【第23話:歪む空間、歪む人気】
温泉街の中心へ戻ったロイたちの目に飛び込んできたのは――
燃え上がる屋台、逃げ惑う人々、そして空間そのものがぐにゃりと歪む異様な光景だった。
「……な、なんだよこれ!?」
ロイは腰を押さえながら叫ぶ。
(四十肩で腕も上がらねぇのに、なんで毎回こんな修羅場になるんだ……!)
「ロイ! あそこ!」
セレナが鋭く指差す先に、細身の白ローブの男が立っていた。
男は狂気じみた笑みを浮かべ、両手を広げて宣言する。
「我が名は〈クルヴァ〉。空間を捻じ曲げる者……さあ、世界ごと退屈を歪めようじゃないか」
(いや退屈とか言うなよ! こっちは刺激いらないんだって!)
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■ 空間が曲がる! そして味方に直撃
「うりゃっ!」
ロイが試しに投げた石つぶては、空中でぐにゃりと曲がり――
ガツンッ!!
「ぎゃああああっ!? ロイのおっさん! 俺の頭にクリティカルヒットしてる!!」
ガイルが悶絶。
「ち、違う! 俺じゃない! 空間が歪んで――あと四十肩のせいだ!」
「それ関係ある!?」
リリアが詠唱し炎弾を放つが――
炎はありえない軌道で一回転して、ロイの尻に直撃。
「アッチィィィィィ!!!」
「ろ、ロイさん……お尻が……」
セレナは真っ赤になりながら目をそらす。
ティナはなぜか感動していた。
「ロイさん、どんな状況でも笑わせてくれるんですね……本当に素敵です!」
「今そんなポイント稼ぎすんなぁぁぁ!!」
フィオナの心の声が爆散する。
(なんでこういう時だけ……モテるのよロイぃぃぃ!!)
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■ 絶望の選択肢
クルヴァが指で空を撫でると、世界が裂けるように歪み、市民たちの逃げ道が消えていく。
「さて、英雄。
選べ――仲間を救うか、街を救うか」
張り詰めた空気に、全員が息を飲む。
(やばい……これは本気でやばい! どうすんだ俺!?)
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■ 四十肩パワー、再び
ロイは肩を回し、呻きながら吠える。
「ぐおおお……! 四十肩よ、今だけは味方してくれぇぇぇ!!」
気合とも悲鳴ともつかぬ声を出しながら拳をぶん回す。
しかし拳は歪んだ空間に飲み込まれ――
(あ、終わった……)
誰もが絶望した瞬間、
別方向から拳が飛び出してクルヴァの顔面に直撃した。
「ぐぼぁっ!? な、なぜ逆方向から拳がぁ!?!?」
(知らねぇよ!! 俺だってビビってるよ!!)
空間のひびが砕け散り、歪みがほどけていく。
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■ 再び爆上がりするロイ人気
「ロイ様ーーー!!!」
「街を救ったぞ!!」
「おじさん最高ーー!!」
(ああああまた人気上がってる!! なんでだよ!!)
ロイは頭を抱え、現実逃避しそうになる。
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■ 闇から現れる影
と、その時。
屋根の上からねっとりとした笑い声が降ってきた。
「ククク……やっぱり面白いねぇ、キミは」
現れたのは奇人マーヴォ。
彼は倒れかけていたクルヴァを足先で払いのけると、空間の歪みを軽く指で断ち切った。
「死んじゃ困るんだよ。
君には……もっと歪んだ未来を見てもらわなきゃね」
意味深な言葉を残し、煙のように姿を消す。
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■ ロイ、限界に到達
残されたのは歓声、混乱、そしてロイへの異常な人気。
「ロイさんサイコー!」
「結婚してください!」
「サインください!」
(勘弁してくれ……俺はただ肩が痛いだけの――)
「俺はただの四十肩のおじさーーーん!!!」
ロイの悲鳴が、今日も温泉街に響き渡った。
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