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吐く息が震えた  作者: シンジ
6/7

2-2

ギターを弾きその上に歌を乗せる、語尾がちょっと違う。少し調整してまたギターを鳴らす。

サビはもっとスローがいいかな?


・・・気付くと私は、現実とはかけ離れた時間の中を過ごしていた。ある程度曲が出来たと思い我に返ると、時刻はもう23時10分。

「え?」

慌ててギターをケースの中に仕舞い家に帰る。


玄関を開けて「ただいま」と言うと彼は、いつもと変わらない笑顔で「おかえり」と返してきた。

それは一瞬、実は何も起きてないんじゃないかと思う程の無垢な笑顔。

こんな物を人口的に作れる人がいたのか。そう関心してしまう。

「今日はいつもより遅かったんだね」

そう言った後、私のビニール袋に気付き「あれ、どうしたの?」そう言ってくる。

「たまにはね。こういうのもありかなって」

買った肉とワインを取り出し彼に見せた。なるべくいつもと変わらない様に、私は笑う。

でも、口元は糸を釣り上げただけの様にぎこちない。目の奥は使い終わった炭の様にスカスカだ。

でも彼は、そんな私には気付きもしなかった。

「え~ビックリ。でも嬉しいよ。しかもさ、小説も丁度今日完成したんだ」

「そうなんだ。ならお祝いだね」

そう言って冷蔵庫にワインを冷やす。どうせなら青酸カリも買っておけば良かった。

心と言葉は白と黒の様に対比している。でも私は演じ切る。何故かバレてはいけない。

そう思う気持ちが何よりも先に反応している。私は何も悪くないのに、何故か私は嘘を付き、気付かれないか緊張している。

でも、私はやりきった。彼は何も気付いてない。そしていつも通りシングルベットで一緒に寝る。ここでアラームまでセットして情事にふけっていたのか。そう思いながら私はいつも通りに彼の背中を抱きながら眠った。


「ねぇつむぎ、明日も22時半くらいになるの?」


いつもの通り、彼はまたそう聞いてくる。後は私が「そう」と答えれば今日のミッションは完璧に達成・・・でも、私は何も言えなかった。

言いたくなかった。こんな事を完璧にやりこなせる自分に嫌気が差していたのかもしれない。

だから私は、今日作った歌を脳内で歌いながら、何も言わず、小さな反発として、黙って寝たふりをした。


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