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筋肉は全てを解決する

やはり、筋肉……筋肉は全てを解決する!!

 地中に埋まったままのマンドラゴラ、それに向かい合うレイ、その手には剣。


「はぁぁぁぁぁっ!!!!」


 振り下ろされた剣は途中で軌道が曲がり、マンドラゴラ、のすぐ横の地面へ突き刺さった。

 

「止まってる相手だぞ……。」


 俺達は今後の方針を決める為、まずはレイの実力を測ることにした。それが現在。地面に突き刺さった剣を抜くことも無くレイは振り返る。


「これが呪いの力だ……!」


「いや、何でちょっと誇らしげなんだよ。ここは恥ずかしがる場面だろ。」


「だって……勇者様から受け継がれた呪いってカッコイイだろう!!」


「この勇者オタクめ……。まずはその呪いを上手く活用する所からやるぞ。」


 出来ればこいつの勇者至上主義も何とかしないとな。お嬢様なのに家飛び出して冒険とか、危なっかし過ぎる所があるし、よく見とかないと不味い。


「呪いを活用……?」


「呪いの抜け道を探すんだよ。まず、レベルの上げ方を教えてくれ。」


「レベルは主に2つの上げ方がある。一つはモンスターの討伐、もう一つがモンスターを食したり、ポーションを飲んだりするやり方。まぁ、後者は高級食材でもないと上がらないんだ、ポーションならマンドラゴラのエキスが入った…………あ。」


 話の途中でレイは黙り込む。レベルの上げ方がモンスターの討伐以外にもあって何よりだ。


「何か思い付いたのか?」


「こ、これを見てくれ!!」


 慌てた様子のレイが懐から取り出したのは冒険者カード。そこに表示されたレベルは5。

 最初に見た時は確か1だったはず。


「上がってる……?」


「あぁ!上がってる……!」


 レイは冒険者カードを何度も見返し、嬉しそうにしている。何か可哀想に思えてきたな。


「なぁ、今度はレベルを下げてみせてくれ。」


「せっかくレベルが上がった所なんだ、もう少し……」


「いいから、ほら、やってくれ。」


 レイは渋々、といった形でマンドラゴラへ近づいていく。


「はぁ。レベルを下げる方法は2つ。魔物に触れること、もう一つは間接的に魔物を退治すること。」


「間接的ってどういうことだ?」


「実際に見せる。ツカサ、少し離れていてくれ。」


「良いけど。」


 レイは俺の肩を軽く押すと、離れている様に指示する。さっき当たって無かったのに、今度は大丈夫なのか? 

 そんな俺の心配はすぐに消え失せる。レイの構えは綺麗だった。上から糸で軽く引っ張られているかの様な姿勢、そこから繰り出される剣技に問題がある筈ない。


「はあぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!」


 今度のレイはマンドラゴラではなく、その手前の地面を狙っていた。それなら軌道が変わる事も無く、剣は勢いを殺さぬまま地面を大きく抉っていく。その衝撃波に奥のマンドラゴラも当然巻き込まれ、身体に大きな傷を負い、やがて消えた。

 消滅を確認した所で、レイは冒険者カードを取り出す。そこにはレベル1と刻まれていた。


「ほら、こうすると魔物も倒せるが、私のレベルも下がってしまうんだ。」


「あまりの脳筋プレイに俺はビビリちらしたよ。」


「レベルは下がっても筋力は下がらない。スキルは覚えられなくても、筋力さえあれば多少のゴリ押しは効くものさ。」


「ま、お陰でどうすりゃいいかも思い付いたけどな。」


「本当か!?」


 レイもきっと気付いているだろう。全くもって頭の悪い戦い方、俺とレイだからこそできる戦い方。それを俺はレイへと伝授し始めた────

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