第八話 ”先生”
これだけ生徒についての本があれば、”先生”についての本もあるのではないか。
生徒のやつで本棚は埋まっており、とても見つけられ無いかもしれないが。
それからというもの、休み時間や暇な時間ごとに俺はここを訪れ、”先生”の本を探した。
生徒についてあれだけ作っていたら、自分の本も1冊くらいあるだろうと思い、探し続ける。
何が難しいと言えば、本が大量にあるのもそうだが、まず俺は”先生”の本名を知らないのだ。
なので生年月日から、年齢で判断するしかないが、年齢も知らないため、本当にあっているか確かめることすら出来ないのだ。
表紙で判断できないというのは意外と大変なのだ。
とそんなことを続けていたある日、ついに発見する。
それは積み重なった本の真ん中辺りに埋もれていた。
名前の部分は意図的にか偶然にか削れていて確認できなかったが、それは確かに生徒の年齢ではなかった。
震える手でページを開く。
するとそこには、魔法の内容が書かれていた。
『人の情報を本にすることができる。本人や誰も知らない情報も本に載る。』
これか。
するとそこで後ろからカタッ、と音がなり思わずふりかえる。
「最近本が読まれてたんだけど君だったのか。」
「すみません、勝手に読んでしまって。」
「その分だと僕の分はもう見たみたいだね。君の分は?」
「最初に見ました。」
「そうか、すまないね。知っていたのに教えずにいて。」