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第十三話 Season2最終回

 吉岡家の当主は代々、吉岡憲法と名乗り、足利将軍家の剣術指南役を務めていました。小倉碑文には宮本武蔵の父・新免無二と足利義昭の御前試合で戦ったと記されています。

 甲斐の武田氏を滅亡させた後、俺は信長様から、


「吉岡憲法と立ち会ってみよ」


 との命を受けた。

 その当時の信長様は近江に安土城を建造して、

 岐阜城から軍事の拠点を移転している。


「御意に」


 俺は、そう応じた。この頃の俺と愛都は、

 安土城の城下に住み、すでに息子も二人いる。


「吉岡憲法は強いのでしょう。勝てるの?」


 と、愛都は心配したが、


「負けても殺されることはない」


 これは、ただの御前試合なのだ。

 そして試合当日。京都の吉岡道場で、

 俺は憲法と対峙した。彼は、


「貴殿は、ご高名な方と聞きます。お手柔らかに」


 礼儀正しく一礼する。道場には、

 上座に信長様と家臣たち、

 下座には吉岡道場の関係者が、ズラリと居並ぶ。


「吉岡殿こそ、お手加減を」


 俺と憲法は互いに木刀を構えた。さすがに、

 将軍家指南役の憲法は、

 ただ者ではない剣気を放っている。そして、


「おりゃあ!」

「せいあーッ」


 カン、カコン、カアン!


 三度、木刀を合わせると、サッと、憲法が退き、


「所詮、我が剣は道場剣法に過ぎず」


 と、木刀を納め頭を下げる。


「幾多の戦場を知る貴殿の業には遠く及びません」


 そう言って負けを認めたが、俺は、


「我が武芸など鉄砲を前にすれば死あるのみです」


 そう語り、言葉を続けた。


「だが憲法殿の研鑽に研鑽を重ねた剣は、気高く」


(たとえ憲法が戦場で討たれ屍になったとしても)


「その高貴な業は未来永劫、失われることはない」


 その俺の言葉を聞き、信長様は、


「よく言った。名言じゃ!」


 と、満面の笑みで俺の姿を見ていた。

 そして俺は憲法に一つ聞いた。


「憲法殿は人を殺めた事は?」

「私は、未だに、ありません」


 それは良い事だ。剣術は所詮は殺人の技術だが、

 人など殺さない方が良いに決まっている。

 安土桃山時代は織田信長が京都入した1568年、もしくは室町時代が終わった1573年から、関ヶ原の合戦の1600年の約30年間です。織田信長と豊臣秀吉が覇権をにぎった時代でしたが、徳川家康が征夷大将軍に任じられると江戸時代が始まり、安土桃山時代は終焉しました。

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