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呪われた一族

 自己紹介を終えて、パーティー(仮)となった俺達はダンジョンの中を歩き進めていた。


「なぁ、レイは何でここに来たんだよ?」


「それを話すにはまずこの世界の歴史から語らないといけない。それでもいいか?」


「お前の創作話じゃ無けりゃ、な。」


「ツカサ、お前という奴は……っ!」


「やめ、やめろ!胸ぐらを掴むな、伸びるだろ服が!これ、一着しか無いんだぞ!」


 「うるさいっ、代わりの服は地上で好きなだけ買ってやる!!」


 煽られ耐性が無いのか、すぐに掴みかかってくるレイ。見た目はクール系お姉さんなのに、どうして口を開くとポンコツ化してしまうのか。もしかしなくても、俺のせいだ。 


 しばらく取っ組み合いを続けた後、敗北した俺はレイに馬乗りにされていた。


「……はぁ。私は勇者の末裔、それでいいな。」


「そりゃ、こんな馬鹿力見せられたらな。」


 レイはレベル1とは思えない筋力をしていた。単純な筋力さで負けるのは少しプライドが傷つく。


「ツカサ……いや、ここで私が突っかかれば、ずっとツカサの思う壺だな。」


「分かってもらえたようで何より。」


「何でツカサの方が偉そうなんだ……?まぁ、いい。もうちょっかい出すなよ。」


「はいはい。それと、そろそろ俺の上からどいてもらえると助かる。」


「へ?あっ、ああ。すまない。」


 今になって俺の上に跨った体勢に気づいたらしい。ま、美女に跨られる気分は悪くなかったけどな。


「で、昔話って何なんだ?」


「」 その昔、魔王を倒し、勇者となった男が居た。彼の名はアーサー・リュミエール、私のご先祖だ。」


「アーサー。」


「あぁ。彼は仲間と共に魔王城へ攻め込み、そして魔王を討ち果たした。でも、問題はそこからだった。」


「問題?」


「魔王は死の間際、勇者へ呪いをかけたんだ。彼の一族が魔に対して無力化する呪いを、ね。だから、その後勇者の一族は勇者となる素質を持ちながら戦う事の出来ない身体になった。」


「それがレイの転移とどう関係してくるんだよ。」


「この呪いは強力で、あらゆる魔術師でも解除出来なかった。女神様なら出来たかもしれないが……その辺りは分からない。とりあえず、呪いはそのまま私の代まで受け継がれた。」


「うん。」


「やがて呪いは『不運』、魔物との戦闘において攻撃、防御、命中率、回避率そして運が著しく低下し、魔物を倒すとレベルが下がる様になるスキルとなった。」


「不運ってどころじゃないな、それ。」


「まったくその通りだ。……私は勇者になりたかった。前線を退き、貴族として暮らすのが苦痛だった。だから、こっそり家を抜け出しては街に出ていたんだ。」


「はぁ。」


 とんだお転婆娘じゃないか。親御さんの苦労が目に浮かぶ。呪いがあるんじゃないのか……。


「数日前の事だ。私はダンジョンに来ていた。あ、ここじゃない、もっと初心者向きの所に。それが初めてのクエストだった私は少しはしゃいで居たのもあって、自分の呪いを忘れていたんだ。」


 何か展開が読めてきた。その呪いとレイの相性が悪すぎるのも事態の悪化に拍車をかけている。


「そして、ランダムテレポートトラップを踏んでしまった。呪いは魔法罠にも適用されるみたいで。本当なら近くの街くらいなんだが、気が付いたらここに居た。」


「なるほどな。それじゃあ、家族も心配してるだろうし、早く帰らないとな。」


「……だと良いんだが。」


 意味深なセリフを溢し、レイの身の上話は終わりを告げた。

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