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残虐悪魔の偽正義  作者: 残虐ナルシ
『悪魔狩り』の悪魔と『最弱』の少女
4/6

第3話 長谷川サリー

 まさかここでまた会うことになるとはな…俺の目の前には銀髪の少女、俺が昨日助けたあの少女が立っていた。

「あ…、その制服…同じ学校なんですね」

「関係ないだろ…どうせ校舎違うだろうし」

「え…?」

「…はぁぁ、だから、中等部と高等部じゃ校舎は違うだろ」

俺は察しの悪い彼女に呆れ、ため息混じりに言った。中等部と高等部の校舎が違うことくらい、すぐわかることだろうに…、と、俺は横の目の前の少女を見ると…

「…」

…なんで涙目でこっちを見てる。俺、強く言ったつもりはないぞ?てか、周りの学生(もちろん俺らと同じ制服を着ている)が明らかに俺が悪いみたいな感じで睨み付けてきている。…コイツらを一瞬殺したくなったが、そこは我慢し、彼女の気分を直すのに専念する。…なんで「悪魔狩り」所属で世界ランク第3位の俺がこんなことを…

「あー…悪かった。俺だって中等部のやつ相手に強く言うつもりじゃなかったんだ。だから泣く」

「…違うです」

「なって…、は?」

「わ、私…、中等部じゃないです!!高等部の1年です!!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」

「そっちかよ。あーもう、悪かっ…って、お前、その幼さで高校生かよ!!」

普通ありえない。この身長と幼いかわいさのあるこの顔つきで高等部はぜったいないだろ。

「わ、悪いでっすか…ひぐっ…確かに身長ちょっと低いかもですけど…」

「ちょっとどころじゃないだろ…。その制服だから中等部だと思ったけど、初めて会ったときは小学生かと…いや、何でもない、何でもないから泣くなあああぁぁぁぁぁ!!」

このままこの話を引きずったら確実に面倒だ。…話題を変えるか

「にしても一年か…なら、同じ学年だな。今日から俺は高等部一年として転入することになっている。」

できるだけ優しく、俺にしては珍しく優しく言い相手を落ち着かせようとする

「ぐすん…じゃあ、今日の高等部の入学式から転入する2人の内の1人って、あなたなんですか?」

興味を示した彼女は少し落ち着いてきたように見えた。

「ああ。名前とかも聞いていないのか?」

「えっと…確か…天雕守さんですよね?」

「なんだ、知ってんのかよ」

「あ、あははは…ん?…ッ⁉︎」

突然この少女の顔が強張った

「あ、天雕さんって、ももももしかして、『悪魔狩り』の…ですか?」

「…今更かよ。それと、守でいい。苗字はプライベートでは呼び慣れてないし、さん付けは俺が嫌いだ」

「じ、じゃあ…守…君でいいですか?」

「…君付けも慣れていないけど、苗字+さんよりはいいか」

「わ、わかりました。そそそそれにしても、ま、守君って今まで中学生だったんですね…。で、『悪魔狩り』に居るっていうことと通り名、後は世界ランク第3位っていうこと以外情報があやふやだったので…」

「まあ、TOP20に関しては噂に尾ひれがつきやすいしな…」

「え、ええ…」

そして、彼女は黙り込んだ。やっぱり少し、どころではないが、俺が『悪魔狩り』所属の天雕守ってわかってから怖がっているな…

「そう怖がるな。噂はどうなってるかは知らないけど、何もやるつもりはない」

「で、でも…わ、私、昨日の出来事…途中まで見ちゃったんです。守君が私を襲った人たちの二人をFoGを使って殺したところを…」

「…なんであの時逃げろって言ったのに見ていた?」

俺が彼女を睨むと、彼女はブルブルと震えだすが、引き下がらず

「な、なんで、ああああんなこと、したん、ですかっ?」

しかしその声は震えていて、目には涙が溜まっていた。俺の心には彼女に対する呆れの気持ちが湧き上がり

「お前…そういうこと言うんだったら、泣くなよ…」

「わ、私だって、こここ怖いんですよ。で、でも…でも… びぇぇぇぇぇぇぇん!!」

「って、泣くなぁぁぁぁ!!」

結局その後、俺がこの少女を泣き止ませるのに10分要した。


「あの人たち、能力者だったんですか⁉︎」

「ああ、しかもすでに人を数人殺っていた警戒レベルの違法者だ。『悪魔狩り』は重罪を犯そうとしたり、すでに犯している奴発見次第すぐに捕縛、簡単に言えば逮捕をしたり、問答無用で殺害する権利が国際的に認められている」

「だ、だからって、殺して良いってことにはなりませんよね?」

彼女(以後、泣き虫)はもう泣き止んだ状態で反論してくる。ちなみに、もう周りには他の生徒はほとんどいない状態だ。

「うるせえな。俺は今までこのやり方でテロリストや異能力者の違法集団を殲滅してきてるんだ。今回は半分は生きているだけまだ良い方だと思うぞ」

「ぜ、全然良くないです。な、なんでそこまでするんですか?」

「… 2年前に俺は誓ったんだ。そういう腐った奴らは全員悪夢へ葬り去るってな。奴らが2年前にやったように残虐な方法で葬り去ってやる…」

「ま、守君…?」

泣き虫が怯えてるような顔で呼んで、俺は我に返った。…チッ、嫌なことを思い出しちまったな。

「ああ、今言ったことは忘れろ。…そういえば、まだお前の名前、聞いてねえな」

「…そういえばそうですね」

一瞬、納得してないような顔をするも、諦めたのか追跡はしなかった。

「私は長谷川サリー、高等部1年の戦闘クラスです。」

「サリー…か、珍しい名前だな。」

「そうですよね、日本人なのに、変な名前ですよね…」

「変とは言ってない。むしろ、可愛い名前じゃん?」

「…っ、そ、そうですか?あ、ありがとうございます…」

何故か急に俯くサリー。更に、顔まで段々赤くなってきてるから少し心配ではある。

「顔、赤いけど、大丈夫か?」

「ひやっ⁉︎だだだ大丈夫です。そ、そ、それより、ままま守君はやっぱり戦闘クラスなんですか?」

「?ああ。そうだ。だから、同じクラスになる可能性はあるな」

「そ、そうですね」

「なあ、せっかくだからお前のFoGがなんだか教えてくれるか?」

「『弱送信』1つだけです。テレパシー系のFoGなんですけど、範囲も凄く狭い上に、こっちから送ることしかできないんです。みんなはFoGで強い攻撃ができるのに、私だけがいつまで経ってもこんな感じなので、学校では私、『最弱』って呼ばれています…」

「そうか…。なあ、訓練では勝てないってことは無いんだろ?訓練の戦歴は?」

「218勝997敗です」

サリーはそう答えたが、俺はそれに違和感を感じ首を傾げた。『最弱』にしては多い勝利数に。まだ、ただの『弱者』ならばこの勝利数は気にも留めなかった。だが、彼女は『最弱』、しかも、あんな戦闘でそこまで使えない能力しか持っていない能力者だ。この勝利数はまずありえない。

…俺は今、ある可能性を思いつきそれを確かめることにした。

「なあ、まだ時間あるよな?」

「え?え、ええ。SHRまでまだまだですけど…」

「なら、河川敷でお前と訓練したいから、俺に付き合え」

「…え?」

「だから、訓練に付き合えって言ってるんだよ。行くぞ」

「ちょっ、ちょっと待ってください、わ、私の実力じゃ無理で…きゃっ⁉︎」

サリーの膝と背に俺は腕を添え、抱きかかえると、背に黒い翼、黒い羽毛の禍々しい翼を出現させ、そのまま俺は羽ばたき、河川敷の方向へ飛び去った。その場に黒い羽根だけを残して…。


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