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プロローグ
「さーきーちゃん。いるよね? おっじゃまっしま~す」
さざ波のように耳を掠めてゆく優しげな声とは裏腹に、有無を言わせない断定的な口調。軽い身のこなしで部屋に侵入してくる彼は、泰隆さん。ちなみに玄関からではなく、窓からの侵入である。
窓の鍵をかけてしまえば、当然彼は入って来られなくなると思う。でもなぜか私は、そうやって彼を拒絶する気になったことはない。
こんな風に部屋に遊びに来るようになったのは、いつからだっただろう。初めて彼が遊びに来たとき、
「やってみたかったんだよね~こういうの。よく漫画に出てくる青春って感じで!」
そう言って、彼は無邪気に笑ったのだ。きっとその時にはもう、私は彼に絆されていたのだろう。