第一話 進撃の天下布武
足利義昭は室町幕府・最後の将軍です。織田信長に擁立され、第15代将軍に就任しましたが、新たなる時代の覇者を目指す信長と対立して、その結果、信長に敗れ、室町幕府を滅亡させることになりました。
俺は織田信長様の馬廻衆を勤め、
桶狭間の戦いや稲葉城の戦いなど、数々の、
合戦を戦った。
「この信長が天下を平定して新たなる世を創る」
勢力を拡大して飛ぶ鳥を落とす勢いの信長様は、
意気揚々と号令を発した。
「天下布武じゃ、京へ向う」
1568年。信長様は足利義昭を奉じて上洛。
三好三人衆などの抵抗勢力を撃破して、義昭は、
「室町幕府・第15代征夷大将軍に就任」
室町幕府の再興を果たした。だが、
未だに足利将軍に反抗する勢力もある。
「信長よ、朝倉が上洛の命に従わぬぞ」
朝倉氏は越前の名門大名であるが、
将軍の上洛の命令を無視したのだ。これを受け、
「では、この信長が成敗いたします」
1570年。信長様は徳川家康と連合を組み、
朝倉義景の討伐に向う。織田・徳川連合軍は、
手筒山城、金ヶ崎城と侵攻して、
優位に戦いを進めていた。だが、その時、
「怪しげな者が、陣の周りを徘徊しておりました」
と、兵が俺の前に連れてきたのは、
「あっ、愛都じゃないか」
それは男装した俺の幼馴染だった。
愛都は信長様の妹・お市の方の侍女として、
「今は北近江にいるのではなかったのか?」
「お市様から、信長様への書状を預かって」
お市の方は浅井長政と政略結婚している。
その書状が合戦の陣に届くということは、
「重要な要件に違いない、すぐに本陣の信長様へ」
その書状には浅井長政が義兄の信長様を、
「裏切って、後方から攻め込んでくる」
という内容が記されていた。突然の裏切りに、
信長様は呆然と、
「まさか、これは虚説でないのか」
と、信じられない様子であったが、
そもそもは信長様が浅井氏との同盟締結の際、
「浅井氏と関係の深い朝倉氏へは攻撃しない」
との条約を一方的に破ったことが原因だろう。
朝倉義景は越前随一の名門大名である朝倉家に生まれ、11代目の当主となりました。義景は政治に関心が薄く、家臣に任せきりで、自身は文弱に溺れ、遊芸に明け暮れていたとも伝えられています。彼も乱世の激流に押し流された統治者だったのかもしれません。




