第九話 一乗谷城炎上
戦後大名・朝倉家が100年あまり居城とした一乗谷城は、福井県福井市にある山城です。現在は周辺城下町と共に発掘・復元され、一乗谷朝倉氏跡として整備されました。
1573年8月。一乗谷城の戦いが始まった。
織田軍3万騎。対する朝倉軍は二万騎である。
「今度こそは必ず義景を殺してやるぞ」
信長様の執念は、まるで怨念のようであった。
それを耳にした俺は、
行軍中に馬を並べた前田利家に、こう言う。
「今回は凄惨な戦いになりそうだな」
「それも仕方あるまい天下のためだ」
そう応じた利家は、さらに、
「天下を統一するのは争いのない世を造るため」
と、語り、言葉を続けた。
「それは民のためでもあり、天下人の責任だ」
「利家は、もう唯の荒武者ではないようだな」
「そんな言い方はよせ。嫌みにしか聞こえん」
と、利家は苦笑いしたが、
彼は家督を継ぎ城主となったため、今は、
領民を守る統治者へと成長したようだ。
だが、一方、信長様は、この一乗谷城の戦いで、
「皆の者、朝倉のバカタレを叩き殺せ!」
私怨のような感情で兵を指揮する。
「うおおおおおーッ!」
その信長様の感情が乗りうったかのように、
将兵は不気味な勢い得て、さらには、
ザザッ、ザザザーッ。
突如、戦場に暴風雨も吹き荒れた。
「ほほう。桶狭間を思い出すな」
信長様は豪雨に打たれながら、ニヤリと、笑い。
「必ずや、朝倉義景の首を討ち取るのじゃ」
と、将兵に厳命する。そして戦況は有利に進み、
「信長様、大嶽砦が降伏しました」
悪天候の中、敵の前線基地を撃破すると、
「田上山の義景は一乗谷城へと撤退した模様」
織田軍は退却する朝倉軍を徹底的に迫撃して、
武将38人、兵3800人を討ち取った。
「義景は一乗谷城からも逃走しているようです」
「よし、それなら燃やしてしまえ。勝家、行け」
一乗谷城に火を放ち炎上させる。そして遂に、
「朝倉義景は六坊賢松寺で自刃しました」
こうして、名門大名・朝倉氏は滅亡した。
朝倉義景の死後、越前に布教に赴いた宣教師ルイス・フロイスは、この土地のことを「日本において最も高貴で主要な国の一つであり、洗礼された言語が完全な形で保たれていた」と記しています。




