【第19話:四人娘、恋愛戦線バチバチ!】
翌日。
いつものように依頼を受けにギルドへ入ると――
「ロイさん、昨日の依頼、本当にお疲れさまでした。とっても評判良かったですよ」
受付嬢ミーナが、いつもより3割増しくらいの柔らかい笑顔で迎えてくれた。
(え、今日やたら距離近くない? 俺にだけ“春の陽気パワー”使ってる?)
「お、おう……ありがとな」
俺が照れながら頭を下げた瞬間。
背後から“ズドッ”と音が聞こえるほどの殺気が飛んできた。
セレナがギラリとミーナを睨む。
「……ふーん。ミーナさんって、ロイにだけ優しくない?」
(言い方! なんか嫉妬の温度が本気なんだが!?)
さらに、フィオナの心の声が弾丸のように飛んでくる。
(ちょ、あれ絶対狙ってるでしょ!? “お疲れさまです♡”はもう告白みたいなもんだからね!? 受付嬢なのをいいことに、笑顔で攻めてくるとか……怖っ! 強者!!)
ティナはティナで、にこにこしながら恐ろしい一言を投下した。
「ロイは私の隣にいるの。だから取っちゃダメだよ?」
「やめろぉぉぉ! その“既成事実っぽい宣言”!!」
ギルド内がざわつく。
「ロイおじさん……今日も修羅場か?」
「恋の戦場の中心に立つ男……」
「俺たちのロイがまた格上げされたな」
(やめろ! 俺のステータス勝手に“色恋:A+”みたいにするな!!)
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◆作戦会議、まさかの乱入者
その日の依頼選び。
テーブルに、俺・セレナ・フィオナ・ティナ……そして、なぜかミーナまで座っている。
「次の依頼ですが……私も、同行してもよろしいでしょうか?」
「えっ!? 受付嬢が前線に行くのか!?」
セレナがガタンと立ち上がる。
「危険に決まってるでしょ! ロイは……ロイは私たちが守るんだから!」
(ちょ、急に“私たちのロイ”みたいな言い方やめて!? 俺は保護対象なの!?)
フィオナの心の声が大爆発。
(ちょっと! 今の言い方!! 完全に彼女ムーブじゃんセレナ!! ズルいズルいズルい!!)
ティナは無邪気に追加爆弾を落とす。
「私はロイの隣にいるからへーき! ね、ロイ!」
「いやいや俺の意思どこいった!? 隣契約いつ結んだ!?」
ミーナは一歩も引く様子なく、にこりと笑う。
「みなさん、本当に仲が良いんですね。でも……私もロイさんのお役に立ちたいんですよ」
バチィッ!!
空気が一瞬にして火花を散らした。
セレナ・フィオナ・ティナ、三人の視線が同時にミーナへ突き刺さる。
しかしミーナは微笑んだまま微動だにしない。
(ちょ、ミーナさん……笑顔で殺意返してる……! 強い……! 受付嬢ってそんな戦闘職なの!?)
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◆夜、宿の廊下は恋の修羅場
その夜。宿の廊下で、セレナが俺に詰め寄った。
「ロイ、あんな女に隙を見せちゃダメ。…危ないから」
(“あんな女”って言っちゃった!! もう完全に敵認定!! ヤバい、修羅場の匂いがする!!)
すぐ横で、フィオナの心の声が悲鳴を上げる。
(セレナさんガチ恋発言きたーー!! 置いてかれる!! 私もなにか……なにかしないと!!)
そこへティナが俺の腕にむぎゅっと抱きついた。
「ロイは私のだよ! だめ!」
「ティナぁぁ!! 俺は物じゃないんだってば!」
そしてタイミング良すぎるミーナの登場。
「ロイさん、明日の依頼書をお渡しに来ました」
微笑みながら書類を渡してくる。
セレナ「……宿まで来るとか、やりすぎじゃない」
フィオナ(出た……! 受付嬢の権利使った“追撃”!!)
ティナ「ロイはわたさない!!」
(やめてぇぇ!! 四方八方から牽引されて肩が壊れる!!)
――こうして、ついに公然の恋愛戦争が勃発した。
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◆そして街の噂は…
翌日。街の酒場では、こんな話が飛び交っていた。
「ロイおじさん、ついに四人の娘に同時に迫られてるらしい」
「ハーレムマスターから“恋愛戦争の王”へ進化……!!」
「次の称号はラブコメキングだな」
俺はギルドで叫んだ。
「頼む!! もう俺をそっとしておいてくれーーー!!」
――しかし、その叫びが届く気配は、どこにもなかった。
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