表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

90/327

【第88話:牢獄からの脱出】

「ロイ、起きろ」


眠りから覚めたロイの視界に飛び込んできたのは、ゼイヴだった。今は仮面をつけていない―美形だ――


「あ……お、おい……ここは……?」

あたりを見回すと、そこは牢獄。薄暗く冷たい空気が漂っている。慌てて身を起こすが、肩に鋭い痛みが走った。四十肩の悲鳴だった。


ゼイヴは微笑みながら言う。

「そう、また時を超えたのです」


ロイは何を言っているのかわからず、頭を抱えた。心配なのは、今まさに戦っているはずのカレン達。しかし戻る術は、今のところない。



その時、牢の隅から驚きの声がした。

「急に……現れて……どうなってるの?」


振り向くと、そこにはもう一人、女性がいた。剣士の装束を纏い、戦いの疲れが色濃く残る彼女――クランだった。


ゼイヴは丁寧に頭を下げる。

「お嬢様、突然で申し訳ありません。私はゼイヴ、このおじさんはロイと申します」


ロイは無意識に肩を揉みながら突っ込む。

「俺だけおじさんかよ……」


クランは狼狽しつつも事情を話す。

「私はクラン……この王国の剣士でした。魔物が突然現れて、王国は乗っ取られ、私はここに閉じ込められ……王と王女も、同じく囚われています」


ゼイヴは静かに頷く。

「なるほど……では、今はあなたを信頼しましょう。ロイ、初めての共闘とします」


ロイは口が開きっぱなしだ。四十肩で戦力微妙な自分に、まさかの共闘指令。


クランは足を負傷しており、満足に歩けない状態だった。

「たのむ……王と王女を助けて!何でもする……痛っ」


ゼイヴは少し笑みを浮かべると、鋭い細剣で牢の扉を一振りで粉砕した。


「では、まずは王と王女を助けましょう。クラン、指示してください」


ロイもクランも、ゼイヴの剣さばきにただポカンとするしかなかった。


「お、おい……これ、本当に俺が共闘して大丈夫なのか……?」

四十肩を押さえつつも、ロイは覚悟を決めるしかなかった。



ロイは肩の痛みを押さえながらも、クランを背負って歩き出した。

「お、おい……これ、本当に俺が走るだけでいいのか?」


「ええ、ロイはお嬢さんを背負いながら魔物から守ってください。といっても私が全部倒してしまいますが」冗談に聞こえない。


牢獄の奥へ進むと、突然、魔物の一団が立ちはだかった。

「ぐ……やっぱり来やがったか……!」ロイは思わず後ずさる。


だが、ゼイヴは冷静そのもの。細剣を握ると、まるで空気を切るかのように振るい、一撃で魔物を薙ぎ倒していく。

「え……一撃で!?」ロイもクランも目を丸くした。


「す……すごい……ゼイヴ様……」クランは驚愕で言葉を失う。

「……このおじさん、ただ走ってるだけでいいのか……」ロイは自分の四十肩に感謝しながらも、ちょっとした虚脱感を覚えた。


魔物の残党が再び迫るも、ゼイヴの細剣は止まらない。

空中に舞う魔物の残像が光の帯となり、次々と消えていく。


「ロイ、クラン嬢、王と王女の場所はすぐそこです!」ゼイヴが叫ぶ。


ロイはクランを背負ったまま、肩の痛みに唸りながらも走る。

「四十肩でも……まだまだ……やれる……!」


二人はゼイヴの背中を頼りに、牢獄の最奥へ辿り着いた。

そこには、鎖で縛られた王と王女が待っていた。


「王様、王女様!」クランが駆け寄ろうとするが、足の怪我でふらつく。

「安心してください、私が解放します」ゼイヴが一振りで鎖を切り、王と王女は自由になった。


「……まさか……こんなに簡単に……」王は驚きの表情を隠せない。

王女も目を丸くした。


ロイは肩を押さえつつ、クランを背負ったまま立ち止まった。

「ま、まさか俺……ただ走ってただけで……?」


クランもゼイヴの剣さばきに目を丸くしたまま、息を整える。

「いや……私達、戦力になってない……」


ゼイヴは微笑み、鋭い目で牢獄の出口を見据えた。

「さて、次はここから脱出です。ロイ、クラン嬢、覚悟はいいですか?」


ロイとクランは互いに頷く。

「覚悟……っていうか、肩痛いんだけどな……」ロイがぼそりと漏らすと、クランは思わず笑った。


四十肩おじさんと負傷剣士、そしてチート剣士――奇妙なパーティが、魔物の巣窟からの脱出を開始する。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ