表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/327

【第46話:試練の襲撃 ― セレナの奥義】

 山奥の庵での修行は、厳しくも充実していた。

 セレナは木剣を振るい、瞑想を重ね、師匠の教えに必死に食らいついていた。

 その姿を見て、ロイも思わず感心する。


「……やるじゃないか、セレナ。あの集中力は俺には無理だな」


「ロイさん、四十肩だからってサボっちゃだめですよ!」

 無邪気にミアが突っ込む。


「ぐっ……お前もだいぶ馴染んできたな……」

 ロイは頭を抱えたが、どこか嬉しそうだった。



 だが、その静けさを破る影があった。


 夜。庵を包む森の奥から、不気味な気配が漂ってきた。

 ロイがすぐに立ち上がり、剣を構える。


「……来やがったな」


 黒い霧を纏った影――虚骸軍の兵たちが森から姿を現す。

 しかも今回は、ただの斥候ではなかった。大柄な魔族が槌を担ぎ、背に翼を生やした異形の幹部級も混じっていた。


「師匠の庵まで……!?」

 セレナが息を呑む。


「やはり、ここまで目を付けられておるか」

 師匠は杖を握りしめ、静かに構えた。



「来るぞ!」

 ロイが叫び、正面から突撃する魔族と剣を交えた。


 斧が振り下ろされる。ロイは四十肩を回して無理やり軌道を逸らす。

「――おっさんスピン!」

 半ば強引に体を回転させ、魔族の腹に蹴りを叩き込む。


「なんだそれ!? でも効いてる!」

 ミアは短剣を振るい、素早く敵の足を狙う。

「えいっ、えいっ! ……ロイさん、後ろ!」


「わかってる!」

 背後からの突きを紙一重でかわし、斬り返すロイ。


 一方、セレナは剣を構えていたが、敵の圧に体が震えていた。


「私……また、足がすくんでる……?」



「セレナ!」

 師匠の声が響く。


「恐怖に囚われるな! 己を縛る鎖を断ち切れ! 剣は心の在り方を映すものだ!」


「……心の在り方……!」

 セレナは剣を握り直し、必死に前を見据えた。


「私は……! 私は、仲間と共に戦うんだ!」


 その瞬間、剣が淡い光を帯び始める。



 迫る幹部級の魔族が斧を振り下ろす。

 セレナは一歩踏み込み、渾身の力を込めて剣を振り抜いた。


「――奥義、《蒼閃断そうせんだん》!!」


 蒼い閃光が夜を切り裂き、魔族の巨体を真っ二つにした。


 地面が震え、光が収まると、敵の姿は塵となって消えていた。


「な、なんだ今の……!」

 ロイが目を見開く。


 ミアも口をぽかんと開けていた。

「す、すごい……! セレナ先輩、かっこよすぎます!」



 残った虚骸軍の兵は、仲間の幹部を失ったことで一気に動揺し、森の奥へと退散していった。


「……やったのか……」

 ロイが剣を下ろす。


 セレナは肩で息をしながら、剣を抱きしめた。

「これが……私の……奥義……」


 師匠は頷き、静かに言った。

「よくやった、セレナ。お前はついに、自らの恐怖を乗り越えた」


 その言葉に、セレナの瞳は涙で滲んでいた。



 戦いが終わった後、庵に戻った仲間たち。


「セレナ先輩、本当にすごかったです! 私ももっと頑張らなきゃ!」

 ミアは興奮気味に飛び跳ねる。


「お前は十分頑張ってるよ。ただ元気すぎて俺の肩が余計痛くなるけどな……」

 ロイは苦笑しながら肩を回した。


 その光景を見て、師匠は小さく頷いた。

「……セレナ。お前の修行は終わった。だが、この子もそろそろ街で学ぶべき時だ」


「えっ……!」

 ミアが驚き、目を丸くした。


「セレナと共に行け。仲間として」


 その言葉に、ミアの顔がぱっと輝いた。

「はいっ! やったー! ロイさん、これからよろしくお願いします!」


「お、おう……まあ、よろしくな」

 ロイは少し気圧されながらも笑った。


 こうして、セレナの奥義習得と、新たな仲間ミアの加入が決まった。

 だが、その裏で虚骸軍は、さらなる侵攻の準備を着々と進めていたのだった――。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ