【第3話:四十肩おじさん、初ダンジョンで速攻死にかける】
村を救った翌日。
宴の最中、村長が酔った勢いで爆弾情報を口にした。
「じつはの……この村の外れに、古代遺跡のダンジョンがあってな。
そこには“秘宝”が眠っておるとか……」
その瞬間、うちの仲間たちの目がキラーンと輝いた。
「秘宝!? 絶対行く!!」獣人少年ガイルが即前のめり。
「古代魔法の遺物の可能性もあるわ……!」魔法使いリリアが目を輝かせ、
「……危険だが、腕が鳴る」冷静沈着な女騎士セレナが剣を撫でる。
そしてなぜか、自己紹介が始まった。
「私はリリア、魔法使いよ!」
「セレナ。騎士だ」
「おれはガイルだぜ!」
全員がこちらを見る。
え、今? 今俺も名乗んの?
「……ロイです。職業、四十肩です」
なんか微妙に拍手された。やめろ。
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■ おじさんの抵抗、しかし翌朝には…
「いやいやいや! ダンジョンって危ないだろ!?
俺、肩すら上がらねぇんだぞ!? 死ぬだろ普通に!!」
必死に抗議したが――
「大丈夫よ! 私たちが守るから!」リリア
「むしろおじさんが面白い」ガイル
「……足手まといは慣れている」セレナ
いや、最後の一言ひどくない?
気づけば翌朝、俺たちはダンジョンの入口に立っていた。
(なんでだよぉ……)
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■ ダンジョンに突入、早速おじさん死亡フラグ
穴のような入口。
中は真っ暗で、冷たい風が吹いている。
「ロイ、これ持って」
リリアから松明を渡される。
「いや、俺肩が――重っ!? あっ」
ズキィィィィン!!!
激痛に耐えられず、松明を落下させる。
足元の草に燃え移りかけ――。
「ちょ、ちょっとぉぉ!!」リリアが火を消す。
「やはり危険人物だ」セレナが冷たくつぶやき、
「やべぇ……最高に面白い!」ガイルだけ爆笑してる。
もう帰りたい。
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■ しかし罠攻略はまさかのおじさん無双
ダンジョンの通路には、落とし穴や毒矢トラップが大量に仕掛けられていた。
「突破するぞ!」
セレナが剣を構え、
「火で燃やす?」リリア、
「体当たりだ!」ガイル。
「待て待て待てーーー!!!」
俺は全力で止めた。
「こういうのはな、まず“確認”!
テレビで見たぞ、アレだ……なんだっけ、冒険番組!!」
床を杖で軽く叩くと――
ボコッと空洞の音。
「ここ落とし穴!」
壁に手をかざすと、微かな風の流れ。
「そっちは毒矢の穴だ!」
俺の“生活知識+中年の観察力スキル”が決まり、
仲間たちは次々と罠を回避していく。
「すごいわロイ!」リリア
「おじさん天才じゃん!」ガイル
「……見直した」セレナがぼそっと。
やめろ、調子乗るだろ。
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■ 最奥で石の巨人と遭遇
広間に入った瞬間、床がゴゴゴ……と揺れた。
古びた石像が、ゆっくりと立ち上がる。
二階建ての家ぐらいあるゴーレムだ。
「行くわよ!!」
三人が総攻撃を仕掛けるが――。
カンッ! キィィン!! バキッ!!
全然傷ついてない。
「硬すぎだろ!!」
「ロイ、後ろ下がって!!」
言われるまでもなく、俺は走って逃げた。
走りながら肩がズキッと痛む。今じゃない!!
「ひぃぃぃ!! 死ぬ死ぬ死ぬ!!」
逃げ込んだ隅で、ふと視界に“ひび割れた石の核”が入った。
(あれ……心臓部じゃね!?)
「お、おい!! あそこ!! 弱点あそこだ!!」
叫ぶと、仲間たちが一斉に集中攻撃。
「《ライトニング・スピア》!」リリア
「はぁぁッ!!」セレナ
「くらえぇぇ!!」ガイル
三方向からの猛攻が核に直撃し――
ゴーレムは轟音とともに崩れ落ちた。
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■ おじさん、まさかの救世主候補に
「やったぁぁぁぁ!!」
「ロイ! ナイスすぎるぞ!!」
仲間たちに肩を叩かれ――
「いってぇぇぇぇ!!!
肩は! 肩は触るな!!」
三人「あ、ごめん」
そして崩れたゴーレムの奥から、
古びた石板が姿を現した。
リリアが読み上げる。
「……“選ばれし最弱の者、仲間を繋ぎ、世界を救う者となる”」
静まり返る一同。
そして全員の視線が、
なぜか俺に向けられた。
「……いやいやいやいや!!
最弱=俺じゃねぇよな!?
肩すら上がらんぞ俺!!」
ダンジョンの天井に俺のツッコミがこだました。
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