表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/327

【第32話:帰還と神龍さま大騒動】

森の陰が遠ざかり、街の石畳が見えてきたとき――ロイは思わず深く息を吐いた。


「帰ってきた……生きて……生きてる……!」

 ルカはやたら神妙な顔で空を仰いだ。

「マジで一回死んだと思ったぞ……ロイ、お前よく四十肩であの状況やり切ったな」

「いや、その四十肩が一番の敵だったまであるからな……」


 エリスは胸に手を当て、安堵の笑みを見せた。

「でも、ロイさん。新しい“仲間”まで増えましたし……結果的には大きな一歩ですよ」


 その“仲間”が、ロイの肩の上でふんぞり返る。


「ふぉっふぉっふぉ! 人間どもよ、余こそが神龍ラグナであるぞ!」

 小さいのに、声と態度は妙にデカい。


(……なんで俺の肩でドヤってんだこいつ。体重も地味にあるし)


 街の門番が目を丸くし、子どもたちがワッと集まった。


「ちっちゃい龍だー!」「すげぇ!」「ロイさん、ヒーローじゃん!」

「いやいやいや! 俺はただの四十肩のオッサンだって!」

「四十肩に龍が憑くわけないじゃないですか!」

「確かに!」

「四十肩なのに強いって逆に凄い!」


(なんで俺の四十肩がこんな大勢の前で晒されるんだ……俺の尊厳……)


◆ ◆ ◆


 ギルドに戻ると、まず反応したのはティナだった。


「わぁぁ……! 本当に龍さんがいる……!」

 ティナは両手を胸の前で組み、目をキラキラさせる。


「小さいのに、すっごい力を感じます……ロイさん、やっぱりすごい人なんですね」

「いや、違う。全然違う。俺はすごくない。たまたま肩が痛くて……」

「肩が痛いのに契約できるなんて、逆にすごいです!」

「そういう褒められ方は望んでないんだよなぁ!?」


 ティナのほんわかオーラが広がった瞬間、背後から三つの殺気(?)が走った。


 セレナ、フィオナ、ミーナ――ロイ争奪戦線の面々。


(……またティナがロイに近づいてるわね)

 セレナの瞳が細く光る。


(なんなのよ……! ロイを“すごい”って連呼して……! 私だってずっと支えてきたのに!)

 フィオナは胸元の布を握りしめ、内心大荒れ。


(受付嬢として落ち着かなきゃ……でも負けられません。プロの誇りにかけて……!)

 ミーナは笑顔を保ちつつ、拳をぎゅっと握った。


(あああああ……やめて、その視線のバチバチ……! おじさんの精神が壊れる……!)


◆ ◆ ◆


 そのタイミングで、ラグナが“やらかした”。


「余が選んだのはロイという男! つまり余はロイの伴侶のような存在よ!」

「伴侶って言うな!!」

「えっ……?」

「ロ、ロイさん……!?」

「伴侶……?」

「ロイさんの……伴……?」


 女性陣の顔が、一斉に固まった。


 次の瞬間。


 勝手に静電気でも走ったかのように、四人の間にバチバチと緊張の光が走る。


「……神龍さま、詳しく聞かせていただけます?」

「ロイの……伴侶ってどういう意味ですか……?」

「ロイさんを選んだ理由……ぜひ伺いたいですね?」

「ロイさん……説明、お願いしますよね?」


(おいおいおいおい!! なんで俺が尋問されてるんだよ!?)


 ロイの胃がキュッと縮む音がした。


「ラグナ! 頼むから黙っててくれぇぇぇぇぇ!!」

「ふぉっふぉ、照れるでないわ、ロイよ」

「そういうんじゃねぇぇぇぇ!!!」


 ギルド中にロイの悲鳴が響き、

 英雄の帰還は見事にドタバタ劇へと変貌したのだった。


────────────

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ