表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

87/327

【第85話:紅の団の牢獄へ】

紅の団の本拠地にある地下牢に、ロイたちは潜入を試みていた。

案内役はイレーネ。彼女は紅の団に潜入し、仲間の解放を狙っていたが、逆に捕まってしまう寸前まで行った経験を持つ。内部の構造をある程度知っていた。


「この先の通路、見張りは二人。タイミングを見て……」

イレーネの小声に、ロイたちは緊張の面持ちで頷く。


暗い石造りの通路に、たいまつの明かりが揺れていた。

カレンは短剣を構え、猫のように気配を消して前へと進む。

セリーヌは大剣を布で覆い、音を立てないように背負っている。

リュシアは「怖いけど……」と震えながらも、その瞳には強い意志が宿っていた。人格が切り替われば、別人のように大胆になるはずだ。


ババ様はというと……

「わしの四十肩の秘技を試すときが来たかもしれんのぉ」

と小声でぼやく。ロイは慌てて口を押さえた。

「ババ様!声が大きいです!」

「む、すまんすまん……」

(……ほんとに頼りになるのか、この人)


やがて、牢の入り口に辿り着く。

重厚な鉄格子、その奥には囚われた人々の影が見える。


しかし、そこには一筋縄ではいかない気配があった。

普通の兵ではない、師団長クラスの強者が潜んでいる――ロイは直感で悟った。


「……来るぞ」

闇の中、ゆっくりと立ち上がる人影。

金色の仮面をつけ、赤い外套を羽織った男が姿を現した。


「よくぞここまで潜り込んだな、小僧ども」

その声には愉快そうな響きと、底知れぬ冷たさが混ざっていた。


紅の団の牢獄守護の師団長――登場である。



ロイたちの前に立ちはだかったのは、赤い外套に金の仮面をつけた男。

その手から放たれたのは、冷たい金属音を響かせる無数の鎖だった。


「牢獄の番人として、貴様らを生かして返すわけにはいかぬ」


鎖は意思を持つかのようにうねり、床や壁に叩きつけられ、火花を散らす。

一撃でも喰らえば骨が砕けそうな威力だった。


「ちょ、近づけない……!」

カレンが舌打ちしながら短剣で鎖を弾く。だが次から次へと襲いかかり、間合いが取れない。


「セリーヌ!援護を!」

「任せろ!」

セリーヌの大剣が鎖をまとめて弾き飛ばす。その豪快な一撃に一瞬の隙が生まれた。


だがすぐに別の鎖が彼女の足元を絡め取る。

「くっ……!」

セリーヌの身体が引き倒されそうになった瞬間、ロイが腕を伸ばす。

「セリーヌ!」

「ロイ……!」

一瞬、見つめ合う二人。その距離の近さに、セリーヌの顔がわずかに赤く染まった。


「ちょっと!ロイ、私のこともちゃんと見てよ!」

カレンが嫉妬混じりに叫び、鎖を切り払いながら飛び込む。

その背中にロイが「頼りにしてる!」と声をかけると、カレンの耳まで真っ赤になった。


リュシアは後方で震えていたが――

「……守る、私も……!」

次の瞬間、人格が切り替わり、ルシアの冷たい瞳が輝く。

「鎖ごと焼き尽くしてやるわ」

火球が放たれ、鎖の一部を黒く焦がした。


ババ様はというと……

「おぉ、若いのぉ……誰を選ぶかで大変そうじゃの!」

「今そんなこと言ってる場合じゃないでしょう!!」

ロイと三人娘が同時にツッコんだ。


戦場の緊迫感の中にも、妙な熱気が漂う。

だが鎖の師団長は余裕の笑みを浮かべ、さらに鎖を増やしていく――。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ