私の婚約者は、私のものを勝手に配って周囲に感謝される人でした
最初は、お弁当だった。
私、アデライド・フェルミナの婚約者である、シリル・ヴァレンツ伯爵令息は少し偏食だった。
学食で食べられないものが出ると愚痴を言っていたため、最近は私が料理人に相談して用意したお弁当を渡すことにしていた。
彼の苦手なインゲンやチコリ、ピーマンなどを除いて、代わりに食べられるニンジンなどを薄く切った肉で巻いてソースをかけたものや、そのまま焼くと脂っこいと言っていた鶏もも肉を蒸したものなど、彼も喜んでくれていた。
それを、一緒に食事をしていた友人たちが羨ましがっていたから、食べさせてあげたのだと彼が言う。
それだけならば好きにすればいいと思うが、シリルは
「今日は仕方なく、学食の食事をとった。
だから、これからはもっと量を用意してくれ。
僕の友人たちが食べても足りるように」
などという図々しいことを、まるで当然のことのように言ってきたのだ。
私は呆れてしまった。
「あなたのために用意したものなのよ?」
私がそう言うと、彼は驚いたようにこちらを見る。
「一人前も二人前も、そう変わるものではないだろう。
君が作るわけでもないのだし、それくらい良いじゃないか。
みんなも君の家の料理人を褒めていたんだぞ? 嬉しくないのか?」
あんまり当たり前のことのように言われて、思わずこちらは口篭ってしまった。
それを見て、彼はもう話は済んだものと思ったようで、「では、よろしく」と言い残して馬車に乗り込んで帰って行った。
私は納得がいかないながらも、婚約者からのお願いを無碍に断るのも悪いかと思い、料理人に次からは三人前ほどを用意するようにお願いした。
食べ物を友人に振る舞うことくらいで目くじらを立てて、心が狭いと思われたくないという気持ちもあった。
次は本だった。
私が読んで気に入ったと話していた本を、シリルも読みたいと言ったので、貸していた。
それきり、なかなか返ってこないので、あの本はもう読み終わったのかと何気なく訊くと、もうとっくに読み終わっていて、読みたがっていた他の友人に貸したと言う。
私は持ち主である私の許可もなく、勝手に他の人に貸すなんて、と呆れた。
けれど、その場ではまた読み返したいから返してもらいたい、と伝えるのが精一杯だった。
結局、その本はさらに又貸しされていて、しかもページに折り目や、食べ物のカスが挟まった状態で戻ってきた。
そして、そんな状態で返してきたというのに、彼は「本の一冊くらいケチケチするな」と言い、放って寄越した。
まるでシリルの中では、私のほうが悪いみたいだった。
そして、その翌週。
シリルは私が時間をかけて刺繍したハンカチを、友人が欲しがっていたからあげたと言う。
しかも、だからまた新しく刺繍して、それを自分に寄越すようにと言ってきた。
それは、前に彼が眺めるのが好きだと言っていた風車をモチーフにした、とても時間をかけた作品だった。
私は刺繍がそれほど好きではない。
けれど、風車はあまり見かけないモチーフだったので、わざわざ自分で刺繍してプレゼントしたものだった。
それなのに、彼はそれを簡単に作れるものだと思っているようだった。
「風車の刺繍は珍しいと言って、喜んでいたよ。僕も婚約者として鼻が高い」
私がなんでそんなことをしたのかと訊くと、彼は嬉しそうに笑ってそう答えた。
その次の週には、彼のためにまとめたテスト前のノートを、彼が友人たちに回しているのを見てしまった。
そうしてそれが手元へ返ってこなかったのか、彼は図々しくもう一回ノートをねだってきた。
「みんな喜んでいた。君だって、僕やみんなの役に立てて嬉しいだろう?」
シリルは、全く悪びれる様子がない。
またも当たり前のことのようにそう言われて、私は自分の感覚がおかしいのではないかと思い始めた。
いちいち気にするほうが心が狭いのかしら。
そんなことを思って、つい、言いたいことを飲み込んでしまう。
それからも、シリルは私が彼にあげたものを周囲の友人たちに配るのをやめなかった。
真鍮のしおり。
本。
万年筆。
カフスボタン。
ハンカチーフ。
ネッカチーフ。
珍しいお菓子。
それでいて、私に新しいものをねだるのも忘れないのだ。
「友人にあげてしまったから、代わりに新しいものを」
当然のことのようにそう言われて、苦い気持ちを噛み締めながら新しいものを手配する。
そんな日が続いた。
そんな日が続いていたけれど、婚約者同士として過ごす時間がなくなったわけではなかった。
ある週末、私たちは街に二人で出掛けていた。
予約してあったレストランで食事をして、食後に街を見て回る。
そのついでに、いつも予約でいっぱいの仕立て屋に寄ってもらった。
今月、運良く予約することができたので、再来月のパーティーに合わせて新しいドレスを作るつもりだった。
その下見で、店に寄ったのだ。
「そう言えば、婚約者のための予算がまだ残っているから、ここは僕に仕立てさせてくれないか?
僕の好みでドレスを作らせてもらえないだろうか」
「え、良いの? 家の私の予算で作るつもりだったのだけれど」
「たまには僕にも君へ贈らせてくれ、アデライド」
シリルにそう言われて、私は素直に喜んだ。
彼だって、私のことを考えてくれている。
最近、私ばかり物をねだられていると思っていたけれど、やっぱり気にしすぎだったのだわ。
そんなことを思った。
けれども、その気持ちは簡単に裏切られた。
あれきり、ドレスの仕立てについて一週間経っても何も連絡がないので、店に仮縫いがいつになるのかなどの確認に行ったら
「もう、あの方の妹である、カテリーナ・ヴァレンツ伯爵令嬢のドレスをお作りしている最中ですが」
と、不思議そうに店員から言われたのだ。
「どういうつもり? あなたは私のドレスを作ると言っていたのに、なぜ私の予約枠であなたの妹のドレスを作っているの!?」
その足でヴァレンツ家に行き、シリルに問い詰める。
「仕方がないだろう。君はまた予約すれば良いじゃないか。
妹は急なお茶会に誘われて、新しいドレスを作れないと恥をかくんだ。
それでも良いのか?
婚約者の家族の役に立てて良かったと、君はなぜそう言えないんだ?」
「それにしたって、一言くらい相談してくれてもよろしいではないですか!」
「思ったよりケチくさいんだな。君がそんなに心が狭いとは思わなかった。
誰かが喜んでいるのを妬むような、そんな人だとは思わなかったよ」
「私は妬んでいるわけでは——」
「ああ、もう良いよ。僕が悪かった! これで良いだろう?」
煙たげに手を振ってそう言い捨てられて、私はそれ以上言う気力を失ってしまった。
もう、今さら私が騒いでも、ドレスの予約枠は戻ってこない。
彼に、予約枠があることを知らせた自分が悪かったんだ。そんなふうに思った。
それからも、シリルは細かなものを周囲に配ることを繰り返していた。
そうして、彼が婚約者として家に来た時、それは起きた。
彼に、私室を見せて欲しいと言われて、お茶が終わった後に案内した。
少し嫌な予感がしていたが、それでも頭から突っぱねるほど関係が最悪なわけでもない。
あまりジロジロ見ないのなら、と一応言って、部屋を見せる。
部屋は毎日メイドが片付けてはいるし、天蓋が閉じてはいるけれど、普段寝ているベッドを見られるのは少し恥ずかしい。
「へえ、なかなかセンスが良いね。特に小物の扱いが良い」
シリルはぐるりと部屋を見渡して、そんなことを言う。
褒められて少し気分が良くなった時だった。
彼が化粧台の上に置かれた宝石類の入ったケースを、なんの躊躇もなく開けた。
そして、中からブローチを取り出して眺める。
嫌な予感がした。
「ああ、これだ。この前のお茶会で君がつけていたこのブローチ、妹が羨ましがっていたから貰っていくよ。君はまた作るといい」
そう言って、ひょいとブローチをポケットにしまってしまった。
私についていた侍女も、驚いたように息を呑む。
「それは最近作ったばかりのお気に入りですわ。返してください。
もし、欲しいのでしたら職人を紹介しますので、お宅でお造りになって」
私が言うと、シリルは不審げにこちらを見る。
「良いじゃないか、これくらい。
それとも、君の家はそんなに金に困っているのか?
それなら、婚約を見直さなければならないな」
「お金の問題では——」
「前から思っていたけれど、アデライド。
君は少し、ものに執着しすぎではないか?
貴族として、もっと鷹揚な気持ちでいて欲しいんだが」
「え……?」
眉間に皺を寄せて、苦々しい面差しでそう言われて口籠もる。
私が気にしすぎなの?
ものを大事にするのは間違っているの?
貴族なら、これくらいのことを気にしてはいけないの?
「では、また学園で」
私がぐるぐるとそんなことを考えている間に、彼は部屋を出ていき、さっさと帰りの馬車に乗り込んでしまったらしい。
私は、ブローチの隙間が空いた宝石箱をじっと見つめた。
翌月、我が家がお世話になっている侯爵家でパーティーがあり、私はシリルをパートナーに出席した。
この侯爵家は、若い男女の出会いに寄与するためのパーティーを定期的に開いていて、若者たちに人気が高い。
途中、ムードのある曲でのダンスタイムもあったりと、男女が親密になるための工夫もされている。
今日も、出会いを求めて若い男女が多数、出席しているようだった。
二人連れ添って、侯爵夫妻に挨拶をする。
こういう時は、シリルも普通に紳士的にエスコートをしてくれる。
私は久しぶりに安心した気持ちだった。
最初の曲でダンスを踊り、ウェイターが持ってきたグラスを取って、喉を潤す。
このあとは男女の出会いのための、ムーディな曲でのダンスタイムだ。
普通のダンスに比べて、より二人の体を密着させる振り付けだという。
知り合って間もない男女の気持ちを盛り上げ、親密さを増す効果があると噂だった。
「シリル、約束は?」
そこへ、シリルが声をかけられて振り返る。
そこにはあまり背の高くない、顔にニキビがある男性が立っていた。
シリルと一緒にいるのを何度か見た覚えがある。
私はよく知らないまでも、軽く腰を落として一礼した。
「ああ、ルバート。もちろん、覚えているとも」
シリルはそう言って微笑み、私の腕を掴むとぐいっと彼のほうへ引いた。
私はよろけないように、一瞬たたらを踏む。
「アデライド。彼はクラスメイトのルバート。
彼は今日パートナーがいなくて可哀想だから、君、一曲踊ってやれよ」
一瞬、何を言われたのか分からなかった。
ルバートと呼ばれた男性のほうを見ると、彼はこちらに手を差し伸べながら、ニヤニヤと笑顔を浮かべて私のドレスの胸元を見ていた。
次のダンスは、男女の出会いを推奨している侯爵の趣向で、かなり男女が体を密着させて踊るものだ。
ゾッと鳥肌が立つ。
シリルは、とうとう私のものだけでなく、私そのものを周囲に与えようとしているのだ。
私は、シリルの手を振り払って小走りになって会場から逃げ出した。
背後からシリルの呼び声が聞こえたけれど、立ち止まることなく馬車留めまで駆け抜ける。
そうして、衛兵が立つ横で我が家の馬車が回されてくるまで、涙目で震えながら、両手で体を抱きしめていた。
夏だというのに、震えが止まらない。
私は回されてきた馬車に飛び乗り、帰宅すると、早い帰宅に驚く執事や侍女を放って部屋に戻り、一心不乱にこれまで彼が私にやってきたこと、彼が周囲に差し出してきたものをリストにまとめた。
毎日のお弁当。
貸した本。
刺繍入りのハンカチ。
テスト用のノート。
真鍮のしおり。
万年筆。
カフスボタン。
ハンカチーフ。
ネッカチーフ。
私が取った観劇のチケット。
珍しいお菓子。
希少な茶葉。
私のドレスの予約枠。
ブローチ。
そして——私自身。
書き出して、これまでこんなにたくさんのものを、彼が周囲に分け与えていたのだと改めて知る。
これらはすべて、私が彼のために用意したものだったのに、彼はそれを全く気にしない様子で周囲に与え、感謝されて無邪気に喜んでいた。
シリルが欲しいのは『もの』ではないのだと、ようやく気がつく。
彼は、私が贈ったものが欲しかったのではない。
それらのものを誰かに与え、喜ばれ、感謝されることこそが欲しかったのだ。
そして、そのためなら私の持ち物や、私そのものを使うことにも躊躇がない。
それが、さっきの一件でよく分かった。
私は書き上げたリストを手に持ち、涙ぐみながら父親のいる執務室のドアを叩いた。
「どうした、アデラ。パーティーに行っていたんじゃなかったのか?」
書類から目を上げて、私のほうを見上げる父に、リストを渡す。
私は、涙ながらにこれまでのこと、そしてさっきのパーティーでの一件を話した。
「このままエスカレートしたら、結婚したあとは私と夜を過ごす権利や、生まれた子供のものまで他人に分け与えそうで……私、そんな生活耐えられません!」
最後にそう言って、両手で顔を覆う。
これまでずっと我慢していた分、感情が湧き上がって、涙が止まらなかった。
こんなに泣いたのは、ほんの小さな子供の頃くらいだ。
淑女教育を受け始めてから、制御されていた感情が爆発していた。
父は私の言葉を遮ることなく最後まで聞くと、眉間に皺を寄せて唸った。
「そうだな……そこまでされては、もう結婚など無理だろう。
分かった。このリストも添えて、婚約の解消を申し出よう。
ごねるようなら、アデラから様々なものを取り上げてきたことを理由に、ヴァレンツ家側の有責として訴えるとでも伝えれば、向こうも解消を選ぶだろう。
元々、家格の釣り合いが取れていたというだけで、政略というほどのものでもなかったしな」
「結婚しなくても良いの? 本当に?」
父の声音が常になく優しくて、私は幼い子供のような口調になってしまう。
父は優しく私を見つめて、
「あとは私のほうでやるから、ドレスを脱いで湯に浸かって、今日はもう休みなさい」
と言った。
婚約の解消について、父があちらのヴァレンツ家に申し出たものの、話はなかなか進まなかった。
ヴァレンツ家の両親はともかく、シリル本人がどうしても納得しないとのことだった。
学園で顔を合わせるのも嫌で、婚約が解消されるまではとしばらく休んでいたが、どうしても一度会って話をしたいと言うので、仕方なく家に呼ぶことにする。
ただし、一人では怖いので、父にも同席してもらうことにした。
「なぜ、勝手に帰ったんだ!」
謝罪でもなく、第一声はこれだった。
「せっかく侯爵家の次男であるルバートに恩を売れるところだったのに、君が勝手に帰ったせいで、彼は誰ともダンスを踊れなかったんだぞ?
男に恥をかかせるなんて、いったい何を考えているんだ」
私のことを睨みながらそう言う。
「ヴァレンツ伯爵令息。うちの娘は、金や権力でどうこうできる娼婦の類ではなく、貴族令嬢だ。
よその令息に勝手に貸し出される謂れはないと思うのだが」
「え、貸し出すなんて大袈裟です。
単にダンスを一曲踊るくらい、淑女なら当然の義務でしょう?」
「ブランドン侯爵家のパーティーは、男女の仲を深めるために、普通より密着させる特別なダンスタイムがある。
それを、婚約者でもない相手と踊らせるのが、淑女の義務だと?」
父がシリルをじっと見つめて問いかけると、シリルは言い返せずに口を閉じる。
あのダンスが際どいものだと、やはり知っていたようだった。
シリルは話が思い通りにならないのに、苛々とした様子で頭を揺らしてから、私のほうをまた睨みつけた。
「アデライド、父親の影に隠れていないで、きちんと話し合いに参加してくれ。
子供でもないのに親任せなんて、恥ずかしくないのか」
「娘を脅すのをまずやめて欲しいのだが」
「アデラ!」
「——その呼び方はやめてもらえますか? ごく親しい相手にしか許しておりませんの」
私は、シリルのほうをまっすぐ見つめて、はっきりとした口調でそう言った。
「もう婚約は解消するのですから、そんなふうに呼ばれたくありませんわ」
「なぜだ! 君は誰かの役に立てて嬉しいと、どうして素直にそう思えないんだ!」
やはり、彼は全く自分が悪いことをしたとは思ってもいないようだった。
私はこれまで、彼があまりにも当然のことのように主張するので、自分の考えが間違っているのではないかとずっと思い込まされてきた。
けれども、あのパーティーの時に、私は気がついたのだ。
シリルこそが異常なのだと。
「あなたが周囲に感謝されたくて差し出してきたのは、全て私が払ったものです。
あなたはあなた自身の持ち物は一切差し出さなかった。
私はあなたが感謝されるために存在するんじゃありません」
父が黙って頷く。
私を本当の意味で大事にしてくれている父の隣だから、私は怖がらずに自分の意見をはっきり言える。
私は私自身を大事にして良いのだと、そう自信を持って思える。
シリルは、私が反論してきたことにまず驚いたようだった。
これまでは言い負かされてきたから、今度も私の考えが間違っているかのように言えば、押し切れると考えていたのだろう。
「……僕が君にもっと感謝してみせれば満足だったのか?」
挙句に、こんな頓珍漢な言葉が返ってくる。
あくまでも自分を基準に考えているのが、これでよく分かった。
「感謝の言葉が欲しかったのはあなたではないですか。
これからはご自身の力で感謝されるように振る舞ってください。
私はもう関係ありません」
私は立ち上がって一礼した。
もう、これ以上を話す必要を感じなかった。
その後、すぐに両家の話し合いの末、婚約は解消された。
ヴァレンツ家は、我がフェルミナ家にこれまでシリルがねだってきたものたちの賠償を申し出てきたので、それはありがたく受け取ることにした。
あくまでも婚約者としてこちらから差し上げたものではなく、シリルが勝手に持ち帰ったものや、周囲に施して代わりをとねだって来た分だけだ。
ドレスの予約枠とブローチは、妹のカテリーナ嬢は私が厚意で譲ったものと思っていたようで、かなり恐縮していた。
シリルが、そう思わせるような物言いをしていたのだろう。
そして、そんな気前の良い婚約者を持った自分に感謝をするようにと、カテリーナ嬢に常々言っていたのだとか。
そして彼は、婚約を解消したあとも、周囲にものを振る舞って感謝される快感を忘れられなかったようだ。
今度は家族のものを勝手に持ち出して、友人やクラスメイトたちに振る舞い続けた。
やがて良い顔をするために周囲の人々に奢り始め、最後にはその資金として妹の持参金に手をつけたことがバレて、矯正のため学園を退学させて領地に送られたそうだ。
領地の小さな屋敷で最低限の使用人と、粗末な衣服と身の回りの生活用品しか与えられずに、誰とも会うことが許されず、日々厳格な家庭教師からの、再教育という名の厳しい躾けが施されているという。
家は、このままだと妹が婿取りをして継ぐことになるだろう、とのことだった。
婚約解消から数ヶ月後にそんな噂が私の元に回って来たけれど、父が選び直した新しい婚約者と付き合い始めた私には、もう関係のないことだった。
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