7/”商談“
「さてとそろそろ、今日の仕事について聞いてもいーい?」
マルシャがシュピィに聞く。シュピィはチラッとこっちを見た後にため息をつく。
「今回は失敗した.....。まあ、その理由はニーちゃんに邪魔されたからなんだけどな....。」
「あー。悪かったって。」
何もしてない人から物を盗むのはやはり悪いと思うが、シュピィも盗まなきゃ生活できないと考えると、悪いという気持ちがある。
「でもでもー、代わりにカイトくんを手に入れちゃったからプラスって事でもいいでしょー。」
「ま、そういうことにしといてくれ。」
「でもでもー。カイトくんのその正義感ってやつはー。闇社会で生きるのにあんまり良いことはないんじゃないかなー。」
「分かってはいるんですけど......。でも、やっぱり何もしてない人が不幸になるのって.....なんか可哀想じゃないですか........。」
そう言うと、シュピィが少し顔を下げる。
「うーん、やっぱりその考えだとー。盗みは難しいのかなー。」
「盗賊スキル持ちなので、盗みが嫌いってわけでもないんですけどね.......。」
マルシャが顎に手を当てて考える。
そして少し間があった後に、マルシャが言う。
「ちょっと悪いんだけどー。能力使うねー。」
「”商談“」
「ああ、なるほど。」
マルシャが使った能力は「商談」と言う能力だ。この能力は創造スキル持ちがパーティーに欠かせないと言われる大きな要因だ。
この能力を使うと、話している相手の些細な動きや言葉から、相手の考えがほとんど分かってしまうのだ。そしてさらに、そこから相手と自分が絶対に納得する提案をすることが可能になる。
これをうまく使えば自分の意見が絶対に通らない意見でない限りほぼ確実に通せる。
まさに商談にふさわしい強力な能力だ。
「ほーほー、カイトくんはそう言う考えなのねー。うーんとそれならー。」
マルシャは俺の前に人差し指を立てた手を持って来る。
「“義賊”っていうの、やってみないー?」
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