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黒髪の乙女  作者: 葉菜木
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出会い 1

ジンメイ国の西側

隣国からの攻めを幾度となく退けた山々は、ジンメイ国の人々には大地の恵みをもたらしていた。

西側地域は、防衛の意味もあり、森を守ることを第一とされている。そのため、森を開墾することは許可制であり、技術を持った者のみが木を伐採し、工芸品等を生産する。

そのほかの者は主に動物を狩り、皮製品などを販売することが西側地区の人々の収入源となっている。

西側地区、小都市・ユリーリアから馬車で半日、徒歩で1日の村・アマン。

その村はずれには、大きな果樹林がある。



「ライー、あんまり遠くに行かないでね」


「うん!大丈夫~、ハナみたいじゃないから!」


はははっそれ未だに言うの?

乾いた笑みを浮かべながら、自分より背の低い男の子の後をついていく。


今いる森は、ルイカナの実が多く成る森で、それを私とライは取りに来ていた。


ルイカナの実は、そのまま食べると甘く、干せば甘酸っぱく、見た目は林檎にそっくりだ。



”林檎”、この地域、この国、この世界には、私の知っている林檎はない


私は林檎を知っている。私が生まれ20年生きた、そして生きるはずだった世界で。


私がジンメイ国がある世界にきたのは1年前のことだった。


1年前、ちょうど私は大学の春休みを母の実家に来ていた。

母の祖父、私から見れば曾祖父が亡くなり、その葬儀に私も来ていた。

母の実家は昔、地主の家で、今でも多くの土地を持っていて、そこそこ有名で金持ちな家である。


私は母の実家が所有する森に来ていた。昨日まで、葬儀が行われ、今日から親族総出で遺産相続やら何やらで話し合いが行われるという。


私の母と母の姉弟は、早くに両親を亡くし、曾祖父に育てられた。


難しい話はよくわからないが、祖父の兄が居るためにめんどくさいことになるそうだ。



私は嫌な雰囲気になることを見越し、そうそうに避難し、森へ。



しばらく歩くと中は少し小高い丘になっていて、そこには大きな木があった。丘の中心に雄々しく立つ木のもとに向かう。


私が小さい頃は、この丘の中心に大きな木はなかった。


私たち家族がまだ母の実家の近く住んでいたころ、私が黒い子犬を拾った。

わがままを言って、なんとか飼わせてもらった黒い子犬はラムと名付け可愛がった。私がラムの散歩に行くと必ず母の実家によっては曾祖父に遊んでもらったりしていた。この森もラムのお気に入りだった。

私が小学生になり、冬が終わるころ、ラムが死んだ。


原因はわからないが、私が寝る前にみたラムはまだ元気だった。

朝、起きて散歩に行こうとすると、ラムは冷たくなっていた。


散々大泣きした後、私は森に向かった。


幼心にラムが死んだことをどうにか納得して、森の丘に向かったのだ。



ラムが好きだったあの丘に。





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