天頂地久が大ピンチ 遅球で地球を救うのにゃ
ファイアー!
前回の更新で破壊された地球でありますが、古より天頂地久と申しますところでありまして天に地すなわち世界の基本は変わらないものと昔の人は申しております。
「滅んだじゃん地球!」
「ねーちゃんのせいだぁぁあ!」
ミコトさんたちうるさいですよ。
こういう時は(ペペン!)。
「みーこーと!」
「あっ! ホトケさんだ!」
やってきました巨大キジトラ、千両小判の代わりに『喜捨求む。新型コロナウィルス退散』なる巨大貯金箱を抱えて光と共に登場でございます。
「こら、やめんか」
「モフモフだ! モフモフだ!」
「ちょ、ずるーい!」
躊躇なく巨大キジトラの腹目掛け突撃ミツキさん。押し倒してスリスリです。
めっちゃ気持ちよさそうですがまさにホトケをも恐れぬ事案でございます。
と、いうか、ちょっと待ってください、あのですね。地球を……。
「ミコト……ミコト……すまんこの子を何とかしてくれ」
「すりすりすり。ほらほら」
ほおずりしつつホトケの完全に猫じゃらしをブンブンする器用なミツキさんでございます。
シュシュ! シュッシュ!
ホトケ、鈍重そうなふわふわ巨大な見た目に反しライトフェザーの速さとヘビィ級の威力を持つ素晴らしいジャブを連打。それに対応するミツキさん!
「フー!」
「ふー!」
シュパッ! シュパッ! シュパッ!
「あっミツキずるーい!」
あの……ミツキさん? ミコトさん。ちょっと話したいことがあるのですが。
シュパッ! シュパッ! シュパッ!
「フー! ふっふっ! ふゅふゅ!」
「そんなジャブで宇宙制覇がなるか! 貴様はチャンピオン・Goタマシッタールダに勝たねばならんのだぞ! その次は大工の息子のヨシュアミケが! さらにその先には顔面ファイアーの……」
「やーめーんかーー! 私たち全員がファイアされるわ! 切り刻まれて捨てられるわ! アレはマジヤバいからな!」
顔面ブロック!
くっ! ガッツがたりない!
「頑張れモリサキィー!」
「モリサキってだれさ。とりあえずあの人はマジダメなのね」
くだらないダベリングついでにホトケのおなかソファもチャンピオン防衛です。
なんだかんだいってミコトさんはおなかに、ミツキさんはしっぽと戯れつつ忘我の時を過ごします。これぞホトケの境地。あれ? 私も何かをしかけていたような。ま、どうでもいいですな。
ふわふわしっぽで遊びつつミツキさんが問います。
「じゃほかの、ツァラとアマラさんとか孔子さんとかに勝つためのトレーニングは良いのねーちゃん」
「許す。ってか何を私しようとしていたのかしら? まあ思い出せない程度のことなんてどうでもいいよね」
そこに隣のニュース屋おじさんが号外を手ずから届けにきてくれました。
「許すってさ孔さん!」
「いや、子孫としては複雑ですね」
隣のおうちの孔さん、普通に孔子さんの御子孫だそうです。
今までのやり取りを全て目撃していらっしゃったようで。
「え~! ホトケさん孔さんにも見えるんだ!」
「ええ。私にはボンキュボボンになったミコトさんに見えますが」
目を見張りつつ自分の胸をなぜか揉んでしまうミコトさん。
「え、マジ?!」
「え、ねーちゃんに大胸筋以外ないでしょ」
「ホトケは人間の五感でとらえきれる存在ではない!」
ホトケでなくともミコトさんの見事な電光フックはミツキさんの目には捉えられなかったようで。素晴らしい姉弟のコンビネーションプレイですな。
相争う姉弟を尻目に偉そうに胸を張る巨大キジトラですが、たぶん孔さんにはブルンブルンぼいんぼいんと胸を揺らすミコトさんに見えた事でしょう。
なんたること! 我らがミコトさん! いまだ成長なしのAAカップ!
周囲のお友達はCからD、Gカップまでいらっしゃることから比較効果で胸がえぐれて見えるとご近所には評判でございまして。
「私の御近所、そんなセクハラ目線で私をみていたのかあああ! ぶっ殺す!」
「ねーちゃんおちつけ~! 孔さん、あなたが欲しいのは核弾頭おっぱいのねーちゃんと超乳おっぱいのねーちゃん、巨乳のねーちゃんどっちですか!」
孔さん、眼鏡をキリっと直してスーツを正し居住まいを整えて紳士の笑み!
「始皇帝万歳!」(キリッ!)
「うちの近所こんな奴ばっかりかよ~~!」
「ねーちゃん、逆を考えるんだ。ねーちゃんの『股間がぞうさん下着』を狙う変態はうちの近所にはいないと」
「ばらすな~~!」
すごい趣味でございますな。それって大阪のゲイパブ、ジャッ〇アン〇ベティさんのショー用でしょう。
「安かったもん!」
「いや、それはちょっとおかしい」
マジレスするホトケにへこんでホトケソファにてストライキモードのミコトさん。そこに孔さんが号外を突き付けてきます。その記事曰く。
『地球消滅! 日本! 休場バリヤー発動で脱出!』
記事を見て全てを思い出すミコトさんとミツキさん。パニックでございます。
「大変だぁああっ! 地球が消滅してたあああ!」
「うっかりしてたああ! ねーちゃんのせいだあああ!」
「いや、その。ちょっと私も日本生まれ日本育ちでごはん食って超恒星移動できる程度には日本に染まってはいるのですが、これはちょっと……出来たらなんとかしてほしいのですがね」
孔さん。戦車だの航空機を持ち出して前回更新時に海賊の宇宙船をめぐって第三次世界大戦を起こしかけた母国や他国には思うことがあるようです。
「でもさ、ほら」
ミコトさんがもふもふしながら巨大キジトラのおなかから髭をピンピン軽くひっぱって遊んでいますのでホトケも「やめぬか」といいつつまんざらではない模様。
「孔さんって当然儒教でしょ? ホトケは仏教じゃなかったっけ」
「仏教以外のなんだというの。ねーちゃん」
呆れるミツキさんに孔さん、「いや、私は儒家思想は持っているけどあんまり熱心じゃないよ」とのこと。
「それよりおっぱい」
「わぁかぁるぅ~~!」
「もうやだこの変態ども! 一つ屋根の下で暮らしたくない!」
男どもは年齢を超えて友誼を交わしハイタッチ。
反してミコトさんは身の危険を改めて感じます。しかるにおっぱいは人類をひとつにする。これすなわちホトケの恵み。
「まぁ元々の仏教は学問になって民から外れたからインドでは廃れたし、その後の中国大陸に渡っての仏教は子孫繁栄と先祖の血を絶やすことを罪悪とした中国大陸の基本と相反するから独自の進歩を遂げたし、日本に入ってからの仏教と今の仏教が違うことは当然であろう」
「このキジトラ、なんか賢そうなこといっているよ。ポチ」
小さなキジトラ、ポチはミコトさんの頭に抱き着いて一緒にホトケの腹で遊んでいましたが眠そうにミャァと鳴きます。
「簡潔に言えば、世界に悪人がいるということはホトケは悪の存在をも許容している。またホトケを信じないものにも等しく接するのもまたホトケの態度としておかしくもなんともない。だから孔さんが何教でも問題ない」
「ホトケ。どこぞの政党の母体にも言ってあげてよ」
「きゃつらには己の意思によってホトケをみたくとも自らの影しか見えんよ」
胸を張る巨大キジトラをソファ代わりにする人間三人ですが、さすがにキングサイズでもちょっと手狭でございます。しかし孔さんはスリスリしておりますが、彼からすれば始皇帝万歳に挟まれる至福の時なのでございます。
「容姿、私だよね」
「当然である」(キリッ)
「こんな時だけノリで協和語に切り替えるな!」
「だって私ジャパニーズアニメファンだもの。幼少のころ見た『異世界レビュアーズ』で獣に目覚めたね」
いい趣味していますね孔さん。
そりゃそうと今回のお題を消化してほしいですな。
「あ、そうそう。ホトケさん。そのおっぱいで僕をもっとはさんでください、もとい私の母国と地球を助けてほしいです。日本にたまたまいた一族一万以外はみんな死んで」
「めっちゃ孔さんの親戚おおいし!?」
「構わんが、それにはミコトの協力がひつようじゃぞ」
「孔さん。なんか一瞬うちのねーちゃんのビジュアルでR15以上の事を望んでませんかね」
しかし一介の女子高生に地球を復活させるなんて難事にもほどがあります。
「えっと、南極に潜んで、女の子の取り合いしつつ期を見て手を振りあって再会を喜んでめでたしめでたし」
「友人がいい感じの賞を取ったので当てつけで逆バージョンの短編作品を書いて受けをとるようにですね。ここは日本が憲法九条を破って球場バリヤを失い航行能力なくして世界が復活」
そうそう。孔さん。あんたの持ってきた号外、九条と球場間違えていますからね。これを窮状とよぶ。なんちゃって。
「ねーちゃん。南極なんてもうないよ。今日本はアステロイドベルトを通過しているんだよ。もう太陽の代わりにホトケの光『ジシュキセー』がぼくらを温めているからね。エロ本もアダルトビデオもみれやしない」
ミツキさん。あなたその両方見ていたらおかしい歳なので猛省してください。
「地球を救うために遅球を投げて、恥丘に横たわりたい」
「やめんか。あんたにはホトケはZENNRAのキングサイズな私に見えているだろ」
歳上を捕まえてあんた呼ばわりのミコトさんですがお気持ちはわかります。
なんせ胸部装甲が鏡面装甲であることを除けばミコトさんは美少女ですからな。
「まぁ、世界大戦を起こしかけた連中を復活させるのは面倒だけど、ホトケの理屈を考えたらやっぱなんとかしてあげないとだめだよね。それに全部の人間が戦争したいと思っているわけでもないし、まぁ見逃し三振は結局負けたいと思っていると同じっていうけどそれはそれ!」
ホトケのおなかの上で大きく伸びをしたミコトさんに賛辞の言葉がふりかかります。頬をそめるミコトさん。こういうときは文句なしの可愛さ、まさに美少女ですな。
「いい慈悲のこころだにゃ」
「ねーちゃんえらい!」
「ありがとうございますありがとうございます。ミコトさんのおっぱいが一ミリでも大きくなりますように」
ミコトさんはやおらホトケのおなかから立ち上がると、孔さんを踏んづけて伸びをします。踏むな危険。
「ホトケ! どうすればいいの!」
「ミコト……ミコト……よく聞くのです」
立ち上がったホトケも真面目くさった表情でミコトさんをねめつけます。
「まず、ポチに毛づくろいをしなさい」
「はい」
ポチは気持ちよさそうにしております。
「するとどうなるの」
「仲良くなれるぞよ」
「すてき!」
「あの、それどころでは」
「ねーちゃん、ホトケさんも。
孔さんはぼくみたいに猫のペースに付き合ってくれないから、そろそろなんとかしてあげて」
ミツキさんがそうおっしゃるので、ホトケはどこからともなく小さな陶器の壺をだしてきました。
テケケテン! とか音が鳴らなければやっぱりこいつ青ダヌキの間違いじゃないでしょうかと疑うところでございます。
「孔よ……。孔よ……。この壺を500万円で買えば地球は甦るぞよ!(キリッ)」
「ねえよ」
孔さんはニコニコAK47をホトケに突き付けております。
「はいはい二人とも冗談はさておき、中身は……梅干し?!」
ミコトさんはそれを口に含んでごっくんこ。
あら嫌だ。種ごとイッちゃった。
さて!(ポポン!)
梅干しに含まれる有効成分ピルビン酸が肝機能の強化に有効との俗説は有名でございますが!(パパン!)
猫はご存知の通り梅に含まれるアミグダリンが有毒と相成り梅を口にすることは叶いません。(ぺんぺん!)
つまり加工を終わらせた梅干しならば食べられる? その通り。しかし昨今人気の調味梅干しには塩分やアルコールや添加物といった別の問題が立ちはだかります。全て猫には猛毒。
それを平気で調理し毒の実でも梅干しにして紫蘇につけて梅酢につけ干して食べる。げに日本人もとい人間の恐ろしき食欲!
ピルビン酸は嫌気的に分解され、動物では乳酸、植物や微生物ではエタノールが生成します。
解糖系からのピルビン酸は乳酸発酵において乳酸脱水素酵素と補酵素NADHを用いて、あるいはアルコール発酵においてアセトアルデヒド、さらにエタノールへと変換されるのでございます。
しかるに十分な酸素が供給されない超恒星移動を伴う移動と共に種ごと梅干しを摂取したミコトさんの体内では!(ぺペン!)
梅干しの種は古来『仁』と申し、天神さんの力を持つとされます。
それはまさに儒教の始祖孔子の説く『仁』の力!
梅の種に含有されていたシアン配糖体がシアン化合物となって毒化することを梅干しに加工することによって防がれた結果、ミコトさんの体内では塩分と結合して早見沢の血液の中を駆けめぐる!
「早見沢って誰さ!」
「孔さん。それは全部ねーちゃんってやつのせいなんだぜ!」
そして血液の中で練られていたピルビン酸は代謝経路ネットワークの鍵となり第一反物質が美琴の脂肪分によって分解され、ホトケの聖なる光『ジシュキセー』により植物の力を得て光合成と相成りアラニンエタノールへと変換。
それは美琴の脳細胞に浸透してその人格を変え、エタノールはアセトアルデヒドへと変換される。
一方デタラメントはリンパ液に結合して、カチコミ酸とノラ粘液とサルマワシとイヌハドコニイッタノダを作り出す。
この際ノラ粘液は体温によって分解され、消滅するが、その残滓がカチコミ酸に結びついて核カチコミ酸に変化するのだ。この時、余剰のピルビン酸は糖新生によって炭水化物、アセチルCoAを介して脂肪酸あるいはエネルギーとなるのです。
おぶっぱんと梅干し食べて吐き出される酸味と甘味の7乗が力となりミコトさんはおぶっぱんを食べスーパーヒロインに変身。地球を逆方向に7回転ムーンサルトさせその余波で空をキャンパスに後方伸身3回ひねりして時間を巻き戻したのでございます。
「これぞ梅干し食べて!」
「いろんな意味でやばいからやめろばかホトケ! ミツキぃ~~! こいつの口を止めろ止めろ!」
……そして、カチコミ酸とサルマワシによって生成されたカラスノ蛋白質により、ミコトはスーパーヒロイン・ザ・スレンダーであった記憶をなくすのである!
ザワールドに! そして時は動き出す!
そう、先日更新時と同じく、巨大隕石が再び地球に接近なうでございますな。
「おいっす~」
「あ、隕石たんインしたお!」
……滅亡しますた。
「それ、解決になってない!
ほらほら隕石戻ってきたじゃん! え? 私なんか記憶飛んでいるけどなにかあったの? 今までの隕石が消えたの幻?!」
これは想定外。地球の叡智を結集して迎撃が必要でございますな。あるいはどこぞの妖星回避のごとくロケットで突き抜けるしかありません。
「ポチ! お願い! 煮干し食べて! 食べて隕石を迎撃して! ね! ね!」
「食べ過ぎで飽きたってさ。ねーちゃん」
呆れるミツキさんにゼロゼロ七回二度死ぬ同胞を憂い涙を流す孔さん。
まさに世界は滅亡一歩手前。
そこに登場海賊さんたち。
「何してるんですか姉御」
「あああ! 海賊いたぁああ! お願いぼくの地球を守って!」
キャプテンカーコック率いる海賊たちは迫りくる隕石を尻目にサンマを焼いております。
「あっしらは転生者じゃないですぜ? 姉御たちなろうの転生チーハーの読みすぎでしょう」
「ちがうううう! おばあちゃんの少女漫画なのおおお!」
「君たち、閑つぶしになろう小説見ていたのかい。それくらいぼくの蔵書にたくさんあるから何とかしてよ」
仕方ないですな。
彼らはパンツの穴に手を突っ込み。
(てけててん!)
「タイム巻き戻しぃ~!」
「そ、それを使うと隕石を止められるの!?」
海賊は首を振ります。
「5秒後に無制限に巻き戻ります」
十億と五千年経っても滅亡してる!
……ミコトたちは……真実に到達することはかなわず何度も何度も隕石による滅亡を経験した。
過去は……バラバラにしても石の下からミミズのように這い出し……。終わりがないのが終わりと人間どもに教えた……。
やがてミコトたちは考えるのを辞めた……。
「……じゃないだろうがぁあぁ!」
「ぼくがホトケの教えに目覚めかけたのはねーちゃんのせいだぁあ!」
「いいではないかいいではないか」
無限にクルクル回る回るよ輪廻は回る。まさに無限にお経を紡ぐマニ車のよう。
さながらミコトさんはバッターボックスに立つ勇者。
今、振りかぶって第一級隕石! 飛びました!
大気を引き裂き、大地を沸騰させて迫る隕石。
雄々しく立ち向かう女子高生バッター四番ミコトは今どき田舎でも見かけないセーラー服。
一億年ボタンを連打したのと同じくミコトさん。気づけば最強バッターに。これぞ落第バッターのガックン夢想!
「カッキーン!」
「打った!」「うった!」「ほーむらんだにゃ!」「みゅー」
ポチがのんびり毛づくろいをしている間に、隕石は元の世界に戻っていきます。
「オカエリ」
都市から歓迎の光を放っておりますが、そこは『でていけ』でございます。とにもかくにも地球は救われたのでございますな。
「……じゃ、孔さん。あとは任せた」
「任された! きっと立派な独裁政権を」
「つくらんでいい」「やめんかい」「ええ加減にするにゃ」
こうして銃後の憂いを絶ち、己の恥丘を、もとい地球の危機を救ったミコトさんはいよいよ本格的に外宇宙に向けて旅立つのでございます。ご清聴ありがとうございました。
中国「カッターァァ!! ビィィームゥ!!」(CV神谷明)
読者「これで完結でよくないですか」
作者「もうちっとだけ続くんじゃ」