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【第81話:焚き火と妙な空気】

紅の団の砦へ続くという北の洞窟。

だが、突入するには準備不足。

ロイたちは入口近くで野営することにした。


焚き火の火がパチパチと弾け、鍋からはいい匂いのシチュー。

セリーヌが腕を組みながら「ふん、料理は女の仕事じゃないんだけどね」と言いつつ、ちゃっかり味見役を独占していた。


「おい、食いすぎだろ」

「……大剣を振るうには体力が必要なの!」



カレンはロイの横に腰を下ろし、木の枝でシチューをかき混ぜながら小声で言った。

「ねぇ、最近あんた……危ない橋ばかり渡ってる。仲間を頼るのも忘れないでよ」


その横顔はほんのり赤く、少しだけ視線を逸らす。

ロイは苦笑い。

「頼りにしてるさ、カレンには」

「……そ、そう?」



「ふ、フヒ……」

突然、リュシアが頬を赤らめながら、シチューを差し出す。

「わ、私の分も食べてください……!」


ロイが受け取ろうとした瞬間、ルシアに切り替わる。

「バカ。毒見もせず食えるか。まず私が味見だ」

そう言って全部食べてしまった。


「えええええ!? 私の好意がぁぁぁ!」

とリュシアが泣き叫ぶ声が森に響く。



その騒動を横目にセリーヌは大剣を背に、焚き火の光で目を細める。

「ロイ、あんた妙に女に囲まれてるじゃない。……責任、とれるの?」

「なっ、なんの責任だよ!?」

「ふふん、顔赤いわよ」


カレンが「ちょ、ちょっと! からかわないで!」と声を荒げ、リュシア(泣き顔のまま)が「ロイは私の命の恩人なのに……」とぶつぶつ。



そんな空気の中、ババ様がごそごそと焚き火の向こうから現れ、

「モテモテじゃのう、ロイ。わしの若い頃にそっくりじゃ」

とウィンク。


「いや、全然似てないから!!」

一同のツッコミで、キャンプは爆笑に包まれた。



翌朝。

焚き火を消し、ロイたちは紅の団の砦へ続くという洞窟に足を踏み入れた。


中は薄暗く、壁に苔が光り、滴る水音だけが響く。

「うわぁ……なんかお化け出そう……」とリュシアがロイの背中にぴったり。

「おい、腰にしがみつくな。四十肩に響く!」




一行が進むと、突然「カチリ」と音がした。

床が沈み込み――ロイが思いっきり落とし穴へ!


「ぐわああああ!」

ドサァッ!

四十肩に直撃。

「いってぇぇぇ……! 肩が粉砕された!」


だが偶然、彼が肩を壁にぶつけた拍子に仕掛けのレバーを壊し、底の扉が開いてセリーヌたちが無事に通過できるという謎の幸運が。


「……まさか肩で罠を解除したの?」

「ロイの肩って便利ね」

「便利じゃねえ!」




次の通路。天井から矢の雨が降り注ぐ!

ロイが「伏せろ!」と叫んだ瞬間――。


「うおっ!? 肩が痺れた!」

痛みで思わずしゃがんだロイの背中を矢がすべてかすめ、後ろの仲間たちは無傷。


「……肩に救われた……?」

「やっぱり便利じゃん」

「便利じゃねえ!!!」




最後に現れたのは巨大な石球。

ドドドドド……と転がってきて全員青ざめる。


「ひいい! これ映画で見たやつ!」

「リュシア走れええ!」


必死で逃げるロイたち。

しかしロイの肩がまたピキィッ!

「ぎゃああ、肩!肩が!」


痛みによろけて転倒――ところが偶然、通路の横穴に倒れ込み、全員そこへ避難できた。

石球は通りすぎていき……命拾い。


「……なぁ、もしかしてロイの四十肩って伝説級なんじゃ?」

「いやいやいやいや! 俺はただの中年だ!!」




ひとしきり大騒ぎしながらも、洞窟の奥に光が見え始める。

どうやら紅の団の砦へ続く出口に辿り着いたらしい。


だがそこで、また「カチリ」と音が……。

「うわ、また罠!?」


果たして次はどんな仕掛けが待ち構えているのか――。


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