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第九話 煙

 その後、俺は紅 鈴風と詳細な打ち合わせをして本部を出た。


 簡単にまとめるなら、再封印の決行日は一ヶ月後で凪奈落に現地集合。

 煙には俺から話を通すことになった。


 本部を出た俺は、煙に会う為に煙がいるであろう場所に向かっていた。

 気絶した人撫を抱えて。


 『はぁ〜怖かった』


 ん?起きたのか、人撫。


 『外出てええ?』


 あぁ、良いぞ。


 そう言うと、人撫は俺の胸元から出てきて頭に乗った。


 『ふぅ、周りに人がおらへんって安心するんやな』


 そんなに怖かったのか?紅 鈴風。


 『まぁな。あいつ、ずっと死の気配を漂わせとったんや』


 死の気配?


 『ああ、殺気が凄くて凄くて、ずっと吐きそうやったわ』


 俺には感じ取れなかったぞ?


 『多分やけど、ナルに感じ取られへんかったんは怪異にしか感じ取られへん殺気やからちゃう?』


 怪異限定の殺気か・・・


 『そう、怪異限定の殺気や。多分温厚な怪異以外やったらあの殺気に当てられて襲いかかってたやろうな』


 温厚な怪異ねぇ〜そんな怪異、人撫以外見たことないぞ?


 『そう、だからあいつは常に全ての怪異に喧嘩売ってるようなもんなんよ』


 常に喧嘩を売ってるか・・・いい得て妙だな。


 『ほんま、話に聞いてた通り、いや話に聞いてた以上に恐ろしい一族やで。紅一族は』


 ふむ。紅 鈴風は今までの紅一族とはどこか違うと思っていたが、やはり本質は同じということか。


 『可愛い娘やったけど、絆されたあかんでナル』


 大丈夫だよ。


 『ほな良いけど。って今これどこ向かってんの?』


 煙のところだよ。


 『え、でもこの先はそっち系のお店しかないで?』


 煙はそっち系のお店が大好きな人間だからね。


 『は?ナルが信頼できる人間って聞いたときから怪しいと思うてたけど、大丈夫なんかそのエンっちは』


 俺への評価と煙への謎の渾名は置いておくとして、人撫の質問に答えるとしたら、全然大丈夫じゃないって答えるよ。


 『は?』


 煙の大好きなもの3つ教えてあげようか?


 『うん』


 酒、女、金


 『うわ〜』


 ちなみに、オジサンだね。


 「駄目やん。駄目駄目な人間やん」


 イケオジだよ?


 『関係ないわ!!!!』


 まぁ、仕事はできるオジサンだよ・・・ん?


 『どうした?急に止まって』


 人撫、舌噛むなよ。


 『え、ええええええええええ』


 俺は人撫にそう忠告した後、駆け出した。


 『な、なんや!?何が起こったんや』


 狙われてた。


 『な!?まさか紅 鈴風の部下か?』


 いや、ただのチンピラ。


 『ほな逃げんでもええええええ』


 ここのチンピラを甘く見たら駄目だよ、人撫。

 ここのチンピラ達はある男によって鍛えられてるんだよ。


 『はぁ?鍛えられてる?』


 そう。

 だから戦うより逃げるほうが楽―――


 「「ブベラアファ!!!!!!!!!!!!」」


 ―――あれぇ?


 『なぁ、ナル』


 なに・・・人撫?


 『今、ぶっ飛んでいったのって・・・』


 俺達を追っていたチンピラ達だね。


 『鍛えられてたんじゃ?』


 うん、そうだね。

 あいつらがぶっ飛ばされたってことは、鍛えた張本人が現れたってことだ。


 『それ、大丈夫なんか?』


 大丈夫。その鍛えた張本人が、俺達の目的としてる人物だから。


 『え!?』


 「悪い悪い。当たらなかったか?そこの―――って、ナルじゃないか!!!」


 「あぁ、久し振り。煙、一応聞くけど何してたんだ?」


 「何って、小遣い稼ぎだよ」


 「小遣い稼ぎ?」


 「おう。街のチンピラや悪人共を半殺しにして、そいつらが持ってる金盗るんだよ。あ、勿論こいつらの身柄は然るべきところに預けるぞ」


 「へえ〜」


 「俺は金が手に入って幸せ、街は悪人がいなくなって幸せ、悪人は更生する機会が得られて幸せ。皆幸せになる行為だな!!!」


 「そうですか」


 まぁ、良い行為なのか?相手悪人だし。


 「ところで、何の用事で俺に会いに来たんだ?こういった所が嫌いなお前がここに居るってことは俺に何か頼みたいことがあるんだろ?」


 「話が早くて助かるよ」


 




 〜依頼の話〜






 「再封印・・・ねぇ」


 あれ?あまり乗り気ではない。


 「珍しいね、美人がいる依頼に乗り気じゃないの」


 「あれは俺からみたらまだまだガキだ。それに、紅一族の人間と俺は関わりたくないんだよ。あいつら、どっちかと言うと怪異よりの思考回路してんだろう?」


 「確かに」


 「てか、なんでお前はこの依頼を受けたんだよ?普段のお前なら受けない依頼だろ?」


 「好奇心に・・・負けた!!!」


 「あ・・・なるほどな」


 なんだ?その反応は。

 なにか失礼なことを考えられている気がする。


 「やはり・・・駄目か?この依頼」


 元々駄目元だったが、煙が来ないとなると厳しいんだよな。


 「・・・ナルの頼みだから聞いてやりたいんだが、如何せん紅一族関連がな〜ノイズなんだよ。なんか、見返りとかないのか?この依頼の報酬以外での見返り」


 そう言って煙は俺をチラチラと見てきた。


 ふむ。見返りか・・・


 煙の好きなものは、金・女・酒の3つ。


 金は無理だな、俺そこまで金持ってない。

 女はもっと無理だ。俺、女性と付き合いなんてないし。


 だとするならば、酒一択か・・・う〜ん、仕方ない。

 俺の切り札を切ろう。


 「見返りならある」


 「ほう、なんだ?」


 「煙と一緒に・・・酒を飲む券」 


 「なっ!?な、何枚だ?」


 「10枚だ!!!!」


 「乗ったぁ!!!!!!!!!!!!!!」


 よし、勝った。


 「ふぅ、受けてくれて助かるよ。それじゃあ、1ヶ月後――――――」


 ガシッ!!!!


 「ん?なに、この手」


 「俺と一緒に酒飲む券、今1枚使おう」


 「え、今?」


 「そう今。ほら行くぞ」


 「え?え?」


 「いやぁ、友と飲む酒は別格だからな!!!楽しみだ」


 「は?え?」


 「覚悟しろよ?ナル。明日の朝まで飲むぞ!!!!!」


 「嘘でしょ!?てかそこで倒れてるチンピラ達は?ちょ、力が強いって。おい、まっ・・・」


 
















 次の日、滅茶苦茶頭が痛かった。

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