【第87話:解き放たれた声】
牢獄から脱出したロイたち。夜の森の中で、一行は焚き火を囲み、ようやく安堵のひとときを迎えた。
解放された人々はまだ震えているが、笑顔も見え始める。
「ふぉっふぉっ、よくやったのぉ……わしの四十肩も、少しは役に立ったじゃろう?」
ババ様は肩を押さえながら杖をつき、少しヨロヨロと火のそばに座る。
「ババ様……見た目は大丈夫ですか!? 肩は?」
「む、まだ痛いが……まあ、何とか……あぁ、この四十肩さえあれば、若いもんの盾くらいにはなるわぃ」
セリーヌとカレンは思わず吹き出す。
「さすがババ様、戦力を体で示すなんて!」
「……まさか肩で時間稼ぎができるとはね」リシュアも苦笑。
ロイは肩をさすりながら、「ふぅ、でもこれで少しは休めるな」と一息。
ルシア/リュシアは焚き火の光で炎が反射する瞳を揺らし、次の人格が出るときは小さなギャグを交える。
「……くっ、ちょっと恥ずかしいんですけど!」
「ルシア、今は休め!」ロイが手を差し伸べると、人格が切り替わったリュシアはにやりと笑った。
その横でカレンがロイの肩を叩きながら、少し嫉妬混じりに言う。
「でも、ロイ……あの時はかっこよかったのよ?」
「ふん、まあ、そう見えたならいいけど……」
セリーヌは大剣を抱えつつ、ロイをチラリと見て顔を赤らめる。
「……私も、役に立ったかしら?」
「もちろんだ、二人とも頼もしかったぞ」
ロイの言葉に、二人の胸がドキリとする。四十肩でバタバタしてるけど、微妙にハーレム感が漂う焚き火の周囲。
そのとき、イレーネが焚き火の向こう側から歩み寄る。
「……皆さん、本当にありがとうございます」
ロイたちは振り返る。
「ええ、でも今度は私も戦います。紅の団を壊滅させるために」
ロイが笑いながら手を差し出す。
「一緒に来てくれるのか?」
イレーネは小さく微笑み、手を握る。
「ええ、あなたたちと共に戦います」
リュシアが横から口を挟む。
「……ふふ、面白くなりそうね」
カレンは無言で眉をひそめ、セリーヌも頬を赤くして顔を背ける。
「……ロイ、またモテ期到来ね……」
ババ様は杖をつきつつ、ぽそりとつぶやく。
「うむ……わしも昔は……ふぉっふぉっ」
焚き火の光の中、笑いと小さなハプニングが続く。
戦いの緊張は少し緩み、だが仲間たちの結束は一層固くなったのだった。
ロイは急に眠くなり、みんなの笑い声とともに意識が薄れていく・・・
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