【第40話:虚骸軍の侵攻、そして開戦】
その日、街の空は濃い灰色の雲に覆われていた。
不穏な風が吹き抜ける中、鐘の音が鳴り響く。
「虚骸軍だ! 虚骸軍が来たぞ!」
見張り台の兵士の叫びが街全体に広がる。
黒き甲冑をまとった兵たちが列をなし、巨大な魔獣を引き連れて押し寄せてくる。
その中心に立つのは、かつて敵として対峙した――幹部リゼルのかつての同胞たち。
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「ふん……来たか。やっぱり、あの連中は止まらない」
リゼルが剣を抜き、目を細める。
「ロイ、肩は大丈夫?」
フィオナが心配そうに問う。
(うう……四十肩でまともに振れねぇけど……)
ロイは心の中で嘆きつつも、仲間の視線を前に気合を入れる。
「やるしかねぇだろ。俺たちの街を守るためにな」
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ロイは指示を飛ばす。
「セイナ、前衛! フィオナは後方から矢を! リリアは魔法で援護だ!
ルカとエリスは治療を頼む! ティナは盾役に回れ!
シルヴィアは……計算はいいから敵の弱点を見つけろ!」
「わ、わかりました!√虚骸軍は三乗根を――」
「お前はもう黙ってろ!」
笑いが起きた瞬間、戦場に魔力の奔流が走る。
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虚骸軍の軍勢の中から、三人の幹部が前に進み出る。
炎を自在に操る戦士、
影に溶ける暗殺者、
そして巨大な大剣を片手で振るう怪力の女。
「ロイ。あれは私がかつて共に戦った連中だ……」
リゼルの声は震えていた。
「今はもう関係ねぇ。お前は俺たちの仲間だ」
ロイが短く言い切ると、リゼルの胸に熱が走った。
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ラグナが空へ舞い上がり、光のブレスを吐く。
セイナが剣を構え、前線へ突撃。
フィオナの矢が雨のように放たれ、リリアの炎魔法が敵の列を焼き払う。
「おじさん、無理すんなよ!」
ガイルが獣化して敵兵を蹴散らす。
「無理はしてない! ただ肩が外れそうなだけだ!」
ロイは痛みに顔を歪めながらも、渾身の一撃を叩き込む。
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しかし――幹部たちの力は凄まじかった。
炎の戦士の一撃が街の防壁を砕き、影の暗殺者が後方へ忍び寄る。
怪力の女は前衛をまとめて薙ぎ払う。
「ぐっ……このままじゃ押し切られる!」
セイナが歯を食いしばる。
その瞬間、ロイの肩から熱が走った。
かつて神龍ラグナに授けられた力が、再び目覚めようとしていたのだ。
「お、おい……なんだ、この感覚は……」
光がロイの腕を包み込み、次の必殺技が生まれようとしていた――。
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