始まり
東に大地を潤す大河があり。西には隣国からの攻めを幾度となく退けた大きな山々があり、南には肥沃な大地を有する大国・ジンメイ。
ジンメイには昔からこんなおとぎ話がありました。
ジンメイがその昔、政治が王位争いのために不安定になり、疫病が国に蔓延し、滅びの途を国が辿ろうとした時。偉大なる予言者は、大神官ティ・ラマンの夢枕に立ち、知恵を授けました。
『我が遣わす、黒髪の乙女を主の王に。さすれば、この国はかつての姿を取り戻す』
御告げを受けたラマンはすぐに王に言いました。
「偉大なる預言者様が遣わされた黒髪の乙女を一刻も早く探し出し、あなたの妃にお迎えください。そうすればこの国は繁栄するでしょう」
そのことを聞いた王はすぐさま国中に通達しました。
【黒髪を持つ乙女を王妃にする 身分は関係ない 預言者に遣わされた者よ 王の元に】
国中は大騒ぎになりました。
貴族から平民まで、黒髪持つ妙齢の女は王都に集まりました。
集まった女たちは、神殿に連れて行かれ、一人ずつ大神官のティ・ラマンと面会しました。当初は、ひと月程度で見つかると思われた黒髪の乙女探しは難航しました。
いつまで経っても見つけられず、ラマンは病に倒れました。
そして、黒髪の乙女探しから1年後
黒髪をもつ女が一人、ラマンの元にやってきました。
彼女に会ったラマンは言いました。
「彼女こそ、預言者様が遣わされた乙女だ」
その後、盛大なお祭りが開かれ、多くの国民に祝福されながら黒髪の乙女と王は結婚しました。
しばらくすると、預言者の御告げ通りに疫病はなくなり、政治も安定し始めました。
めでたし、めでたし
でも、本当にめでたしとなるのでしょうか
だってこれはおとぎ話でしかないのだから