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第八話 正式名称

 「・・・・・・は?」


 【始まりの怪異】の再封印の手伝い?何故?


 意味が分からない・・・そもそも再封印は歴代会長の仕事。

 さらにその仕事内容は秘匿にされてきた。

 

 それなのに俺に手伝いを?

 なにか隠された意図があるのだろうか?


 いや、あり得るぞ。

 目の前の【Death Merchants】当代会長・紅 鈴風は今までの会長とはなにか違う。


 古い規則を嫌うというより無駄なものを嫌うふしがある。

 良くも悪くも、目標に向かって一直線だ。


 だから、今回の話の裏に彼女の本当の目的が――――――


 「なぁ・・・ナル」


 「ん?なんでしょう?」


 「【始まりの怪異】とか【原初の毒】ってなんか言いづらくないか?」


 ――――――うん、なさそうだ。


 「そ、それに関しては規則だから仕方ないのでは?」


 俺達が呼んでいる【始まりの怪異】や【原初の毒】にはちゃんとした正式名称がある。だが、その正式名称は紅一族にとっては屈辱的なものらしく、正式名称で呼ぶことを禁じられている。


 因みに、俺も紅一族が正式名称で呼ぶことを禁じた理由に関しては理解できる。

 なんというか、こう・・・あれなんだよな〜


 「言い淀むということは、ナルも言いづらいと思っているということか?」


 「まぁ、そりゃあ。正式名称の方が呼びやすいので・・・ですが―――」


 「そうだよな!!!!正式名称の方が呼びやすいよな・・・よし!!!これからはちゃんと正式名称で呼ぶことにしよう!!!!!」


 「―――ええぇ」


 まじかぁ、呼んでいんだ。正式名称。

 じゃあ呼ぶか。


 会長がそう言っているし。


 【原初の毒】の正式名称は【紅毒】

 【始まりの怪異】の正式名称は【紅麟】だ。


 ね?呼び名に全部"紅"の字があるでしょ?


 紅一族的にはこれが屈辱的だったらしい。

 いや、分かるよ?


 毒の名前だけならまだしも、滅ぼしたい相手である怪異にも自分達の一族の名前の字が入ってる。それは正式名称を禁じたくもなる。


 まぁ、もう許可あるから気にせず呼ぶけど、正式名称で。


 「では、正式名称で改めて依頼する。【紅麟】の再封印を手伝ってほしい!!!!」


 ふむ。改めて聞いても・・・?しか浮かばないな〜


 「ええっと。まず最初に聞いておきたいんですが、それは命令ではなく依頼でいいんですよね?」


 「あぁ、これはあくまでも依頼だ。だから、嫌だったら断ってくれてもかまわないぞ!!!」


 依頼か。だとするなら、隠された意図ではなく、恐らくなにか事情があるのだろう・・・が、多分その事情めっちゃ面倒くさい事情だろうな。


 なにしろ、あの秘密主義の紅一族が一所属商人に依頼をしているのだから。


 う〜ん、どうしよう。断る?でもなぁ〜


 この依頼、めっちゃ好奇心をそそられるんだよな〜


 だが、やはり裏にあるであろう事情がな〜凄く面倒くさそうなんよ〜。


 好奇心 面倒な事情の回避


 どちらを優先しよう

 

 「う、受けましょう」


 好奇心は・・・人を殺す

 

 「おお!!!!受けてくれるか。ありがとう!!!!!」


 「受けるので、事情をちゃんと話してください。あと受け入れてほしい条件が一つあります」


 「ふむ。やはりそこが気になるか・・・良いだろう!!!私も全力で話す、故にナルも全力で聞いてくれ!!!!!条件は後で聞く」


 「ソレハ勿論」


 それから紅 鈴風の口から語られたのは衝撃の事実だった。


 まず、【紅麟】の封印の弱まる速度がここ最近異常に早くなっている。

 更に、【紅鱗】に対して【紅毒】が効きづらくなっている。


 また、【紅麟】が封印されている【凪奈落】の周辺には、封印が弱まっている影響か、四大怪異の眷属達が集まってきており、最早一人での作業は不可能である。


 故に、信頼できる者達に再封印の手助けを依頼している。ということらしい。


 「なるほど・・・それはまた厄介な」


 本当に厄介だ。

 紅一族が【Death Merchants】という大きな組織を運営出来ているのは、【紅毒】という権威があるからだ。だが、今回の件はその権威が揺らいでしまう程の内容だ。


 「因みに、この話は俺の他に誰に話しましたか?」


 「紅家に古くから使えてくれている、四家の長達にしか話していないな」


 四家・・・ぅ゙、嫌な思い出が。


 「だが、彼等は【四大怪異】の対応で手一杯だ。故にナルお前に話したのだ」


 「俺は信用出来ると?」


 「それもあるが・・・何よりお前は強い!!!だから話した」


 「ほう、俺が強いから」


 「あぁ、お前が強いからだ!!!!」


 「ふむ。めっちゃ嬉しい理由です、それ」


 「おお!!!喜んでくれて私も嬉しいぞ。それで、ナルの受け入れてほしい条件は何だ?」


 「ええっと、俺以外にもう一人、連れていきたい人間がいるんですよ」


 「ふむ。私とお前だけで戦力は足りると思うが?」


 「話を聞くだけでも、状況が以前と大きく変わっていることが分かります。準備不足で死にたくないんですよ、俺」


 「なるほどな。分かった、受け入れよう。それで、誰なんだ?その連れていきたい人間」






 「名前は煙、使用毒は【魁宴】。俺が知る限り最も万能な【Death Merchants】の所属商人です」






 

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