【第2話:四十肩おじさん、ファーストクエストでまさかの大活躍!?】
強キャラ感すごい三人に拾われた俺は、そのまま近くの村へ連れて行かれた。
村は小さく、藁葺き屋根の家、畑、土の道……
まるで幼い頃に見た時代劇の再放送そのまんまだ。
「うわぁ……ロケ地かな?」
だが、村全体に漂う空気は重かった。
広場に集まった村人たちの顔が、どれも深刻そうなのだ。
その中でもひときわ震えている老人が、俺たちにすがりついた。
「旅のお方……どうか助けてください。井戸の水が濁ってしまって……飲めんのですじゃ……」
「魔物の仕業かもしれません!」
「このままじゃ、村が干上がってしまいます……!」
村人たちが必死の表情で訴えてくる。
すると、すぐさま仲間たちが動いた。
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■ 仲間たちの“ズレた正義感”が爆発する
「任せてよ!」
魔法使いの少女が胸を張る。
「《ファイアボール》で井戸ごと浄化しちゃう!」
いやいやいや!
浄化じゃなくて消滅だよそれ!!
「だったら私の剣で濁りを断つ」
女騎士が静かに抜刀する。
断てるか!
水は斬撃で浄化されねぇよ!!
「じゃあ俺が力で掘り返して新しい穴開ける!」
獣人少年が元気に拳を握る。
村が跡形もなくなるわ!!
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■ おじさん、全力のツッコミ発動
「ちょっと待ったぁぁぁぁ!!」
俺は思わず両手(肩が痛いので片手半)を広げて叫んだ。
「まず原因調べよう? いやマジで。
生活の基盤なんだよ、井戸って!!」
三人は揃って「?」という顔を向けてきたが、
村人たちはなぜか俺に希望のまなざしを送ってくる。
(おいおい……四十肩のおじさんに期待するなよ……)
でも、やらなきゃ本当に村が死ぬ。
仕方ない……日本の中学で習った“生活の知恵”、見せるか。
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■ 生活知識 × おじさん技術が刺さる
俺は井戸の近くに行き、地面の石や草を集め始めた。
「なにしてんの?」魔法使いが訊く。
「濾過装置だよ。こうすれば、水に混ざってる異物が分かる」
砂、石、草を層にして即席フィルターを作り、井戸の水を通す。
すると――。
ドロッ……と濁りと一緒に、小さな虫みたいなモンスターが出てきた。
「うわっ!? なんだこれ!?」
「キモっ!?」
「食える?」←獣人少年
「ダメだ食うな! これが原因だ!」
どうやら井戸の壁に巣を作っていたらしい。
原因さえわかると、仲間たちの対応は早かった。
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■ その後の三人がチートすぎる
「《フレイム・ウィップ》!」
魔法使いの少女が虫モンスターを焼き払い、
「任務完了」
女騎士が残党を一刀両断し、
「とどめーっ!」
獣人少年が最後の一匹を空中キックで粉砕。
……強すぎる。この世界の戦闘バランスどうなってんだ。
数分後、井戸から澄んだ水が湧き出した。
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■ 村人の歓声、そしてなんかすげぇ褒められる
「すごい! 水が戻ったぞ!」
「旅の方々、恩人です! 特にあの……そちらのおじさま!」
げ。
なんか俺が一番感謝されてる。
「いやいや! 強いのはこの三人だから!
俺はただの四十肩おじさんだから!」
手を振ると、仲間たちが俺を見る。
「……あなた、やるじゃない」女騎士。
「頭の回転は早いみたいね」魔法使い。
「おじさん、超すげぇ!」獣人少年。
なんだよ……照れるだろ……。
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■ 村の宴で気づく“ひとつの可能性”
その夜は急きょ宴になり、
村人たちからたらふく酒と料理を振る舞われた。
火を囲みながら、俺はほろ酔いで空を見上げる。
(……俺、案外この世界でやっていける?)
戦力としては最弱。でも、
生活知識ならワンチャンある。
(いや、調子乗るなよ……肩は痛いままなんだぞ)
肩を回そうとして激痛が走り、
「いってぇぇぇぇ!!」
と叫んだ声が、星空に見事に響き渡った。
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