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駆逐艦長ですが、異世界会津に召喚されました! ~令和JKとハーフエルフ王女とゆく、戦記×青春のほのぼの冒険譚~  作者: 房吉
第2章 タジマティア(南会津)編

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第44話 夜店巡りと絆の深まり

 タジマティア収穫祭は怪物が現れるというハプニングがあったものの、次の日やり直すことになった。

 美女行列についても、無事にゴール地点である奉納殿にたどり着き、野菜を奉納することができた。


 午後の野菜舞も無事に終わり、夕方の野菜の奉納祭の際、俺も呼ばれた。どうやら、怪物をやっつけた勇者として、二度と怪物が現れないように願うために、祈願してほしいとのことだ。

 

俺は神主さんみたいな人の所作を真似ながら、見よう見まねで最近流行っている二礼二拍手一礼をして、丁寧に祈っておいた。

 

(俺の時代では神社の参拝はそんなに厳しく言われることもなかったが、最近はどうもこの二礼二拍手一礼というのが正式らしいな)

 

 そんなことを考えながら、精霊たちとの和解が続くことを心から願った。

 

 一通りの儀式が終わると、祭りは出店を楽しむのみとなった。

 

 俺は陽菜とスイリアとミアと合流して、夜の屋台や出店を回ることになった。石畳の通りには露店がずらりと並び、人々の喧騒や楽しげな笑い声が交錯している。

 

 「うわぁ、すごい活気だね!」


 陽菜は弾む声で感嘆し、目を輝かせながら辺りを見回した。


 「収穫祭では、南方から運ばれる物資だけじゃなく、ここの特産もいっぱい集まるから有名なんですにゃ」


 ミアが猫耳をぴょこぴょこと動かしながら教えてくれる。彼女も普段は診療所を手伝っているだけあって、町の情報に詳しいらしい。


 「確か、タジマティア近辺はもともと農作物が豊富でしたよね。エルフの里にも近いから、森の恵みもあるとか……」


 スイリアが地図を片手にさらりと補足する。エルフのハーフとして、山や森に親しみが深い彼女にとって、こんな祭りめぐりは格好の楽しみだろう。


 俺はそんな三人の後ろを歩きながら、若干照れ臭そうに荷物を抱えている。


 (四人で市場を巡るなんて、一昔前の俺なら想像もつかなかったな……)


 通りの最初の露店は野菜をたくさん並べていた。鮮やかな赤い実が山積みにされており、陽菜が目を丸くする。


 「これ……トマト? なんか、普通のよりちょっと丸みがあって、皮が分厚そう……」


 店主はニコニコ笑いながら、籠を差し出す。


 「こっちは"ナンゴーントマト"と呼ばれる特産品でしてな。果肉がぎゅっと詰まっていて甘みが強いんだよ。どうだい、一つかじってみるかい?」


 そう言われて、陽菜はひとつ受け取った。


 「いや、うち、トマトは青臭いのがちょっと苦手だし、この間怪物に毒盛られたしで、もうたくさんなんだよね……」

 と苦い顔をした。


 店主は笑い飛ばしながら、

 「そんな恐ろしげな怪物はうちのトマトとは無関係だ。それに、ここのトマトは甘いから、試しにためてみな」


 と勧めた。


 陽菜は恐る恐るかじってみた。

 「わあ、美味しい! 日本でもトマトっていっぱいあるけど、こんなにおいしいトマトは初めて! このトマトだったら、克服できそう!」


 途端に、甘酸っぱい汁が口いっぱいに広がり、思わず彼女の頬がゆるんだ。


 店主が得意げになりながら、


 「そうだろうそうだろう、よかったら買っていってよ。いっぱいあるからさ」


 というと、ミアは、


 「じゃあ、何個かいただいていきましょうか。ん~どれがいいかなっと」


 と目利きをしてよさそうなトマトを買い物かごの中に入れていく。


 「さすがはミア、主婦みたいだね……」


 とスイリアが感心したようにいうと、ミアはムッとした顔でスイリアを睨むと、


 「私、これでも嫁入り前の娘なんですがにゃ……」


 と複雑そうな顔をした。



 俺は何の気なしに、


 「いや、いい嫁さんになるだろうって意味でいったんだよ、誉め言葉としてもらっておけばいいじゃないか」


 というと、陽菜は、


 「さだっち、それ、ハラスメントだよ!」


 「は? どこが?」


 「あのね、さだっちは知らないだろうけど、私の時代では男女平等だから、"嫁さん"という役割を女性に一方的に当てはめて、家事や育児を当然のように期待する意味にとらえられるからね!」


 「そうなのか。それはすまなかった」


 「ミア、ごめんなさいね。そんな深い意味で言ったわけではなかったのよ」


 俺とスイリアはそれぞれ謝罪した。


 「いや、陽菜もそこまで言わなくても、芦名様とスイリア様も、気にしてないから大丈夫だにゃ。それに、あたしは一生スイリア様にお仕えするから、嫁には行かないにゃ!」



 と元気に言った。今度はスイリアが複雑そうな顔をして、


 「いや、そこはミアの幸せもあるから、いつでも出て行っていいのよ」


 というと、ミアは悲しそうな顔をして、


 「スイリア様はミアが必要ない?」


 とウルウルしだした。スイリアは慌てて、


 「違う、違う、そうじゃなくって! ミアにはずっといてほしいけど、私のことばかりじゃなくていいって意味よ!」


 「スイリア様~!」


 ミアはがばっとスイリアに飛びつく。スイリアはミアをよしよしと撫でてあげた。


「はぁはぁ、スイリアたん×ミアたんで百合百合しているの、まじ眼福……!ありがたや、ありがたや」


俺は店主がスイリアとミアを見ながら荒い息を吐いているのに一瞬危険を感じて刀に手をかけたが、適度な距離で単に愛でているだけらしいのがわかり、そっと戦闘態勢を解いた。まぁ見ているだけならいいか。


しかし、この店主、どうやら女子がいちゃつくのが好きらしい。しかし、こんな店先でいちゃついていて迷惑ではないのか。まぁ店主がいいならほっておくか……。





 次の屋台では、たっぷりのきのこが並んでいる。色とりどりの笠を持つ巨大なキノコや、艶やかな山菜が目を引く。


 「あっ、これってホウキタケに似てるかも……日本だと食べられるんですよ!」


 陽菜がはしゃぎながら手に取ると、店主が興味深げに言う。


 「お嬢さん、目がいいね。これは"魔術茸まじゅつたけ"の一種だが、旨味が濃くてスープにぴったりだよ。このあたりの山じゃよく採れるんだ」


 香りを嗅いだスイリアが「確かにいい匂い……」と素直に感嘆する。俺は「保存食ばっかりだった俺には馴染みがないが」とぼやきつつも、かすかに興味を示している。


 そこへ小さくコケコッコーと声が聞こえた。

 露店の脇には、会津地鶏らしき鶏が何羽か飼われている。

 

「わ、かわいい……エルフの里では鶏はそんなに見ないから新鮮です」

 

スイリアが目を細め、餌をひとつまみ与えると、鶏が嬉しそうについばんでいる。

 

市場の中央付近には工芸品を売るテントが張られ、華やかな漆塗りの器や、鮮やかな赤い牛の人形が目を引く。

 

「これ、なんでしょう……牛の置物?」

 

スイリアが赤い胴体に黒い模様のある人形を手に取ると、店先の老人が笑って教えてくれる。

 

「そいつは"アカベコ"といってな。南会津から少し北へ行ったあたりじゃ縁起物として有名なんだ。魔除けにもなるって言われてるよ」

 

「へえ、面白い形。首がゆらゆら動くんですね。ちょっと欲しいな……」

 

 スイリアは微笑みながら、首をふりふりするアカベコを愛でている。隣ではミアが漆塗りの器をまじまじと見つめ、会津塗り風の深い光沢に見入っていた。

 

 「とても綺麗……。これなら診療所で使う薬草入れとしても良さそうかも」

 

 店の老職人は「ぜひ試してみなされ」と胸を張る。この漆器は木地から丁寧に作られており、熱にも強いので実用的だという。


 

 俺はミアの姿を見て、

 

「そうだ、よかったら、今回のお礼にみんなに何か1つずつプレゼントしてあげるよ」


 と提案した。3人は驚いた表情で顔を見合わせた。


 「えっ、いいんですか? さだっち? いやだって言ってももうだめだよ?」


 陽菜がそういうと、スイリアは、


 「いえ、でも、私は今回は何もしてませんし、さすがに悪いので大丈夫です……」


 と遠慮がちに断った。


 「いや、今回の討伐はみんなのおかげだ。俺も報奨金がたんまりもらったし、お金のことは気にしなくていい。今日の記念と思い出に、何かあるといいだろう? その代わり、俺も何かほしいから、3人で選んでくれないか?」


 3人は俺の提案に顔を見合わせた。そして、陽菜が「ちょっと待ってて」と言って、店の前に俺を置いてけぼりにして3人で少し離れたところに移動して、何やら話し合っていた。


 俺だけ仲間外れにするなよぉ~とショボーンと(´・ω・`)のような顔をしていると、数分後、審議はまとまったのか、また俺のところに戻ってきた。


 陽菜が代表してこう提案してきた。


 「今、3人で話し合ったのだけど、うちらからのものは、うちらが出すよ。さだっちからは何だかんだお世話になったしね。その代わり、さだっちからのものは、さだっちが選んで贈ってくれる?」


 「いやぁ、それは悪いy」


 「そうして」


 「アッハイ」


 「わかったらよろしい。じゃあ、2時間後に広場に集合ね。それじゃ。」


 陽菜は一方的にそう言い残すと、3人はどこかに行ってしまった。


 (´・ω・`)

 (´ ・ω・`)

 (´・ω・`)


 俺は一人、ポツンと夜の市場に取り残されてしまった。

 

(何だかんだ言って、みんなに何か買ってあげるのは悪い気はしないな……)


 そう思いながら、俺も市場をゆっくりと巡り始めた。三人にプレゼントを選ぶのも楽しみだが、その前に、自分が贈り物をもらうことへの照れくささで胸がざわついていた。


 (まったく、昔の俺だったら女性から物をもらうなんて考えられなかったのにな……)


 異世界での生活が、俺をかなり変えたのかもしれない。

今回は日常シーンの中でも、キャラクターそれぞれの魅力が伝わるように心がけて書きました。


特に、時代による価値観の違いで起きる小さな誤解や、陽菜のハラスメント指摘は現代的な要素を入れつつ、古い時代から来た芦名の戸惑いも表現できたのではないでしょうか。


次回は、3対1でプレゼント交換! 芦名が一人で選ぶプレゼントと、三人からのサプライズプレゼントは一体何でしょうか?



お読みいただき、誠にありがとうございます!


皆さんの応援が私の創作の原動力となっています。


少しでも楽しんでいただけたなら、ブックマークや感想、評価ポイントなどをいただけると大変嬉しいです。


「良かった」「このキャラクターの言動が印象的だった」など、ほんの一言でも構いません。


読者の皆さんの声を聞くことで、より良い物語を紡いでいけると思っています。

よろしくお願いいたします。

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