【第26話:ロイ、人気再燃!? 聖女と鳥娘と修羅場】
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◆帰還――そして予想外の大フィーバー
隣町ラーナを救った翌日。
ロイは新たな仲間・ルカと聖女エリスを連れて街へ戻った。
すると――
「英雄ロイ様が帰ってきたぞーっ!」
「また町を救ってくれたんだって!」
「ロイおじさま、ばんざーい!」
「お・じ・さ・ま!!」
「いやほんとやめて!? “様”より“おじ”が強調されてるって!?」
抗議する間もなく、たちまち胴上げされるロイ。
(い、痛い痛い痛い! 四十肩に衝撃はダメだって!)
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◆待ち構えるヒロインズ、そして修羅場の火種
門の前では、セレナ、フィオナ、ティナ、ミーナが並んでいた。
「ロイさん、ご無事でほんとに……!」
「遅かったじゃないですか! 心配してたんですからっ」
「帰ってきてくれて……よかった」
「……英雄の自覚、持ってくださいね?」
四人が四方から迫り、完全にロイを包囲する。
そこへルカが冷めた目で一言。
「……なにこのハーレム待機列」
エリスが控えめに手を挙げる。
「あ、あの……私は聖女エリスと申します。ロイ様に救われ、これから一緒に旅を――」
「ちょっと待ってください“旅を”って何!?」
セレナが秒速で噛みついた。
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◆自己紹介が戦争
ルカは胸を張る。
「この人はおじさんだけど、戦うときはまぁまぁ頼りになるから、私もついてきてあげるの!」
「いや“まぁまぁ”って何だよ!? あと“ついてきてあげる”って!」
「で、でも事実でしょ? おじさんだし!」
「やめろおおお!!」
ティナはキラキラ笑顔で言う。
「ロイさんは素敵です! いつも面白くて、頼もしくて、かわいくて!」
「かわいくて!? 見直した方がいいよティナちゃんそれ!!」
ミーナはため息。
「……また女の子を増やして。ロイさんって、そういう方なんですか?」
「誤解だぁぁぁ!!」
そして市民の追い打ち。
「さすがロイ様! 今度は聖女まで!」
「人気者は違うねぇ!」
「やっぱりおじさん!」
「最後のだけ悪意あるだろ!!」
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◆夜――ロイを囲んだ魔の女子会
その夜。
宿の食堂では、まるで“ロイ争奪会議”のような空気が漂っていた。
メンバーは――
セレナ、フィオナ、ティナ、ミーナ、ルカ、エリス。
テーブル中央には、ロイ。
その周囲を六人が取り囲む形で座っている。
(なんだこれ……尋問? もしくは処刑前会議?)
セレナが真っ先に口火を切る。
「ロイさんのことを一番理解してるのは私です!」
フィオナが即座に反論。
「いいえ。支えてきたのはこの私です!」
ティナはニコニコ顔で拳を握る。
「ロイさんは、わたしが一番好きです! 面白いから!」
「いやそこで“面白い”推しやめて!? 俺そんな芸人格ないから!」
ミーナは冷静に。
「……英雄を支えるのは、落ち着いた私の役目です」
ルカは翼をばさり。
「おじさんは私が空から監視してあげる!」
「監視!? あの、俺犯罪者じゃないよね!?」
エリスは胸の前で手を組む。
「ロイ様は……私の祈りで、永遠に守ります……」
「なんか急に重い!? 聖女さんちょっとストップ!!」
テーブルの上には、完全な修羅場の空気が満ちていた。
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◆ロイの絶叫
「や、やめろおおおおお!!
俺はモテたいんじゃなくて……肩を治したいだけなんだぁぁぁ!!」
宿の天井が震えるほどの叫びが響き渡った。
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◆その頃、屋根の上で
街が騒ぎと笑いに包まれる一方――
屋根の上では、奇人マーヴォがくくくと笑っていた。
「英雄は愛され、持ち上げられる……か。
でも、その人気がひっくり返るときこそ……一番、歪むんだよ」
彼の瞳は、ロイを巡って火花を散らす六人の少女たちを見下ろしていた。
「さあ……もっと歪めてよ、四十肩の英雄さん」
風に乗って、不気味な笑い声が消えていった。
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