表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

91/327

【第89話:仮面の徒、再び】

牢獄を抜け、外に出ると――


目の前には無数の魔物たちが待ち構えていた。

「う……うわ、な、なんだこりゃ……」ロイは肩を押さえながら後ずさる。

クランも息を飲む。王と王女は目を丸くして、恐怖に凍りついていた。


しかも魔物の師団長、三人までもが姿を現す。

「こ、こんな……三人も……!」ロイの声は震えていた。


だが、その瞬間、空気がひんやりと変わる。

「来たな……」ゼイヴの目が鋭く光った。


そこに仮面の徒たちが姿を現す。


まず仮面の騎士シグラが師団長の一人に斬りかかる。

「ぐあっ!」師団長の首が、あっという間に転がった。


続いて、仮面の徒グラトスが拳を振り下ろす。

師団長は文字通り粉々に吹き飛んだ。


さらに仮面の徒マーヴォが瓦礫を操り、残る師団長に無数の瓦礫を突進させる。

「な……なに……!」ロイとクランの声も虚しく、師団長は瞬く間に全滅した。


「……ゼイヴ様……迎えに参りました。」


クランは思わず息を呑む。

ロイも肩の痛みを忘れ、ただただ仰天するばかり。


その時、マーヴォがロイに目をやり、ヘラヘラと笑った。

「いやぁ……久しいね、元気だった?」


しかし、次の瞬間――魔物の親玉が姿を現した。

「ここまでか……!」ロイは思わず身をすくめる。


だがゼイヴは静かに、しかし凛とした声で言った。

「時は……止まる」


その言葉と同時に、魔物の親玉の口から血が噴き出し、無残に崩れ落ちた。

周りの魔物たちは恐怖に駆られ、一斉に逃げ去っていく。


「……終わった……のか?」ロイは肩を押さえつつ、信じられない光景を見つめた。

クランも王も王女も、ただ静かにその場に立ち尽くす。


「フフ……皆、無事で何よりだ」ゼイヴは微笑み、静かに剣を収めた。


その背中を見て、ロイは呟いた。

「……俺、何やってんだ、ただ走ってただけじゃん……」


クランは笑いながらも、ゼイヴたちの強さに改めて圧倒されていた。

「……信じられない……こんな人たちが味方だなんて」


「さて…」

ゼイヴたち仮面の徒は、ロイに向き直る。


「ロイ、ここから先は私たちの正義のための戦いです。あなたは王国復興のために残ってください」


ロイは肩を押さえつつ呆然とする。

「え……俺だけ残るのか……?」


「ちなみにあなたが壊滅させようとしていた紅の団、他の砦は我々が壊滅させましたよ。」


ロイはホッとする。

「カレンたちも安心だ…よかったな、セリーヌ…」


クランは目を輝かせてゼイヴを見つめる。

「ゼイヴ様……すごすぎる……!」ハートの目で、完全に魅了されていた。


ロイは肩を押さえつつ、四十肩を言い訳にして、ただ走っただけ。

「俺、別に何も……」


王と王女が駆け寄り、感謝の言葉を述べる。

「ロイ殿、あなたのおかげで王国が助かりました!」

「本当に……ありがとうございます!」王女も微笑む。


ロイは心の中で思わずつぶやく。

「いや、俺……ほとんどゼイヴたちのおかげなんだけど……」


クランは小さく不満げに言う。

「なんで……おじさんの方が残るの……?」


ロイは相変わらず四十肩に苦しみながらも、王国復興の手伝いを始めることになった。

街を歩くと、道行く人々が「四十肩おじさんのおかげで助かった!」と声をかけるが、本人は戸惑い気味。

「いや、俺、ほとんど戦ってないんだけど……」


ゼイヴたちは再び去っていったが、その背中を見送るロイとクランは、少し寂しさを感じつつも、王国の未来を守るための新たな日常を歩き出す。


四十肩おじさん――英雄ではないけれど、少しずつ人々に認められ、周囲の女性たちの心も動かしていく。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ