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第七話 紅 鈴風

 -紅一族-

 ・およそ350年前、【Death Merchants】の初代会長・紅 白蓮の血筋。

 ・代々【Death Merchants】の会長の地位を継承している。

 ・初代会長・紅 白蓮が作り出した世界最強の毒である【原初の毒】のレシピは代々の会長にのみ伝えられており、外部の人間に漏れることはない。

 ・紅一族の特徴として髪の色が獅子色の者が多い。

 ・紅一族の者は【Death Merchants】の会長として、初代会長・紅 白連が封印した【始まりの怪異】の再封印を仕事としている。(時間が経てば封印が弱まる為)


 『こうやって見ると、謎の一族やな。紅一族ってのは』


 「確かに、謎なんだよ。この一族」


 昨日の夜に【Death Merchants】第21代会長・紅 鈴風から《会いに来い》というような命令を貰ったから、改めて紅一族について調べていたのだが、調べれば調べる程会いに行くのが嫌になる。


 正直、嫌すぎてもう昼になってしまっている。


 『でも何でそんなに嫌なんや?ナルはどっちかというと謎は好きやろ?』


 「謎は好きだよ。でもこの一族の謎は不気味すぎて好きになれないんだ」


 『どういうことや?』


 「考えてもみてよ。たった一人の男が、それも一商人が怪異への憎しみだけで多大な財を成し、350年も続く組織を創った。どう考えても、正気の沙汰とは思えない」


 『なるほどな』


 「それに、不気味云々以前に紅一族とは馬が合わないんだ。紅一族にとって怪異は殺す存在でしかないんだ。その怪異が例え害のない存在であったとしても、紅一族の人間は迷わず殺す」


 『・・・』


 「俺が今喋ってる人撫だって、紅一族にとっては粛清対象なんだよ?」


 『そ、それは怖いな』


 「紅一族は恨みに取り憑かれた一族なんだよ」


 『で、でも。今の会長さんは前までとは違うって聞いたで?ナルが大喧嘩した相手は先代の会長さんで、今の会長さんとは仲がええんとちゃうん?』


 「まぁ、そうだね。彼女は以前までの紅一族のように怪異絶対殺すマンではないことは認めるよ。でもね、彼女も紛れもなく紅一族の人間なんだ。こちらから積極的に近づこうとは思えない。それに―――」


 「それに?」


 「―――紅 鈴風は熱血タイプなんだよ。全ての事柄に対してね」


 『あぁ、そらあかんわ。興味あること以外の事に対しては怠惰なナルと真反対の性格しとる』


 「そう、俺は彼女と性格が合わないんだよ」


 『でも、行くしかないやろ?』


 「あぁ、だからこうしてお前と喋りながらも準備してるんじゃないか」


 『手動くスピードめっちゃ遅いけど?』


 「・・・気のせいだよ」








 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆








 【Death Merchants】本部 会長室前。


 はぁ、ついに来てしまった。


 ここに来るたび、前会長と喧嘩した時の記憶を思い出して不快になるんだよな〜


 『ほら、はよ入らんかいな』


 え?なんで人撫が?

 危ないから宿に置いてきたのに・・・


 『自分の眼で確かめようと思ってな、ワシら怪異の敵の親分を』


 人撫は狐型の怪異で、ボロボロになっている所を偶然通りかかった俺が拾って保護した。

 ボロボロになっていた理由は、【Death Merchants】の所属商人にやられたらしい。


 だから人撫自身、あまり【Death Merchants】に良い印象は抱いてない。


 でもバレたら殺されるぞ?


 『安心せい、今日のワシは絶対ばれへん。なんでか知りたい?』


 まぁ、興味はある。


 『ナルの服の中に入ってるからや!!!!』


 それ・・・大丈夫なの?


 『ん?なんで心配してんねん?どう考えても完璧やろ、ほらはよ入り』


 そこまで言うなら、別にいいんだけどさ・・・


 取り敢えず、扉を叩いて入ることにする。


 「失礼し――――――」


 「よく来てくれたぁ!!!!!!!!!私は嬉しいぞ、ナルゥ!!!!!!!!」


 「――――――うるさ」


 扉を開けて入った俺を待ち受けていたのは、鼓膜破壊攻撃だった。

 流石に酷くね?


 この攻撃に人撫も・・・


 『あへぇ?はらぁ?ほは?』


 ・・・おかしくなっている。


 「ん?ナル、お前の服、なんかモコモコしてないか?」


 「・・・気のせいでは?」


 「そうか!気のせいか!ところでナル」


 「はい?」


 「なぜ敬語なんだ?タメ語で良いと言っただろ?」


 「それは無理です」


 「なぜだ?」


 「組織を潰すことにつながりかねないからです」


 【Death Merchants】の上下関係はいたってシンプル。

 紅家の者が上!その他が下!だ。


 それなのに所属商人でしかない俺が、紅家のそれも現会長にタメ語で話してしまえば、今までの規律が崩れてしまう。


 規律の崩壊は組織の崩壊につながりかねない。


 そのような理由を紅 鈴風に話したところ―――


 「父様と大喧嘩した奴が何を言っているんだ?ハッハッハハッハッハ」


 ―――一笑に付されてしまった


 まぁ、それに関しては反論は出来ない。でも、


 「人間は失敗から学ぶ生き物なんですよ」


 「そうか!!!それは良かった!!!」


 「・・・はい」


 「ところで、そろそろ本題に入ろうと思うんだが、よいか?」


 「・・・はい」


 「ナル、お前を呼び出したのは・・・」


 「俺を呼び出したのは?」


 「【始まりの怪異】の再封印を手伝ってほしいからだ!!!!」


 














 「は?」

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