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駆逐艦長ですが、異世界会津に召喚されました! ~令和JKとハーフエルフ王女とゆく、戦記×青春のほのぼの冒険譚~  作者: 房吉
第3章 王都(会津若松)編

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第59話 王都への道 ~磐梯山が見守る帰還~

 峠を越えた瞬間、俺の視界に飛び込んできた光景に息を呑んだ。


 「わぁ……!」


 陽菜の驚嘆の声が、俺たちの気持ちを代弁していた。いや、むしろ控えめすぎるくらいだ。


 眼下に広がる平野は、まるで神が描いた絵画のようだった。遠くに見える都市――王都ヴァカマトリア――は、中央に聳える白亜の城を中心に、整然と区画された街並みが広がっている。


 夕日を浴びた街全体が黄金色に輝き、まるで宝石箱をひっくり返したような美しさだった。


 「これは……想像以上だな」


 俺が呟くと、隣でスイリアが微笑んだ。彼女の横顔も夕日に照らされて、なんだか神秘的に見える。

 ――って、何を考えてるんだ俺は。


 そんなことを考えていると、陽菜が突然声を上げた。


 「あっ……! 磐梯山だ!……異世界なのに、磐梯山がある」


 陽菜の目に涙が浮かんでいるのを見て、俺も胸が熱くなった。故郷を思い出すというのは、こういうことなのだろう。


 「磐梯山、やっぱりこの世界にもあったんだね……」


 陽菜が感極まった声で言う。


 「いつ見ても頼もしく美しい山だな……なんだか嬉しいなぁ……」


 そして、まるで校歌でも歌うように続けた。


 「磐梯の嶺、高らかにって言葉がぴったりだね」


 スイリアも同じように山を見つめて、静かに呟いた。


 「バンダーイの嶺よ……私はまた戻ってこれました……」



 その声には、深い感慨が込められていた。きっと彼女にとっても、特別な意味を持つ山なのだろう。


 陽菜が急に思い出したように、俺たちに向かって説明を始めた。


 「あのね、会津って盆地だから、途中で方角が分からなくなっても、遠くの山の形を覚えていれば方角が分かるから便利なんだよ!」


 彼女は興奮気味に続ける。


 「特に若松市内にいる場合は、磐梯山が北東方向にあるってみんな知ってるから、迷ったらすぐ磐梯山を探せばいいの。そうすれば、なんとなく現在位置がわかるから、めっちゃ重宝するんだよね!」


 「そうそう!」


 スイリアも嬉しそうに相槌を打った。


 「私も迷ったときは、バンダーイの山を目印にしていましたわ。世界が違えども、見える景色はおんなじですのね」


 二人の会話を聞いていて、俺も納得した。


 「確かに、帝都東京だと山が一つもないから、方角がわからなくなる。この地は山が目印になるから便利でいいな」


 すると、今まで黙っていたミアが、急に胸を張って説明を始めた。


 「ヴァカマトリアは『朝陽の都』の意味ですにゃ!」


 その得意げな表情が可愛らしくて、思わず頬が緩む。


 「朝日が昇るとき、城壁全体が金色に輝くんですよ。それはそれは美しいんですにゃ~」


 「へぇ、朝陽の都か……素敵な名前だな」


 俺がそう言うと、ミアは更に得意げになった。尻尾がぴんと立っているのが、彼女の感情を如実に表している。


 しばらく俺たちはその光景を見つめていた。風が心地よく頬を撫で、どこか懐かしい香りを運んでくる。


 ふと横を見ると、スイリアの表情に変化があった。懐かしさと共に、何かを決意したような強さが浮かんでいる。


 「行きましょう」



 彼女が静かに、しかし力強く言った。


 「父上に会いに」


 その言葉に、全員が頷いた。俺たちは再び歩き始める。


 木々の間から見える王都の姿は、まるで俺たちを優しく迎え入れるようだった。道は次第に舗装され、人の往来も増えてきた。


 商人らしき男が荷車を引いて通り過ぎ、農民の家族連れが楽しそうに話しながら歩いている。平和な光景だ。


 だが、王都の大門が近づくにつれ、スイリアの足取りが少し硬くなるのに気づいた。


 肩に力が入り、歩調も微妙に乱れている。長年の経験から、人の緊張は見逃さない。


 「大丈夫か?」


 俺はさりげなく声をかけた。できるだけ他の二人に気づかれないように、小声で。


 スイリアは一瞬驚いたような表情を見せた。きっと、自分の緊張を隠せていると思っていたのだろう。

 でも、すぐに柔らかな微笑みを浮かべた。


 「はい……少し緊張していますが」


 そして、俺の目を真っ直ぐ見つめて続けた。


 「あなたたちがいてくれて心強いです」


 その言葉に、俺の胸がどきりと高鳴った。


 ――また変なことを考えてる。落ち着け、俺。


 「そ、そうか。まぁ、何かあったら遠慮なく頼ってくれ」


 我ながら気の利かない返事だと思ったが、スイリアは嬉しそうに頷いてくれた。


 「お二人、何をこそこそ話してるんですか~?」


 陽菜が振り返って、にやにやしながら聞いてきた。


 「もしかして、内緒話? ずるいな~」

 「べ、別に何でもない!」


 俺は慌てて否定したが、陽菜の笑みは深まるばかりだ。


 「ふ~ん? さだっちの顔、赤くない?」

 「赤くない! 夕日のせいだ!」

 「あら~、そうですかね~?」


 ミアまで面白がって茶化してくる。


 「スイリア様、何かいいことがあったんですかにゃ?」


 「え? い、いえ、特には……」


 スイリアも頬を染めて俯いてしまった。


 こうして、俺たちは少しばかり賑やかになりながら、夕暮れの光に包まれた王都の大門へと向かった。



 いよいよ王都に入る。俺たちの旅は新たな局面を迎え、未知の冒険が始まろうとしていた。

 果たして、スイリアの父王との再会はどうなるのか。そして、この美しい都市で、俺たちを待ち受けているものは――。

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https://ncode.syosetu.com/n3449kj 陽菜外伝「陽菜の歴史好きJKの日常 ~歴史に恋する私の放課後~」
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