで、日の目に当たらない場所に必ずある『暗部』。
そういうのを許せないと、吼えて立ち上がった少年がこことは別の『ユニバース』のどこかにいた。だから頭で考えるよりも早く、本能の底から激情のままに心身を動かしていた。
「……殺す。……殺す! ……殺す!!」
そんなアーサーの動きに反応するように怨嗟の声を放ちながら無数の血管を伸ばすヒルコだが、アーサーは怒りの形相のまま直進しつつ刀を振るう。
「肆ノ型―――『赫灼紅炎』ッ!!」
アーサーの前で円を描くように振るわれた刀が、差し向けられた血管を全て焼き切った。
直進のスピードは落ちない。一瞬の内にヒルコの懐に飛び込むと九つの斬撃を同時に叩き込む。先刻放ったアーサーの限界だった三連を超える九連の『焔桜烈華』だ。
「天ノ型―――『燈翔焔斬』ッ!!」
さらにもう一つ。
両手で握り締めた刀を振り下ろし、炎の斬撃を飛ばしてヒルコの体を真っ二つに切り裂いた。しかし最後に飛ばしてきた一つの血管がアーサーの手を強打し『エクシード』が離れてしまった。
しかしアーサーは表情一つ変えずに冷静に次の手を打つ。
「アリス! 目的の物は確保してるんだろ!? 今すぐ全部開けろ!!」
「ッ……」
何か言葉を放つような気も起きないほど一方的な言葉に、アリスは一瞬だけ体をびくっと震わせたがすぐに鍵の束が付いた輪を取り出して光速で監獄棟を回りながら上がって行く。
彼女が持っているのは牢屋の鍵だ。この場所を壊すにあたって、この場にいる者達の解放が必須だった。とはいえ本当の犯罪者は別の場所に移送しなければならないので、手当たり次第という訳にはいかないが。
本来ならここで開けるつもりは無かった。けれど逃げ道を与えるにはこうする以外に手が無かったのだ。
アリスがみんなの解放に向かうのを見送り、アーサーは右手を硬く握り締めて氣力の焔と魔力を集めていく。
「『太極法』―――」
何故今まで出来なかったのか不思議なほど、二つの『力』の練り合わせがこれ以上ないほど上手く行った。
それはアーサーが二人に抱いている怒りが関係しているが、それだけが全てではない。今までだって何度も彼は経験しているが、これは単に相手を叩き潰したいだけの怒りではなく、周囲の者を守りたいと心の底から思っているからこその『守る為の殺意』だからだ。その二つの感情の境目が、アーサーのポテンシャルと集中力を極限まで引き上げているのだ。
凄まじい一撃が来ると肌で感じたのか、ヒルコは自身の前に腕の形を変えた肉の壁を作った。しかしヴァンクロフトだけはアーサーの目の動きを見ていたのか、すぐに叫ぶ。
「待てヒルコ、ヤツを止めろ! 何かがおかしい!!」
「遅い―――『燃え立つ祈りを届けるために』!!」
しかし一瞬早く、アーサーは紅蓮の焔と集束魔力が合わさった拳をヴァンクロフトやヒルコではなく頭上に向けて放った。
まるで焔の柱のように凄まじい速度と威力で放たれた砲撃は、集束魔力砲でも砕けなかった壁と同じ硬さを持つ天井を吹き飛ばして空高くまで昇って行った。
一見すると何の意味も無い行動。
しかし彼が開けた穴から、一人の男が降って来た。